---ニュースやぶ睨み---

 

■北方領土・択捉島にアイヌ民族がテーマのホテル (23.08)
 橋頭堡固め北海道睨む政府・軍隊・正教会
 北方領土の択捉島で、ロシア政府が助成してアイヌ民族文化を体感できるホテルの建設計画が持ち上がっているという。何だ、それは!!
 北海道新聞8月16日の1面に「テントで芝生占拠/植生被害も 観光公害四島でも」という記事があった。
 「ロシアが実効支配する北方領土で、公共スペースや自然が荒らされる観光公害が常態化している」というもの。ウクライナ侵攻などの影響で、国内に目を向けたロシア人客が増え、不十分なマナーや慢性的な客室不足で、宿泊施設の周囲にテントが張られ、顰蹙を買っている。「ムネオハウス」ともいわれ、鈴木宗男氏の尽力で国後島ユジノクリーリスク(古釜布)に日本政府が整備した「友好の家」もロシアに”乗っ取られ”ており、その周辺も同じ状態だそうだ。
 さすがに批判の声もあるが、北方領土を管轄するサハリン州政府は経済効果優先で、出資する航空会社が増便を続ける。さらに、観光客誘致の一環として国の助成で択捉島にアイヌ民族文化を体感できるホテルの建設計画が浮上しているという。
 しかし、ロシア政府のアイヌ民族にからむ施策と聞けば、イヤな予感が拭えない。
 プーチン大統領は、2018年12月のモスクワでの人権評議会で「アイヌ民族をロシアの先住民族に認定する」という考えを示した。そこから言えることは、ロシアが自国民であるアイヌ民族保護のため、日本・北海道に侵攻してくることもあり得るという指摘が荒唐無稽ではない、プーチン氏の論理はウクライナ侵攻で実証済み、ということだ。択捉島に「アイヌ民族」を打ち出したホテルを建てる背景に政治的意図を読み取るべきだ。
 歯舞諸島・貝殻島の灯台に7月ごろからロシア国旗が掲げられ、さらには灯台にロシア正教会が十字架と聖画像イコンを設置する、あるいは設置済みかもしれないと伝えられる。教会がイコンなどをロシア軍太平洋艦隊に託したという。軍隊登場である。国家と表裏一体であるロシア正教会の政治的意図も見え見えと言うべきだ。
 ロシアの政府、軍隊、教会が北方領土の橋頭堡を強化し、北海道を睨んでいる。観光客のマナーが悪い、どころの話ではない。

■北海道大学教授がアイヌ民族らに不適切発言 (23.01)
 「先住民族でない」は問題の本質外では〜
 教員がSNSで不適切な発言を繰り返していたことについて、1月20日北海道大学がホームページで寳金清寛総長名で遺憾の意を表明した。その報道の一部になにか違和感を受ける。
 北大大学院教授がアイヌ民族や民族的マイノリティに関する不適切発言や排外主義的な発言を繰り返していた。北大は、SNSにおける個人的な発言については、日本国憲法によって保障されている「表現の自由」を尊重すべきだが、当該教員は北大教員である ことを公表しており、大学が当該教員の不適切発言を大学とは関係のない個人的な見解として放置することは、北大もこのような発言を容認しているという 誤ったメッセージを社会に発することになりかねず、不適切であると考え〜遺憾の意を表明した旨を説明している。
 北大は「北海道大学ダイバーシティ&インクルージョン推進宣言」を公表し、「人種、国 籍、肌の色、言語、民族、出自、宗教、信条、性別、性的指向、性自認、ライフイベント、年齢、障害、外見・容姿、ライフスタイル、その他いっさいの個人の 事由に関わらず、すべての構成員の尊厳が守られ、ひとりひとりが誇りを持ち、互いを尊重する大学環境を目指します」と宣言している。
 当該教員に対し、「ダイバーシティ&インク ルージョン推進宣言の理解を徹底すること、本学教員としての社会的責任を強く自覚することについて、指導」した、としている。
 当該SNSの書き込みは削除されたが、一部メディアは「『アイヌは先住民族ではないことは確か』といった投稿があった」、「国会は2008年6月に「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を全会一致で可決。同年に国はアイヌ民族を先住民族と認めている」と書いている。「Yhoo!ニュース」上の同記事のタイトルは「北海道大学の教員『アイヌは先住民族でないことは確か』 SNSで不適切発言、投稿認め削除」となっている。
 しかし、この部分には違和感がある。これでは「不適切」の具体内容の代表表現が「アイヌは先住民族でない」だとされている。
 国会が何かを決議したからといって、もしも誰かが自らの研究成果や信念に基づいて国会決議に反する主張したとしても、それ自体には何の問題もないはずだ。北大も表明文に「日本国憲法によって保障されている『表現の自由』を尊重すべき」と書いている。
 北大が問題にしたのは、マイノリティに関する不適切、排外主義的な発言であって、「アイヌ民族が先住民族でない」とする部分に触れているわけではない。
 筆者もアイヌ民族は独特の文化を持つ貴重な先住民だと認識している普通の市民の1人だ。しかし、アイヌ民族が北海道の先住民であろうとなかろうと、そのこと自体とは関係なく、マイノリティを誹謗中傷するような表現は許されるべきではないのだ。
 誰かが「アイヌ民族が先住民族でない」と発言すれば、何を言っているんだ!?と耳目を惹くことは確か。一部メディアの記事やタイトルの背後に、安易な商業主義がほの見えるのが残念だ。当事者らはそんな意識はないのだろう。

■「道新スポーツ」11月末で休刊、今後の流れどうなる (22.10)
 紙媒体苦戦、発行部数がピーク時の2割程度に
 北海道新聞社が「道新スポーツ」の紙面を11月末で休刊する、と発表した。1982年9月創刊から40年となりピリオドを打つ。
 同紙は「お茶の間で読めるスポーツ紙」として、つまり一般家庭には持ち込みにくい内容を含むスポーツ紙とは一線を画すものとして発行され、一定の読者を獲得した。ピーク時の88年には約15万3000部をマークしたが、5年前には4万3200部、現在は2万9000部ほどまで落ち込んでいるという。ここにも紙媒体の苦戦ぶりが見える。
 紙面休止後は、スポーツファンと双方向で繋がることができるメディアとして「道新スポーツ」サイトを一層充実させていく、としている。北海道のスポーツに特化し、芸能ニュースや競馬・競輪などの情報は原則として扱わない。当面は誰でも無料で閲覧できる。
 「当面無料」という表現は、今後サイト閲覧の有料化を含みとしている、とも読み取れる。情報が無料、という時代ではないことは確か。どんな展開になるのか、注目したい。
 なお、道新は同社が提供するスポーツの専用サイト「メガスポ」も11月末で終了すると公表している。

■消費者庁が「北海道産地直送センター」に措置命令 (22.08)
 不当販売に加担したのはHTB「イチモニ!」
 札幌の「北海道産地直送センター」が7月29日、消費者庁から措置命令を受けた。「味付け焼きたらこ600g」を「通常価格4000円税込」と販売実績のない価格を表示、「1480円税込」で販売するなど、実際の販売価格が通常価格に比べて安いかのように表示していた。
 時事通信のニュース配信は、「通常価格で販売した実績はなかった。通常より6割引きしているように表示した商品もあった」「同社は地元テレビの情報番組で、特産物のセットに、おまけでコロッケ20個を付けて販売するともうたっていたが、実際はコロッケまで含んだ金額が本来の販売価格だった」と報じた。
 記事ではテレビ局名を伏せているが、消費者庁の発表は、直送センターは自社ウェブサイトで34商品、地上波を通じて放送された「イチモニ!」と称する番組内で3商品を販売した、としている。
 「イチモニ!」はHTBの月曜日―土曜日の朝の情報番組。消費者庁はHTBで取り扱った3商品について、「例えば、「けっぱれどさんこセット」と称する食品について、令和3年11月13日、「北海道の味覚9品けっぱれどさんこセット」、「@豚丼の具3種Aこまい200gBほっけ400gC松前漬200gDタコしゃぶ140gEラーメン3袋Fホッケスティック200gGカラフトマスフレーク8gHお刺身用ホタテ500g」、「プレゼント北あかりコロッケ20個」及び「通常1万600円相当→35%オフ6980円」との文字の映像並びに「けっぱれどさんこセットです。北海道の味覚が計9品も入った商品となっています」、「購入いただいた方にプレゼントがあるんですね」、『北あかりコロッケ20個つけちゃいます』及び『通常ですね、1万600円相当のお品ですが、今回は35%オフの6980円で販売いたします』との音声などにより、@あたかも、「通常」及び「相当」と称する価額(以下「比較対照価格」という)は、北海道産地直送センターが本件3商品に含まれる単品の商品について通常販売している価格を足し上げた価格であり、実際の販売価格が、当該通常販売している価格を足し上げた価格に比して安いかのように表示していた。Aあたかも、本件3商品の購入者に対して、『プレゼント』と称する商品を無償で提供するかのように表示していた」と具体的に説明している。
 多くの商品をひとまとめにして価格提示することで、消費者が単品の場合に比べて一般的な価格と比べてどうなのか判断しにくい商法とも言えそうだ。
 当のHTBが7月29日配信した「北海道ニュース」では、措置命令について伝えた後、<HTBのコメント> として「HTBでは景品表示法の違反にあたる北海道産地直送センターの商品を番組内で放送したことを重く受け止めています。今後、再発防止と信頼の回復に努めて参ります」とサラリと触れた。

■札幌市立学校教諭、少女へのわいせつ行為で懲戒免職 (22.06)
 被害者との関係性あいまい、配慮欠けた報道
 教職員の不祥事が話題に上ることが少なくない。帯広では高校教諭が女性の遺体を雑木林に埋めた容疑で6月2日逮捕。札幌市教育委員会は5月24日付で市立学校の男性教諭(25)を懲戒免職としていた。未成年少女をマイカーに連れ込みなどわいせつ行為をした。話は本筋をそれるが、この件をめぐる報道のありかたが気になる。
 北海道放送がネット配信した記事を振り返ると、札幌で懲戒免職された教諭は4月6日と19日に少女を車につれ込み、左鎖骨付近や唇にキスした。少女の保護者が教諭が勤務する学校に相談、行為が発覚した。教諭は「被害者に申し訳ない。学校にも迷惑をかけた」と認めた。
 市教委は2019年4月に懲戒指針を厳格化して、わいせつ、淫行、盗撮、のぞき、露出、ストーカー行為、児童買春、児童ポルノ所持・提供などをについて、原則免職とした。少女側は警察に被害届を出していないが、この教諭が懲戒免職とされたのは当然だ。
 気になるのは、「市教委は、男性教諭の勤務先と少女の学校が同じかどうかは明らかにしていません」と報道されている点だ。事件が報道され、ある市立学校で新学期がスタートしたばかりなのに25歳の男性教諭が突然姿を消した、となれば「あの先生だったのか〜被害者は〜?身近な生徒だったのでは〜?」と噂になる。被害者と推測された生徒に二次被害が心配される。そのようなことがあってはならない。そのため少女が教諭の勤務する学校の生徒だったのか、明らかにすべきではないことは当然だ。
 報道は学校が小・中・高のいずれかなのかもぼかしているが、「同じ学校かどうか明らかにしていない」ということは、残念ながら「同じ学校」であったことを明確には否定していない、という読み方ができる。「同じ学校」であったとしても市教委としては、そうではないと虚偽説明するわけにもいかないだろう。
 結論を言えば、市教委はメディアに対して事実関係は説明できないが、被害者に配慮して加害者との関係性に触れないで頂きたいと要請し、報道側にもそれを受け入れる配慮があるべきだった。
 過去にもあり、今後も起こり得る事案だ。しっかり論議されるべきだ。 ♯♯

■麻生太郎氏、小樽・札幌で道産米について面白談義 (21.11)
 地球温暖化容認? 農家の努力をないがしろ
 衆院選期間中の10月25日、麻生太郎自民党副総裁が小樽市での自民党候補を応援する街頭演説で、どういう必要性があったのか、北海道米について面白談義?を披露。しかし、それを槍玉に挙げた方に分があるようだ。
 少し長いが、朝日新聞デジタル掲載「温暖化のおかげで北海道のコメはうまくなった 自民・麻生氏」の麻生氏発言を引用させてもらう。
「暑くなった、温暖化した、悪い話しか書いてないけど、温暖化したおかげで北海道のコメはうまくなったろ? 北海道米は昔は厄介道米って言われてたじゃないの。それなのに今はコシヒカリだ、コチピカリだ、ねえ、なんか怪しげな名前だけど、おぼろづきとか名前をくっつけて金賞をとって、その米を輸出してんだよ。そういったものは温度が2度、お米の花が実に変わるあのころの温度が2度上がった。それだけで売れるようになった。おいしいお米になって。それを輸出してる。これが今の現実じゃありませんか」
 どうしん電子板「道産米温暖化のおかげでうまくなった 麻生氏、札幌の演説で」(10月26日)によれば、同じ日の札幌の街頭演説でも同じ話題で「農家のおかげ、農協の力か。違います。温度が上がったからだ」とも述べた。
 時事通信のニュースサイトJIJI.COMによれば、この件で松野博一官房長官は「個々の国会 議員の発言に政府としてコメントすることは差し控える」と逃げた。
 最後に東京スポーツのネット配信(10月29日)「蓮舫氏が麻生氏の”コメ発言を”訂正し猛批判」を引用させていただく。東京18区の菅直人の応援演説の場面だ。
「こんな(麻生氏の)発言、絶対に許しちゃいけないんじゃないですか。しかも、ブランド米の名前が間違っていた。コシヒカリ? 聞いたことがない。ゆめぴりかでしょう」「ゆめぴりかをつくるのに400回以上失敗を重ねていると言います。開発を繰り返し、失敗を繰り返し、ようやく出したブランド米、それをこともあろうに、現場の声を聞かず、農民の苦労も知らず、生産者の努力も知らず、放言を言い放つ人が、自由民主党副総裁〜」
 自民党候補の応援になっているのかどうか、よく分からない。農業地帯を抱える北海道11区の女性候補同士の選挙戦では、石川香織氏(民主)が麻生氏発言を格好の「敵失」と見て?温暖化にまつわる農業生産者の不安を踏みにじるもの、と自民候補・中川郁子氏への攻撃材料にした。
 面白おかしく地球温暖化を容認するような不適切発言ではないか、とメディアがもっと噛み付いても不思議ではないのだが、意外に静か。これも忖度?!

■プライバシー配慮は、何が正しいのか?? (20.12)
 火事で亡くなった兄弟、父親、母親の関係
 11月30日、中標津町の会社員宅の火災で男児2人が亡くなった。痛ましい事故だが、報道の在り方も気にかかる。
 12月14日、長野県佐久市の住宅火災で、子ども4人の遺体が見つかった。この家の夫妻は外出中で、夫妻の子どもと、訪問していた知人女性の子ども3人が命を落とした。知人女性とその子ども1人は逃げて無事だった、という。
 子どもたちの悲劇には心が痛む。大人ならかまわないとか、人数が多い少ない、という問題ではないが〜。
 道内では、11月30日、根室管内中標津町の会社員○○さん宅の火事で、○○さんの6歳(小学1年)と4歳の男の子が亡くなっている。痛ましい事故だ。
 このニュースの伝え方が気になる。
 どうしん電子版(11/30/23:58)によれば、「2人は、普段は離れて暮らす○○さん宅に預けられていた。出火当時○○さんは外出中〜」だった。同(12/01/10:35)では「兄弟は母親と暮らし、当日は○○さん宅に預けられていた」という。同(12/02/05:00)は「兄弟は母親と暮らしており、11月30日は○○さんがT人で住む自宅に預けられていた」となっている。
 NHK「北海道NEWS WEB」(12/01/04:54)は「出火当時、両親は買い物のため外出していて、子ども2人で家に残っていた」となっていたのが、同(12/01/12:05)では「子どもたちはふだん母親と一緒に暮らしていて、30日は○○さんの家に預けられていました〜」と、変更(訂正)された。
 どうしん、NHKとも、父親と子ども2人は実名だが、亡くなった兄弟と、父親、母親の間のプライバシーについて、一定の配慮がなされている。
 HBCのネット配信(11/30/20:42)記事では、「警察によりますと」として「この住宅では○○歳の会社員の男性が独り暮らしをしていますが、この日は、男性と離婚した元妻が、息子2人を男性に預けていたということです」と、子どもたちと父親、母親の関係が具体的になっている。どうしん、NHKの記事より、より詳細な報道とは言えるだろう。HBCは実名を出していない。ただし、他メディアの報道と合わせれば、そうする意味はなかった。
 報道のあり方は、父親と母親の離婚を伝えたか、伝えなかったかの違いだ。読者は、どう考える?? 筆者はHBCには絶対賛同できない。

■栽培はやめましょう、勘違い記事にも「喝!!」 (20.11)
 大麻草を育てて所持〜逮捕相次ぐ
 どうしん電子版(11/27 20:31)によれば、同日までに、美瑛町で大麻を所持、栽培していた男2人が逮捕された。1人は農業、1人は農業研修生で隣家に住む知人同士。乾燥大麻約4キロを共同所持し、5月中旬から10月21日までの間、共謀して研修生は大麻草5株を栽培、農業男性は自宅敷地内ビニールハウスで19株を栽培した疑い。
 まあ、普通の記事である。他のメディアも同じ内容を伝えていた。
 北海道新聞が報じた大麻草栽培で逮捕、といえば(安平町内の)「ゴルフ場跡で大麻栽培か、新たに男2人を逮捕」(どうしん電子版10/23 13:33)の記事があったのを思い出してしまった。
 先に逮捕されていた男2人に加え、暴力団員らの男2人が大麻取締法違反(栽培)と建造物侵入の疑いで逮捕された、という内容だ。「ゴルフ場内の建物などに複数回侵入して、大麻の苗木23鉢を栽培した疑い」(同記事)。2人は知人に付き添われて10月22日、札幌豊平署に出頭したのだそう。
 まあ、普通の記事である。そんな過去の記事が筆者の脳の片隅に残っていたのは、「大麻の苗木」という言葉のせいだった。
 和名・アサは大麻草とも言われる。アサ科アサ属の草本である。樹木ではないので、その苗は「苗木」とは呼ばれない。
 10月7日には、男2人がススキノに借りたマンション内で、大麻を所持・栽培した疑いで、北海道厚生局麻薬取締部に逮捕されている。照明や温度管理、施肥などの設備で水耕栽培していた。
 大麻栽培はやめましょう。その苗を「苗木」と呼ぶのもやめましょう。

■HBCの参院選直前ムネオ氏特集、BPOダメ出し! (20.04)
 そのニュース、同局が今度は実名省略
 2019年の参議院議員選挙公示前日・7月3日にHBCが単独で鈴木宗男氏の動向を放送。放送倫理・番組向上機構(BPO)は4月8日、「選挙報道の公平・公正性を損なっており、放送倫理に違反する」と発表した。HBC自体もこのニュースを伝えたがー。
 HBC「今日ドキッ!」でおよそ5分間日本維新の会比例候補だったムネオ氏を特集。公示直前に特定候補に絞り込んでの動向紹介に違和感を持った視聴者もいた。
 ムネオ氏が当選したのはそのお蔭かどうかは分らないが、BPOは特定候補について視聴者に強い印象を植えつけたのは明らかで、放送倫理違反だと判断した。HBCは「真摯に受け止め、再発防止に取り組む」とコメントしている。
 このニュースは各メディアが報じた。そのなかHBC自体も第3者的に放送している。8日20時17分同局配信の「HBC参院選報道は「放送倫理に違反する」 BPOが意見書公表」を参照すると、メディアが自社のことを伝える場合の通常の体裁だ。しかし「比例代表の特定の立候補予定者」とムネオ氏の実名を避けているのがかえって目につく。これも違和感を与えてくれる。
 当の鈴木宗男氏は4月8日のブログで前日の安倍晋三総理の「緊急事態宣言」に賛意を表し、新型コロナ感染による危機の中で北海道コンサドーレ札幌の選手らが報酬の一部返納を申し出たことを賞賛した。日本維新の会が提言する給料2割カットを実行すれば国民も政治に対する理解、信頼を高めるのではないか、他政党も価値観を共有して欲しい、と呼びかけている。

■道内?札幌市内? 64億円の(逸失)利益?影響? (20.03)
 新型コロナウイルス、ホテルキャンセルで打撃
 世の中、新型コロナウイルスの話題一色。ニュースを「斜め読み」すると、なにやら混乱したものも〜。
 3月T日、UHBがネット配信した「卒業式、歓送迎会、次々キャンセルで業者も悲鳴…”新型コロナ”経済への影響懸念」のなかに「新型コロナの影響で、中国政府が国民の団体旅行を禁止してから1か月…。道内のホテルでは13万件以上のキャンセルで、64億円もの利益が失われたといいます」とあった。
 疑い深い筆者が、1「件」当たり「利益」とされる金額を計算してみると約4900円余り。「利益」とは、まあこの場合は売上から原価を差し引いた「粗利益」を指すのだろうが、これは多い?少ない? 「件」は「人」ではないので、何人であろうと1団体も1件とカウントされるのだろう。ということなら、1件あたり(逸失)「利益」4900円は少なすぎるような気がする。
 「どうしん電子版」の2月12日配信の「さっぽろ雪まつり 最後まで苦難 少雪に始まり…肺炎で来場大幅減」の記事では「新型コロナウイルスの影響で、市内のホテルは中国からの団体客を中心に大量のキャンセルが続出。市の推計では、3月末までに延べ13万3千泊のキャンセ ルが発生するという」とある。
 こちらの記事では「1カ月」「道内ホテル」(UHB)ではなくて、「3月末まで」「市内ホテル」の話である。13万「件」以上(UHB)ではなくて、延べ13万3千「泊」だ。
 秋元札幌市長は2月3日の定例記者会見で「いくつかの施設の、3月までのキャンセル数をお聞きして、全体の推計をしたところ、3月までで延べ13万3000人泊、金額にして64億円 程度の影響があると推測されております」と発表していた。「どうしん」記事はこれに基づいている。
 もう1度UHB記事に戻ると「(1カ月)道内のホテルでは13万件以上のキャンセルで、64億円もの利益が失われた」のだそうだが〜。素直には受け取れない。

■東京五輪のマラソン、競歩、札幌開催固まる (19.10)
 賛否ある中、北海道新聞のヘンな首相批判
 急転直下で、東京五輪のマラソン、競歩の札幌開催が固まった。賛否があって当然だが、北海道新聞10月17日夕刊の「直線曲線」が、この事態を安倍晋三首相がコントロールできない、とヘンなイチャモンをつけた。
 IOCのトーマス・バッハ会長が10月17日、ドーハでマラソン、競歩の札幌開催についてIOCと大会組織委員かが合意に達したとする認識を示した。9〜10月、ドーハで行われ世界選手権で棄権者が続出、暑さ対策を重視するため、というもの。
 札幌ではほぼ歓迎一色。秋元克広市長は「驚きだが、光栄」との談話だ。競技関係者の中には賛成の声や、アスリート・ファーストは正論だが、東京を前提に備えてきたのを今さら変更と言われても〜という戸惑いもある。それに伴う費用や諸々の問題もある。小池百合子東京都知事は、平たく言えば「だったら北方領土でやったら〜」とふてくされた。開催地変更を巡る報道が続くこととなる。
 そんな中、道新10月17日1面の「直線曲線」で次のように書いた。「世界が認める快い札幌の夏。IOCが突然、東京五輪のマラソン開催を検討と。ここでも、首相は事態を「アンダーコントロール」できず。」
 「アンダーコントロール」は安倍首相が英語で東京への五輪招致演説をした中で、福島原子力発電の事故について安全性を説明するために言った。全然大丈夫ではないじゃないか、と揶揄されるところである。道新の筆者が何かにこと寄せて首相を揶揄したい気持ちは分る。
 しかし、マラソン、競歩の会場変更を首相がコントロールできていないのは怪しからん、という論調はかなりおかしい。開催国の首相だからといって、しゃしゃり出て介入することの方が筋違いもいいところだからだ。道新はそうしろ、と言っている。
 その同じ紙面の「暑さ対策は重要な課題 菅官房長官」という短い記事には、「政府が最終的な開催地決定に関与する可能性を問われ『それはない。あくまで組織委員会、国際オリンピック委員会で決められる』と話した」とある。同じ日、橋本聖子五輪担当大臣は「選手らへの丁寧な説明が必要」としながらも、「決められた方向で成功に向け全力を尽くす」と話した。菅氏、橋本氏とも、政府は開催地決定には関与しないことを明確にしている。それが正しい姿勢だ。
 まして、首相が「アンダーコントロール」する話ではない。

■JR北海道の新型観光列車披露、どこかおかしい (19.09)
 何を意味する? 立ち入り禁止ロープ設置
 取るに足りない、と言われればそうかもしれない。JR北海道が9月6日?かあるいは7日?に、新観光列車「山明」を披露。メディアの報道をよく見るとー。
 「NHK NEWS WEB」は「JR北海道 新観光列車「山明」披露 内装に道内産木材も」のタイトルで「9月7日14時06分」に配信。
 ところが、冒頭に「JR北海道が今月中旬から運行を始める新しい観光列車「山明(さんめい)」号が、8日お披露目されました」となっている。まあ、これは単純ミスと思われ、責めても仕方ない。
 「山明(さんめい)号」はJR北海道が従来の車両を改修、雄大な自然をイメージして車体は深い緑色。木をモチーフにした模様が施されている。内装には北海道産木材を使ったつり革やテーブルが設置された。「山紫水明」から2文字をとって名付け、普段は定期列車として9月中旬から函館腺や学園都市線で運行する。観光イベントなどでは臨時観光列車として活用する。10月には「紫水(しすい)号」も登場するとのこと。
 NHKは「訪れた人たちは写真を撮ったり、手で触れたりして楽しんでいた」と報じている。なのだが、掲載された写真を見る限り、車内に一般客はおらず、テレビ取材と思われる2人が写っている。まあ、その前後に一般市民が見物したのだろう。
 それにしても、画像にある木製テーブルを挟んだ4人がけの席には黄色と黒の立ち入り禁止ロープがめぐらされ、実に目障り。これでは座席の心地や感触を確かめることはできないだろう。どのみち近く一般客が利用するものなのに、むやみに触って欲しくない気持ちがよく分かる。木で鼻をくくったような、サービス精神欠如のお披露目で、「やっぱりな、さすが、JR」と思わせてくれた。このロープつきの画像は他の民放でも見られた。意識したかどうかは不明だが、テレビはそこをよくぞ映してくれた。
 ただし、北海道新聞など、複数の新聞を確認したところ、掲載された車内写真にロープはなかった。JR側が気づいて撤去したのか。もしも、メディア側が「絵にならない」などの理由で、取り外しを求めたのなら、ありのままの報道を心がけて欲しかった。
  ところが、道新記事をよく見ると、「山明」が報道陣に公開されたのは「9月6日」となっている。JRは、その翌日「7日」、ロープを張ってテレビや一般市民に披露したのだろうか。そうならば、ロープを張った意味あいが多少違うのか。
 どちらにしても、JR北海道社内の風土、精神土壌が好意的に見られることにはならない。

■釧路市のJアラート訓練で手落ちがなかった「FMくしろ」 (19.06)
 道新が「誤放送」と誤報、謝罪も検証もなし
 北海道新聞が6月20日朝刊29ページに「訂正」を掲載。19日の「釧路市、Jアラートで誤放送」の記事で、「FMくしろは放送後にパーソナリティーが『訓練でした』と案内」と』あるのは誤りでした。FMくしろは、放送前にも案内していました。訂正します」というもの。
 19日の道新記事内容は、18日に全国の自治体や国の機関などで一斉に行ったJアラートの訓練で、緊急地震速報の本番用放送が釧路市内全域に流れるミスがあった、というもの。市職員がJアラートの受信機設定を訓練用に切り替えておらず、放送の前後に「訓練放送」との告知が流れなかった。市のシステムと連動するFMくしろは、放送後にパーソナリティーが「訓練です」と案内した、とされた。「誤った原因には触れていない」と記して、しっかり検証していないことを批判している。
 市が間違えたのは確か。しかし、FMくしろは訓練があることを予告していたのだ。6月20日現在、Googleで「FMくしろ 地震」と検索してみたところ、「FM釧路からのお知らせ」として「6月18日(火)釧路市では、Jアラートから送られてくる緊急地震速報の訓練放送を市民に伝える、情報伝達訓練を実施します」というものが見つかった。なおかつ、放送前にも「訓練」であることを知らせている。全く手抜かりはなかった。
 道新はメディア他社を「誤放送」と決めつけながら、「お詫びして」とも言わず、ぶっきらぼうに「訂正します」では、丁寧さが欠如しているのではないか。「誤った原因には触れていない」し、検証もないのである。
 朝日新聞は記事に誤りがあった場合、丁寧に「訂正しておわび」している。誤った原因にも触れている。それがディアとしての品位と落としている、とは思えない。道新も、見習ったらどうか。

■警察官を車で引きずって逃げた男、理由は無保険?! (19.02)
 HBCの報道、精査してみるとこうだった
 2月23日、札幌市白石区のスーパー駐車場で、出勤中の男性警察官が事故を起こした相手の男の車に80メートルも引きずられた。HBCは男が引きずって逃げた理由を「無保険がばれて捕まるのが怖かった」と報道したのだがーー。
 井岸悠太容疑者(22)が逃げようとした。事故相手の警察官が車内に体を入れて停めようとした。男はそのまま発進、警察官を引きずって走った。殺害しようとした、として逮捕、送検された。幸い警察官は軽傷。
 北海道新聞などの報道の扱いは、いわゆる「ベタ記事」だった。
 ところが、HBCは「容疑者は『相手が警察官と名乗ったので、車の無保険がばれて捕まるのが怖かった』と供述している」と説明をつけた。
 「無保険」がばれるのが怖い、といっても任意保険ならかけていなくても違法ではない。容疑者は無知にもそこを勘違いしていたのではないか。もっとも、これは「自賠責」であろうことが容易に想像できる。しかし、ニュースの伝え方としては少し不備だ。UHBは「無車検、無保険だったことがばれると思い逃げた」と報じた。
 ちなみに、罰則は、無車検の車を公道で運転した場合(道路運送車両法違反)は違反点数=6点(前歴がない場合)、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金。自賠責無保険(自動車損害賠償保障法違反)の場合は違反点数6点(同)、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、となっている。通常こうしたケースは無車検+無保険なので、合わせて違反点数12年(同)、1年6ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金となる。
 無車検より無保険の方が罪が重い。そこで、HBCニュースでは「無保険」を強調した??

■「過失度合いは女性側、男性身柄拘束は気の毒」の声も (18.11)
 ススキノでトラックが自転車女性をはねた事故
 交通事故で被害者が死亡や重体、加害者が逮捕された、といったニュースをよく目にする。ただ、素人考えで「そんなケースでも逮捕の必要があるの?」ということも。ススキノで自転車の女性がトラッックにはねられた事故でも、そんな声が出ているのだが―。
 10月22日午後7時45分ごろ、札幌市中央区南8条西4丁目の駅前通りを自転車に乗って横断していた23歳の女性が、北方向に走行してきたトラックにはねられた。女性は頭から血を流す重傷。トラックを運転していた39歳の男性が逮捕された。少なくともUHBニュースは男性の名前を報じ、実名を報じなかったメディアもある。
 この事故についてトラックよりも自転車の方がより過失が大きかったのではないか、逮捕や実名報道は気の毒、という声が聞かれる。
 当時の報道を見ると、事故は横断歩道がある場所から10メートル程度ススキノ側の場所。女性が横断歩道を通っていれば起きなかった事故かもしれない。ただ、自転車や歩行者は弱い存在であり、十分に注意を払われるべきであることは確か。若い女性が大けがをしてしまったことは気の毒だ。
 しかし、「自転車」をしっかり交通ルールを守らなければならない立場の「軽車両」と置き換えると、見方は少し自転車に対して厳しくなるのではないか。さらに、仮に自動車どうしの事故だったとして、トラック運転男性側が重傷を負ったとすれば、道路を横断した側の注意義務が厳しく問われ、逮捕もあり得たこととなりそうだ。
 一般的に逮捕は、被疑者の逃亡、証拠隠滅を防止するためだ。ススキノ事故のケース、トラック運転者は逃亡や証拠隠滅のおそれがあると見なされた。被疑者の年齢、社会的立場、結果の重さ、様態などを「総合的」に判断された結果だ。「総合的」とされる実際の中身は巷の部外者には分らないので、単純に警察を批判するのは適切ではない。
 それにしても、不運にも加害者になってしまった男性は、平穏な生活を大きく阻害されてしまった。被害者であるとも言える。
 交通事故で逮捕、はよくあるニュースだ。しかし
多くの場合、その後加害者がどのくらいの期間拘束されたのか、身柄ごと送検されたのか、書類送検だっのか、起訴猶予されたのか、起訴されたのか、裁判中の身柄はどうなったのか、報道からは見えてこない。
 ちょっと見には加害者側に厳しすぎる逮捕、厳しすぎる実名報道、と感じられるケースが時々ある。もっと検証されるべきではないのだろうか。 ♯♯

■北海道地震、報道による風評被害議論期待外れ (18.10)
 札幌でマスコミ倫理懇談会、折角の機会だったが
 北海道胆振東部地震によりインバウンドを含め北海道を訪れる観光客が減少。道内観光業への支援策として観光客の宿泊費を一部公費負担する「北海道ふっこう割」が10月1日から始まった。各方面が「北海道は大丈夫」とPR、復興に邁進している。海外も含め、台風、地震、火山爆発、洪水などの災害で言われるのがマスコミの報道姿勢。周辺全域に被災が広がっているかのようなイメージを与え、風評被害を引き起こしている、という批判だ。中には過剰な声も否定できない。そんな中、タイミングよく?9月20・21日、札幌でマスコミ倫理懇談会全国協議会の第62回全国大会が開かれた。災害時の報道姿勢がどのように論議されたのか。期待外れだった。
 テーマは「その伝え方、信頼されていますか」とされ、全国の新聞、放送、通信、出版などメディア内部からの真摯な声が伝わる機会だ。「極端化する災害と取材・報道―災害多発時代に」の分化会があり、北海道地震を含めた論議が期待された。
 地元紙・北海道新聞は発生直後の新聞製作の状況が説明した。全道全域にわたる大規模停電の中、自家発電がある北広島市の工場が唯一稼働して、災害時の相互援助協定を結ぶ他紙の印刷を含め、電気がない中、被災地に紙で情報を届けられた、と報告した。デマが広がったことに対して、ツイッターで否定する情報を流したといい、一定の役割を果たしたことが分る。
 マスコミ倫理懇談会の「極端化するー」分化会の模様を伝える道新紙面には「報道機関は何を伝えていくべきかを話し合った」とあった。中国新聞は広島県で120人近くが亡くなった災害について、事前に避難を呼びかける記事を1面に掲載できず、被災する可能性のある人に分り安く伝える必要がある、と反省点を語ったという。
 しかし、報道が必ずしも社会から歓迎されない事象を引き起こしたと指摘する声があったことに、どう向き合うのか、今後の報道活動に活かすべきものがなかったのかが伝わってこない。「マスコミによる風評被害」批判が100%的を射ているとは言えない。情報受け手側の誤解や勘違いもあったはず。それでも誤解を招かないような報道のあり方が検討されるべきだ。
 メディア側が配慮不足を認める部分はどこなのか、どう対応していくのか。そこが一番知りたいところだった。「その伝え方、信頼されていますか」「極端化する災害と取材・報道―災害多発時代に」の文言、ややかけ声倒れだった。


■保育無償化に北海道新聞記者のずれた視点 (18.08)
 認可外・基準外施設利用者にこそ目を向けよ!
 2019年10月から、保育料が無償化される。指導監督基準を満たさない認可外保育施設にも5年の猶予期間を設け実施される。これについて、北海道新聞18年8月12日の「記者の視点」欄、くらし報道部・片山由紀記者の「保育無償化 認可外も利用補助へ 基準満たさぬ施設 対象外に」とする論評にあきれかえる。「国は基準を満たした施設のみ、無償化の対象とするよう制度を見直すべきだ」という主張は、とんでもなくおかしい。
 道内にも認可外保育施設が308カ所あり、そのうち行政が251カ所を立ち入り調査したところ166カ所が指導監督基準を満たしていなかった。多くは企業主導型保育所で、入所児の健康診断の未実施、有資格者の職員不足などが理由とされる。全国の保育施設での死亡事故は、認可施設に比べて、認可外施設が圧倒的に多い。認可外を含めて全施設を補助対象としてしまえば、「国から補助が出ている」ことが、利用者から施設を選ぶ際の判断基準になる可能性がある。国が基準を軽く扱い、すべての施設を補助対象としてしまった結果、保育中の事故や問題が増えては元も子もないー、という展開である。
 子どもたちが健康で安全に過ごせる環境が最重要事項で、優先されるべきは子どもの権利である。国は導入時点で基準を満たした施設のみを補助の対象とすべき、という主旨は、一見正論であるかのように聞こえる。
 だがー。一部を除いて、親や保護者は子どもたちを認可施設に通わせたいと願うはずだ。やむなく認可外だとしても、国の基準を満たしていることが望まれるのは当然だ。
 であっても、現実に基準外施設が数多くあり、多くの子どもたちがそこを利用せざるを得ないでいる。保護者にはいろいろな事情がある。例外はあろうが、その事情に対する保護者自身の責任は問えないのではないか。そのなか、経済的事情が深刻な保護者ほど、無償化をありがたいと感じるはずである。
 それに対して、あなた方の子どもは無認可・基準外施設に通うのだから、お気の毒ながら無償化の恩恵を受けられないのはやむを得ない、と切って捨てるのが片山記者の言わんとするところとなる。
 保育のあり方に質の問題をさておいて大雑把に優劣をつければ、<1>認可施設を無償で利用<2>認可外・基準内施設を無償で利用<3>認可外・基準外施設を無償で利用<4>認可外・基準外施設を有償で利用<5>希望に反して施設を利用できない、の順になるだろう。
 片山記者の主張は、<1><2>に限定して、<3>以下を切り捨てる、というものだ。保護者の責任ではない事象についてでも保護者に負担を強いることが、子どもの安全のためにはやむを得ない、という考えだ。認可外・基準外施設を利用せざるを得ない深刻な事情を抱える保護者に、血も涙もない視線を向けている。基準は早急に満たされるべきだが、それまでは現状下で従来通りの負担を続けろー、そんな不公平なことをどうして言えるのだろうか。
 子どものために、文化的生活どころか、自分の心身の健康、命をさえ擦り削りながら暮らしている親や保護者が少なくないのだ。そこに目を向け、手を差し伸べるのが社会のあり方だ、ということを忘れてもらっては困る。自らは安穏な壇上に座して、題目を唱えていればいいのではない。

■エンジントラブルは右?左? 詮索してみるとー。 (18.08)
 ローマ発アリタリア航空機が新千歳に緊急着陸 
 8月7日午前、ローマ発成田空港行きアリタリア航空784便のボーイング777型機が新千歳空港に緊急着陸。ロシア上空を飛行中、エンジントラブルがあったため。火災は起きず、乗客・乗員293人にけがはなかった。ニュース内容はそれだけのことなのだが、UHBは「右エンジンを停めて検査しています」と報道。この表現で、トラブルがあったのは右エンジン? それとも左エンジン?
 UHBニュースを読んだのはベテランの吉田雅英アナウンサー。「右エンジンを停めて」検査―と聞けば、問題があったのは右側なのか、と思える。しかし、左側が停まってしまい、右側も停めて調べた、という解釈も成り立つ。
 UHBが同日11時に配信した「北海道ニュース」記事で見直すと、「午前11時50分現在、エンジンを停めて検査しています」となっていて、それを同アナウンサーは「現在、右エンジンを停めて検査しています」と読んだことが分った。「右」は吉田アナのアドリブだった?
 HBCニュースでは「機体は午前10時5分ごろ、第1エンジンを止めた状態で新千歳空港に緊急着陸」となっていた。航空機エンジンは左から順番に第T、第2と呼ぶ。毎日新聞は「左エンジンのトラブルを知らせる計器表示が出た」と、もっとわかりやすい表現だった。
 つまり、(「左エンジン」は停まっていたので)「右エンジン」も停めて検査した、という意味でUHBニュースは正しかったのだろう、ちょっと苦しいがー。ただし、停止しないで点検することは通常あり得るのかどうか。この部分、必要がなかったのでは。つい、ヘンに詮索したくなる。

■気がかりな新幹線札幌まで開業前倒しの現実性 (18.06)
 鉄道・運鵜機構側「冬季五輪前の延伸難しい」
 6月6日、北海道新幹線建設促進札幌圏期成会総会が開かれた。秋元克広札幌市長は冬季オリンピックの2030年開催に向けた招致活動を含みに、タイミングが合うように新幹線札幌延伸の前倒しに期待をかける。これに対して、工事主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構の依田淳一北海道新幹線建設局長が、工事短縮の難しさについて指摘。その困難さの「度合い」にメディアによって微妙なニュアンスの違いあるのが気がかりだ。
 札幌市は当初2026年冬季五輪招致に前のめりだったが、アジア開催が続く、各国との競合が明らかになったことなどから、2030年招致への軌道修正に傾いた。折角の30年開催なら、現在31年3月とされる北海道新幹線・新函館北斗—札幌の開業を、30年2月と見られる冬季五輪とタイミングが合うように前倒ししてほしい。秋元札幌市長は札幌延伸の開業前倒しがオリンピックパラリンピックの招致にも需要なファクターになる、としている。期成会総会でも期待を延べた。
 同日の道議会北海道地方路線問題調査特別委員会では、札幌市が30年冬季五輪招致に向け新幹線札幌延伸を29年中に前倒しするよう政府・与党に要請する方針を固めたことを受け、道も前向きに対応する考えを表明した。冬季五輪とタイミングが合う形で新幹線が札幌まで開通すれば、国内外から多くの利用客が訪れ、北海道の活性化の大きなツールとなると期待が大きい。札幌市とも密に連携していく姿勢だ。
 しかし、期成会総会での鉄道・運輸機構の依田局長の発言は、総会の空気に迎合するような甘いものではなかった。同日のUHBニュースでは、開業の時期を巡って札幌市と鉄道・運輸機構が「つばぜり合いを演じました」と表現。依田局長の「工期短縮というのは、一概には、すぐに、やれることではない」とする発言を伝えた。
 大きな問題の1つは、トンネル工事で発生する残土の受け入れ先が半分程度しか確保されていないこと、とされる。ならば、市や道、地元経済界などが協力して残土置き場を確保すれば問題解決なのかー。そんな期待論も出てきそうだ。
 しかし、6月7日の毎日新聞記事では、依田局長は、残土置き場の確保だけでなく、高架化による工事の長期化などが課題になると指摘したことを報じている。さらに取材に対して「冬季五輪前の延伸実現は難しい」と述べたという。
 同日19時39分ネット配信のHTBニュースでは「依田局長は『一日も早い開業を目指し地元の協力を得て課題を解決したい』と話しました」とあった。さらに6月8日18時50分ネット配信のHTBニュースでは「依田局長は経済関係者らを前に、開業前倒しに向けて努力する意思を示したうえで、トンネル工事によって発生する土の受け入れ場所確保に向けた協力を求めました」と、開業前倒しの可能性に肯定的な伝え方。メディアによって、、また同じメディアでもニュアンスが違う。
 2030年札幌冬季五輪開催に向けた新幹線開業前倒しへの地元期待と、現実的な建設工事の状況が噛み合っていないことは分る。それが全く絶望的なものなのか、難しい課題を解決すれば、ちらりとでも希望の明かりが見えるものなのか—。

■福井照沖縄北方担当大臣、間違い釈明でまた的外れ発言 (18.03)
 週刊新潮は「強制猥褻」「セクハラ」報道
 福井照沖縄北方担当大臣が2月の就任会見で色丹島を「しゃこたんとう」と言い間違えたことを釈明。間違いを正すのはいいとして、この釈明、また的を外したのではー。
 就任会見時に「しゃこたんとう」と読み違えた件は、秘書官の指摘で会見中に訂正した。人間誰しも間違いはあるが、立場上、このミスは頂けない。
 3月25日、同大臣は根室市内で開かれた北方領土元島民団体などの要望・懇談会でこの件を釈明。だが、この言い訳、新聞を読み比べると、ちょっとしたニュアンスの違いどころではないものがある。
 北海道新聞3月26日記事を引用させて頂くとー。<福井氏は「17年前にビザなし交流で色丹島を訪れ、斜古丹のロシア人村長の家でウオッカを傾け議論した。(就任会見時に)頭の中で、斜古丹湾があったな、斜古丹墓地に行ったな、と思い出しながら口に出たのが『しゃこたんとう』だった」と説明。「皆さんに大変ご迷惑をかけた。申し訳ない」とあらためて陳謝した。>となっている。
 次に同日の毎日新聞記事から抜粋させて頂く。<福井照沖縄・北方担当相は(略)色丹(しこたん)島を「しゃこたんとう」と言い誤ったことについて「昭和8(1933)年まで斜古丹島(しゃこたんとう)と呼ばれていた」と誤った釈明をした。><だが元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟の資料などによると33年10月に村名が「斜古丹村」から「色丹村」になったが、「斜古丹島」と呼ばれたことはない。><色丹島の元島民、得能(とくのう)宏さん(84)=根室市=は「斜古丹島と呼ばれたことは、どれだけさかのぼってもない。いいかげんで分かっていない人だと思った」と話した。>—などとなっている。
 記者の視点という点で、毎日新聞に賛意を表したい。
 同じ3月26日、「週刊新潮」3月22日号掲載の記事が、インターネット版「デイリー新潮」で配信された。<「福井照大臣に#MeeToの嵐 今度は「強制猥褻」「セクハラ」>という記事だ。赤坂芸者や自殺未遂騒ぎを起こした元高知県の愛人のこと、温泉コンパニオンとの破廉恥写真、などなどのスキャンダルを列挙してある。
 こういう人物が、特に北海道民にとって需要課題である北方領土問題を担当する大臣であっていいのか、という問題だ。北海道新聞記事は甘すぎる。

■19歳女性、岩見沢市内で遺体発見の報道 (18.02)
 バーの常連だった危険性、目をそらすな
 札幌市白石区の19歳女性の遺体が岩見沢市内で見つかり、ススキノの飲食店経営者ら男3人が逮捕された。報道が視線をそらせているポイントがある。
 女性は昨年12月15日ごろ、父親に「出かける」と家を出たまま行方不明に。家族らが懸命に情報を求めていた。
 2月24日になって、遺体の一部が見つかり、まず飲食店経営の男2人(共に31))が逮捕、送検された。1人が遺体を捨てたと話している。その後、もう1人の男(47)が出頭、逮捕は3人となった。
 報道によれば、被害者女性の知人らは「いい子だった」と、事件をいたんでいる模様。若い女性がおそらく通常とは思えない状況で死に至ったのは何とも痛ましい。女性は行方不明になる直前に男の1人が経営する「飲食店」を訪れていたと見られる。女性は店の常連だったと言われる。
 その「飲食店」だが、「バー」と報じたメディアもある。実際に店の画像が写され、看板には明らかに「BAR」とあった。それを単に「飲食店」と曖昧に表現した意図が「??」だ。
 女性はまだ19歳だった。現在は18歳から選挙権があり、飲酒、喫煙も18歳からOKなのか、と聞かれれば「そうなったかも知れない」と自信がなくなる向きもあるようだ。しかし、間違いなく「お酒は二十歳から」なのだ。
 となると残念ながら、19歳でバーの常連客だった女性のイメージががらりと変わってくる。四角四面に言えば、女性の「素行」が非難されるかもしれない。死者にむち打つのは気が引ける。「飲食店」報道はそこに配慮した? 
 SNSなどネット上から犯罪に巻き込まれる事件が相次いでいる。その度に、特に未成年、子どものインターネットとの関わりに警鐘が鳴らされる。未成年の、特に女性のアルコール主体の飲食店との関わりについても、もっと注意喚起がなされるべきではないのか。この事件はそんな機会だったはず。
 女性が法を犯すことの怖さを考えていれば、十分な警戒心もなくススキノのバーに足を踏み入れていなければ、被害者になることはなかった。やはり、警鐘が必要だ。「飲食店」でお茶を濁す問題ではない。

■2018さっぽろ雪まつり終了、来場者254万人 (18.02)
 会期伸びたが、昨年より10万人減の結果
 2018さっぽろ雪まつりが終了。大通会場、すすきの会場、つどーむ会場には254万3000人が来場。この数、多い?少ない?
 「第69回2018さっぽろ雪まつり」は2月5〜12日(ツドーム会場は1日〜12日)。メインの大通会場は昨年より会期が1日長い8日間だった。
 来場者数は、大通会場=187万4000人(昨年より4万6000人減)、すすきの会場=109万7000人(4万7000人減)、つどーむ会場66万9000人(5万4000人減)
  3会場の来場者合計254万3000人は、過去3番目の多さなのだが、過去最多の昨年を10万人下回る結果だった。実行委員会は、1月中旬以降の全国的なインフルエンザの大流行や、中華圏の春節(旧正月)に会期が重ならなかった、平昌冬季オリンピックと競合した、などの要因があったとしている。
 2月13日の北海道新聞は「さっぽろ雪まつり閉幕 過去3番目 254万人来場」の見出しで報じた。見出しに限っては「過去3番目の来場者数」だったことに重点を置いている。
 一方、報道内容はほぼ同じながら、同日のUHBネット配信ニュースでは「さっぽろ雪まつり 10万人減少 インフルエンザと平昌五輪影響か」となっていた。こちらは「減少」を重視したタイトルだ。
 どちらも正しいのだがー、見出しのチラ見だけでは、物ごとを見誤る、ということが分る。

■発寒中央病院でO157集団感染、1人死亡 (17.08)
 市民の最大関心事、病院名報道までタイムラグ
 札幌市西区発寒の発寒中央病院で入院患者が腸管出血性大腸菌O157に集団感染。だが、当初札幌市保健所、報道も市民が一番知りたいはずの病院名を伏せられた。
 7月30日から8月2日までの札幌市保健所の発表によれば、7月29日に入院患者2人、30日に4人、8月1日に1人のO157感染症の届け出があり、2日になって新たに3人の感染が連絡された。1人(報道によっては2人とされる)が死亡、有症者は12人となり、届け出が10人に達する見込みであることから、集団感染事例として病院名を公表した。給食や調理員からは検出されず、原因究明のため引き続き調査している。
 ちなみに、北海道新聞はこの件を、7月31日、8月1日、2日、3日と連続して報道。報道順に感染者数は7月31日=6人、8月2日=7人、3日=10人となっている。病院名を報じたのは3日の記事。保健所の発表を待って報道した模様だ。
 7月30日に80代男性1人が感染により持病の肺炎が悪化して死亡した。O157の集団感染、と聞けば一般市民は真っ先に「どこの病院なのか」を知りたい。それがはっきりするまで、時間がかかった。
 保健所は「公表基準」に従ったのだが、そこには基準オーバーなら「公表」、そこまで至らない「大したことはない」ものなら「伏せる」という、暗黙どころか、明確な線引きがある。根底にあるのは、保健所と医療機関の持ちつ持たれつの関係による配慮?
 そこに、報道機関はどう対応するのか。独自取材で市民に当該病院を知らせるのには勇気が必要なことであり、単純に非難はしない。メディアが病院名を伝えたのは保健所の公表後だ。が、このケース、どうあるべきだったのだろうか。
 8月2日・UHBのニュースでは、「保健所では、現在も病院名を公表しておらずー」と多少批判がましいニュアンスを出した。画面には病院の映像を出したが、病院名は放送しなかった。これも「忖度」か、それとも「及び腰か。
 病院側は2日に細川忍院長が記者会見、謝罪した。O1567ではないが、久留米大病院(福岡県)では昨年10月以降4人が抗菌薬の効かない耐性菌に4人が感染、うち1人が死亡した。同病院は記者会見を開いて事実関係を発表している。

■タクシー強盗情報、道警が丁寧すぎる訂正 (17.06)
 メディアにも散見される「楽しめる」ミス
 札幌市平岸で6月1日タクシー運転手が殴られて車が奪われ、運賃を踏み倒される事件が発生。同日、北海道警察本部が情報をメール配信した。翌2日、同情報のなかの「タクシー運転手が殴られて」の部分を「タクシー運転手が顔面等に暴行を加えられて」に訂正。そこまでしなくても、とも思える。担当者の生真面目さ、丁寧な仕事ぶりがうかがえる。ところでー。常日頃情報の正確さに神経を使っているメディアにも、ここのところさほど罪のない、むしろ楽しめるミスがー。
 5月27日、UHBのニュース。「北海道七飯町で、5月25日から住宅などの灯油タンクのホースが切断される事件が相次ぎ、警察が捜査しています」。「ホース」でなくて「パイプ」のはず。
 3月22日、北見市内で特急列車にカメラマンらしい男性がはねられ死亡。これもUHBニュース。「運転士は、『カメラマンらしき男性を見つけてブレーキを踏んだが、間に合わなかった』と話していてー」。当該特急のブレーキは「足踏み式」?と疑問を感じていたら、やはり自動車とは違って、手で操作するものだった。「ブレーキ」=「踏む」の思い込み。
 鉄道つながり。2月28日、朝日新聞。「トンネルを抜けると、平原にふっかりと積もった雪に陽光が強く照り返している」。これは、札幌から新千歳空港に向かうJR千歳線から見た情景。この区間に、トンネルはない。朝日は後日、丁寧に訂正した。
 少し古いが、2016年2月27日の北海道新聞。「上川管内美瑛町は26日、観光客の人気を集める丘陵地の木や建物の所有者に対し、新年度から年間3万円の管理費を助成すると発表した」。「初年度は小麦畑の丘にぽつんと立つ『赤い屋根の家』」などが対象になるという記事。農作物は連作をしないのが原則で、いつも「小麦畑」とは限らない。この年はトウモロコシ畑だった。
 そんな、ニュースの楽しみ方もある。(反省・自戒!)

■JR日高線廃止に北海道新聞のお気楽な批判 (17.02)
 「納得がいかない」なら、どうすれば?
 北海道新聞2月22日の社説「日高線廃止提案 やはり納得がいかない」を是非お読み頂きたい。
 冒頭部分を引用させて頂く。「JR北海道は、不通が続いている日高線の鵡川―様似間(116キロ)を廃止してバス転換する方針を沿線自治体に正式に伝えた。高波の被害で2015年1月に不通となりながら、被災箇所の復旧に着手することなく、置き去りにしたままでの廃線方針である。この間、運行再開への具体的な動きはほとんど見られなかった。JRは廃線ありきだったと受け取られても仕方がなかろう。納得できる提案ではない」という主張である。
 「被災箇所の復旧に着手することなく、置き去りにしたままでの廃線方針」を感情的に非難している。では、復旧に着手、あるいは86億円もかけて復旧を完遂したあとで、廃線を決めるのなら納得いく、というのだろうか。まさか。
 要は、きちんと元どおりの形の運行に戻しなさい、と言うのだろう。JRが路線維持の場合は年間13億4000万円の地元負担を求めたことには「財政にゆとりのない自治体側が簡単に応じられるはずもない。仮に、そんな事情を承知の上で地元が諦めるのを待っていたのだとしたら、まっとうとは言えまい」と論じている。
 つまり、地元負担はゼロまたは最小限とし、あとはJRの責任でやるべき、という主張だ。地元民の心情を代弁しているとは言える。筆者はJR北海道に決して肩入れするものではないが、それができないから問題なのである。どうやればいいのか、国や北海道が肩代わりするという非現実論くらいしか、誰も答えを出せないだろう。答えはそちらで考えろ、文句だけは言っておくーーずいぶんお気楽な話である。

■どうなった? 伊達忠一参議院議長のゴルフコンペ費用負担 (16.12)
 メディアは公選法違反と騒ぎっぱなし、その後関心なし?
 11月末から12月初めにかけて、各メディアが伊達忠一参議院議長の後援会のゴルフコンペ問題を一斉に報じた。しかし、その後の静かさは不思議だ。
 伊達忠一連合後援会が2013年〜15年に毎年支援者向けゴルフコンペを行い、会費収入より支出が上回った。3年分の合計で約94万円が後援会からの持ち出しとなったという。これは選挙区内の有権者への寄付を禁じた公職選挙法違反ではないか、という指摘が出た。
 伊達氏は北海道選出参院議員というより、現在では参院議長という良識の府の表看板。新聞各紙も全国紙、地元の北海道新聞はじめ、東京新聞、西日本新聞、中日新聞、高知新聞などのブロック紙、地方紙も報道した。
 全国紙も含め、多くは共同通信からの配信記事を流したもので、後援会側のコメントとして「コンペに参加予定だった人にキャンセルがあった。弁当代などを負担していたため、結果的に差額が生じた」と報じた。読売新聞新聞は「伊達氏は30日、読売新聞の取材に『コンペに参加予定の人たちが何人かキャンセルして来られなかった。弁当代などを負担していたため、差額が生じた』と説明した」と書いた。
 地元の北海道新聞は「後援会によると、運営費や景品代などの経費に充てたが、参加者から集めた会費より少なかったため、その差額を負担したという」と書いた。共同や読売は「弁当代」、道新は「運営費や景品代」と、少しニュアンスが違う。同一担当者の「まちまち発言」なのか、別々の担当者が別々のことを言ったのか。
 道新は「適正に処理をしており、問題はないと認識している』という後援会のコメントも掲載。しかし、同じ記事で「公職選挙法に抵触するおそれもある」と書いておきながら、後援会の説明で「はい、分りました」ということなのか。その後、メディアはこの件を深堀りしていない。
 小渕優子前経済産業大臣の場合、後援会が行った支援者向けの観劇会で、支払った費用が参加者から集めた収入を上回ったことが、寄付行為、有権者の買収にあたるのではないか、と問題にされた。その過程で本人の顔写真をラベルにしたワインを贈ったことも浮上。小渕氏の事務所は、あろうことか、パソコンのハードディスクをドリルで破壊して証拠隠滅をはかった。結果的に、元秘書2人が政治資金規正法違反で在宅起訴されたが、本人に連座制は適用されなかった。
 そんな前例もあって、伊達氏あるいは後援会関係者が摘発、起訴されるかどうかは分らない。しかし、メディアがそろって関心を失ってしまったかのようなその後の静けさは「それでいいのだ!」とは思えないのだが。

■違和感があったUHBの給食画像、市教委は関与せず (16.11)
 札幌市内小中学校30校で混乱、徐々に回復
 札幌市内の小中学校15校で給食用ボイラーの煙突からはがれ落ちた断熱材にアスベスト含有の心配があり、給食を中止。当該校とそこから給食の提供を受けている30校で、最大1万3000人の子どもたちへの給食が影響を受けた。
 育ち盛りの子どもたちにとってパンと牛乳だけ、という簡易給食は物足りなかっただろう。それにコロッケを加えたり、他の施設で作った給食を配送するなど、現場がてんてこ舞いとなった。
 徐々に再開されているが、11月13日、UHBがある中学でご飯、きのこ汁と、おかずは切り干し大根だけだったことを報じた。「久しぶりの給食だけど、残念な感じがした」という生徒の話も紹介。
 UHBの画面に四角いお盆の上に、ご飯、きのこ汁、小鉢にはいった切り干し大根、それに牛乳パックが乗っている画像。何とも寂しいのだが、それを別にして、違和感を持った視聴者も少なくなかったようだ。画面に出た、ご飯が右、みそ汁が左、という配膳位置が普通の日本人の食習慣とは異質なものだった。学校給食は栄養や衛生管理には神経をつかうのだろうが、マナーや作法、文化には無頓着なのか。これを見た市民から札幌市教育委員会の保険給食課に意見や問い合わせがあった。
 実は、テレビの画像はUHBが生徒の話から再現したもので、市教委は関与していなかった。わけの分からない担当者が適当に並べたのが真相。それにしても、ちょっとお粗末ではあった。
 保険給食課では「学校現場では食事の時間などで、日常的に食べ方なども指導しています。その日の給食内容に沿って、お盆の上にこんな風に置くんですよ、とやっています」と説明している。

■北海道新聞54歳男性社員飲酒運転で逮捕 (16.10)
 運転モラル順守、心に届かない人たちがー
 10月17日、昨年6月に砂川市で飲酒・無謀運転で家族4人が犠牲となった事件の裁判員裁判が始まった。地元紙・北海道新聞が模様を伝えている。一方でーー。
 10月17日「どうしん電子版」の一部を引用させてもらう。タイトルは「遺族『とんでもない』 危険運転否認に憤り」。記事は「無謀な運転によって家族4人が犠牲となった悲劇から約1年4カ月。札幌地裁で17日午前始まった砂川市一家5人死傷事故の 裁判員裁判 の初公判で、谷越隆司(たにこしりゅうじ)被告(28)と古味(こみ)竜一被告(27)はともに起訴内容を否認し、今後の公判ではほとんど前例のない『危険運転致死傷罪 の共謀』の成否が争われることになった。レースまがいの高速走行や赤信号無視など、いくつもの悪質運転を重ねたとして起訴された2人にどのような判決を下すのか。裁判員は難しい判断を迫られる。」というもの。
 10月22日の道新「<記者日記>シートベルトなしは怖い」欄では、砂川の現地をカバーする支局に勤務していた記者が「事故後、その悲惨さ、周囲の悲しみや怒りを繰り返し訴えてきたつもりだが、地元ですら 飲酒運転 が一向になくならなかった」と嘆いている。そして「無力感の一方で、確信した。どんなに運転モラルの順守を呼びかけても、心に届かない人たちが必ずいるということ」と書いている。
 次は10月26日、朝日新聞デジタルの記事。「北海道警札幌白石署は25日、北海道新聞社員の井田剛容疑者(54)=札幌市白石区平和通5丁目=を道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕し、発表した。」「井田容疑者は『25日午前0時ごろから、自宅でビールと焼酎を4杯飲んだ。体に酒が残っていると分かっていた』と供述しているという。」「同社は「逮捕は遺憾。法令順守の指導を徹底していく」とコメントした。」
 この逮捕事件について、真剣に探したわけではないが、道新には記事が掲載されていない模様だ。

■幻だった小麦畑の丘にぽつんと立つ風景 (16.08)
 美瑛町が保存に力入れる「赤い屋根の家」
 北海道に「麦秋」の風景が広がる季節。美瑛町では、小麦畑の丘にぽつんと立つ「赤い屋根の家」が注目を浴びる季節ーーのはずだったが、農作物が毎年同じ風景を見せるはずはなかった。
 美瑛町は今年から独自の景観条例で「景観重要建造物・樹木」を指定、3万円を助成することになった。初年度は「親子の木」、「赤い屋根の家」などが対象。
 同町内では今年2月、「哲学の木」を所有者が切ってしまった。これは畑の中に立つポプラの木で倒れる危険が高まった上、観光客が無断侵入して畑を荒らすケースが増えたため、やむを得ない対応。町としては人気スポットの維持のため、助成を始めたもの。
 ところで、そのニュースを伝えた2月27日の北海道新聞記事に、初年度助成対象として「小麦畑の丘にぽつんと立つ『赤い屋根の家』」が含まれるとの記述があった。その直後、札幌市内のAさんから「でんまが」に「その表現はどこかおかしくないですか」という声が寄せられた。書いた記者は小麦畑に囲まれた赤い屋根の美しい風景を思い浮かべたのだろうが、農作物は連作しないのが原則で、毎年同じ風景になるとは限らない、という意味だった。
 道新に問い合わせたところ、連作しないことは確かだが、記者は初年度の今年については小麦畑になることを取材して書いているはず、という強い口調の説明だったと言う。美瑛町に問い合わせたところ、町では「小麦畑云々とは発表しておらず、今年何がつくられるかは分りません。道新さんは独自の取材をされたのでしょう」とのことだった。なるほど、新聞記事とはそこまでやっているのかと思ったが、しかし半信半疑の気持ちも捨て切れない、というAさんの話だった。
 先ごろ、札幌市内のあるカメラマンが美瑛の丘の風景撮影のため、美瑛観光協会に「赤い屋根の家周辺の麦秋はそろそろ見頃ですか」と電話してみたところ、対応した女性職員が「少しお待ちください」と電話を離れて何やら確認している様子で、やがて「今年はトウキビ畑になっています」という返事だった。

■新千歳空港発着増に対応しきれないJR北海道 (16.05)
 背後の情景が読める道新記事のニュアンス
 2015年中に1000万人以上の利用客があったJR新千歳空港駅。空港は17年春から日中の発着枠が3割アップになるのに対し、JR北海道は大幅な輸送力増強に対応できないのが悩みだ。—この話題を報道するのに、上記のような書き出しになっても不思議ではない。しかし、5月7日の北海道新聞記事はすこしニュアンスがちがう。
 同日、道新の1面トップ記事は「地新千歳発着枠拡大も 『エアポート』増強せず JR方針 費用巨額 ダイヤ過密」の見出しに続いて、リードが「新千歳空港 の日中の発着枠が来年春から3割増え、乗降客数の大幅増加が見込まれる中、JR北海道が当面、札幌―新千歳空港間の快速エアポートの増便など輸送力増強を検討しないことが分かった。」と続く。
 そして「車両新造やシステム改修など巨額の 設備投資 が必要なためだ。現在でも時間帯によって混雑しており、輸送力が増強されなければ、空港の乗降客数増の足かせになりかねない。観光客の印象を悪くする可能性もあり、改善を求める声が強まりそうだ」と報じている。
 国土交通省の11年度の調査では、新千歳空港の15年の乗降客は2045万人、空港駅利用者は1065万人。空港利用者の51%がJRを移動手段とし、自家用車の22%、空港バスの11%を引き離すのだそう。発着枠拡大で利用客が増えるとなれば、JRとしても対応する必要がある。しかし、新規投資が巨額になることや諸々の事情で、JRとしては抜本的な対応が難しい。ーというのが記事の要旨だ。
 しかし、「(JR側は)『新千歳の発着枠拡大でどれくらい乗降客が増えるか見通せない』(運輸部)として、抜本的に輸送力を増強する考えはないという」という書き方の背後に、紋切り型のJRの取材対応が感じられる。実際の対応はソフトなものであったとして、記者の受け取り方が冷淡だったのか。
 事故,不祥事、その対応のまずさ、新幹線札幌駅のホーム位置問題など、JRが行政や道民、札幌市民の期待にこたえ切れていないことへの不満が投影されている。そんなことを思わせる記事のニュアンスだ。それにしても、JR側の取材対応によっては、本稿の最初のような書き方になったのではないか、と感じさせる。
 筆者がかつて一線の雑誌記者だったころには、銀行、北海道電力、JRなどの道内大手企業にはなかなかの広報担当者がいた。こちらは企業側の作戦に乗せられていたのかもしれないが、信頼感があり、人間的に親しみを感じさせる人材だ。いま、企業にそんなゆとりがなくなっているのか—。

■女子中学生の不幸で目に余るメディアのばか騒ぎ (16.04)
 紹介したい千田有紀武蔵大学教授の冷静な論評
 埼玉県の女子中学生が誘拐され、2年間も監禁されていたというショッキングな事件。「でんまが」読者からメールで「なぜ逃げなかったのか」「監禁中の生活はどうだったのか」、そんなことマスコミが執拗に詮索することなのか、という疑問とともに、千田有紀武蔵大学社会学部教授の論評が添付された。特にメディア関係者にしっかり読んでもらいたい内容だ。
 事件についてここで説明する必要はなさそうだ。テレビのバラエティ番組や週刊誌が、これでもかというほど伝えている。それらの多くに真摯なジャーナリズムが疑われるのは残念なことだ。
 事件がショッキングなため、埼玉、千葉、東京が現場であっても、道内のメディアも連日報道する。例えば北海道新聞の週刊誌の広告枠内に「美少女を2年間監禁 千葉大生の歪んだ情欲」という見出しがあり、紙面には「空白2年 残る謎」「監禁実態解明難航も」といった記事が踊る。
 千田氏の「女子中学生監禁事件、『なぜ逃げられなかったのか』という『理由』を問うことは暴力である」という論評は、YAHOOニュースでも配信されたもの。
 失礼を承知でほんの一部だけ抜粋編集して紹介させて頂く。
ーー予想されたことであるが、「なぜ逃げられなかったのか」を検討する報道が続出している。アパートの鍵のかけられ方、そして壁の厚さや部屋の配置を執拗に検討し、「周囲に物音は聞こえたのではないか」「声を出せば届いたのではないか」を問いかける報道があまりに多く、目に余る。
ーー逃げなかった理由はこうした報道だろう。「なぜ逃げられなかったのか」「何があったのか」という視線にさらされ、根掘り葉掘り報道されることを考えれば、想像力があればあるほど、逃げる勇気がでなくなる。監禁から逃れたあともまた、違う被害にさらされるのであるから。
ーーこうした報道自体が、不幸にして次の監禁事件が行われた場合、被害者の救出をさらに困難にしないだろうか。次の被害者を出してしまう可能性すらある。
 千田氏には、もっと痛烈なメディア批判を期待したい気がする。
 15歳の少女の不幸を食い物にするマスコミ報道が鼻につく。それを喜ぶ視聴者、読者もいて、メディアがそれに迎合する、というより自分たちが下品な面白がり方をしている。それだけのことだ。国民の知る権利とは、そんなものではない。もちろん、専門家が詳しく状況を把握し、分析することは必要だ。しかし、下世話な世間に明け広げにする社会的利益はない。優しく覆い包む、はっきり言えば知らせない知的作業が求められる。そうでなければメディアもまた共犯者だ。
 北海道のメディア関係者は、こんな時こそ冷静な独自性を発揮して欲しいものだ。

■北海道新聞が初めて「新函館駅」の表現 (15.11)
 「北斗」を省略、世間一般に定着しそうだが—。
 北海道新幹線の新青森—新函館北斗の開通が来年3月26日に迫って、何かと話題がでてくる。しかし、いちいち「新函館北斗」と書くのは面倒だ、と感じている向きも少なくないはず。正式名称や北斗市関係者のメンツ、思いはさておいて、「新函館」で話は通じる。北海道新聞が11月3日の記事で初めて「新函館駅」と表現した。
 記事は同日4面の「新幹線割引制度、道がJRに要請」というもの。道総合政策部の渡辺直樹交通企画監らがJR北海道本社を訪れ、同社の小山俊幸常務に要請書を手渡した、というのだが、「要請は非公開」とある。道民の声を代表して知事名の要望書を渡した。そんなことがなぜ非公開なのか不思議だが、記事はそこに触れていないところに不満が残る。
 と思って読み返すと、「道は2日、JR北海道に対し来年3月に開業する 北海道新幹線 の乗車料金に割引制度を設定するよう要請した。 青函トンネル の避難誘導訓練の実施や、新函館駅から道内各地を結ぶ在来線の円滑なダイヤ設定なども求めた」と書いてある。
 メディアはぼつぼつ「新函館」の表現でいい、と判断しだしたのか。1読者として道新に問い合わせると電話に出た読者センター担当者は、気づいていなかった。「新函館北斗と書きます。北斗を省略することになった、ということはありません」との答え。単なる手違いだった。だが、書いた記者、校正した担当者らも、違和感を持たなかったことがうかがえる。
 北斗市広報課担当者も記事は読んでいたが、「新函館駅」には気がつかなかったようだ。市としての正式コメントではないが「私たちは新幹線駅があることを誇りに思っています。駅名の呼び方から北斗が省略されるのは受忍できません」と言う。しかし「正式名称や、メディアの表記はともかくとして、世間一般では新函館駅の呼び方が定着する可能性が強そうだ。それをどう思うか」と聞くと、返事が苦しそうだった。意地悪質問だった

■「食べながら運転」、それっていいの? (15.08)
 札幌市内観光幌馬車の紹介記事から話題に
 札幌中心部を観光客らを乗せた2階建ての赤い幌馬車が運行している。楽しそうだ。残したい風景である。
 北海道新聞がこの観光幌馬車に1日密着取材して紹介した(8月17日記事)。御者・渡辺一美さんが朝4時半に北広島市の厩舎で起床、馬に食事を与える。一旦長沼町の自宅に帰り、シャワーを浴び、妻が用意した朝食用おにぎりと弁当を持って、7時前には厩舎に戻る。馬にブラッシングなどして、8時には2トントラックに乗せ、馬用の食事、水とともに札幌・ススキノの基地に向かう。
 記事を引用。ーー渡部さんはカウボーイ姿に着替え、札幌へ。「毎日変わらない手順。これが安全運行の秘訣(ひけつ)だね」。渡部さんは運転しながら、朝食のおにぎりを頬張ったーーその後、馬車、馬、御者、子供たち、市民、観光客らの1日が過ぎていく。記事は馬と人との交流を温かい視線で捉えている。
 しかし、「安全運行」「運転しながら、朝食のおにぎり」には、あれ、それってどうなの? と疑問を持った読者もいた。記事はこの場合の「食べながら運転」も好意的、肯定的に捉えているようだ。
 道路交通法では「安全運転の義務」(70条)に「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」とある。
 「ながら運転」はどうなのか。「ウィキペディア」では、主な例として、運転中に読書(新聞・雑誌)・テレビの視聴[2]、携帯電話での会話や電子メール送受信の操作や注視・喫煙・飲食・化粧・オーディオ・パソコン・会話・飲酒・性行為をすることなどがあげられる、とされている。これが全部違法というわけではない。喫煙、飲食、オーディオ、会話などは、違法とは言えないというのが一般的概念のようだ。
 つまり、「食べながら運転」は道路交通法違反にはならない。ただし、その状況で事故を起こせば、被害側に対して過失行為による損害賠償責任が生じる。両手でハンドルを持ち、前を見て運転していたのに、一瞬の不注意で事故になったケースに比べ、過失の度合いは重くなる。なので、決してお勧めできない。記事から、そのことを直感した読者もいたはずだ。
 この記事のこの部分。「食べながら運転」は必要なかった。道新が力を入れる「NIE」(新聞を教材として活用する)に是非取り上げてもらいたいものだ。

■拿捕された漁船に医薬品や物資届ける (15.07)
 各紙各様、届けた主役は一体誰だったの?
 広尾漁協所属の小型サケ・マス流し網漁船「第10邦晃(ほうこう)丸」(29トン、乗組員11人)が、許可された以上に漁獲したとして、ロシア国境警備局に拿捕された。連行され国後島古釜布(ユジノクリーリスク)の沖合に停泊中の邦晃丸に、7月24日、薬屋や物資が届けられが、届けた主役は一体誰?
 地元紙に敬意を払って、どうしん電子版掲載の「拿捕漁船に物資届ける ビザなし交流訪問団、乗組員と面会」(7月25日9時14分更新)の記事から引用させて頂くと「北方領土 ビザなし交流 訪問団に参加している民主党の鈴木貴子衆院議員(比例代表道ブロック)らが、同船で乗組員と面会して渡した」と、最初に出てくる個人名は鈴木貴子氏。「鈴木議員によると、同議員と鈴木宗男新党大地代表、外務省職員1人が邦晃丸に乗り込み、11人の乗組員全員と約1時間面会した」とされる。つまり、この記事では、主役は鈴木貴子氏、脇役が宗男氏、外務省職員はさらに端役?
 道新とはある意味で対極ともされる産經新聞ネット版(7月25日9時8分配信)はタイトルが「漁船拿捕 乗組員と鈴木宗男氏らが面会」。記事の最後に「面会には鈴木氏の娘の鈴木貴子衆院議員(民主)と外務省職員も同行した」とある。こちらはシテ=宗男氏、ワキ=貴子氏、ツレ=外務省職員、の扱いだ。
 毎日新聞(7月24日23時14分配信)の記事は見出しが「<日本漁船拿捕>外務省職員、鈴木宗男氏らが乗組員と面会」となっていて、本文に「面会したのは外務省職員と鈴木宗男元衆院議員、鈴木貴子衆院議員の計3人」とある。シテ=外務省職員、宗男氏と貴子氏が同列か、あるいは順番を重視すれば、太郎冠者=宗男氏、次郎冠者=現職国会議員・貴子氏という扱い??

■実質本番たけなわの知事選挙、佐藤のりゆき氏に陰の援軍 (15.03)
 現職・高橋はるみ氏への「4選批判」を誘導?
 3月26日告示・4月12日投開票を控え、知事選が実質的には既に本番。3月最初の日曜である1日、現職の高橋はるみ氏と佐藤のりゆき氏が、相次いで十勝入りし、支持を訴えた。高橋氏は自民が推薦、公明が支援を検討、佐藤氏については民主が支持、共産と社民が支援、維新が支援も検討、大地の出方が注目、という状況。もう1つ、「佐藤氏の陰の援軍は北海道新聞だ」という見方も。
 どうしん電子版が3月2日05時の記事で「高橋氏、佐藤氏十勝入り 高橋氏、4選挑む覚悟報告/佐藤氏、道政の停滞感指摘」と報じた。
 高橋氏については「道政史上例がない4選目に挑む覚悟を決めた」「(道議選の)帯広市、十勝管内も厳しい選挙戦になるが、心を合わせてみんなで勝ち上がる。笑顔を絶やさず、全力疾走するのでご支援をお願いします」と訴えたと報じている。また佐藤氏は「いまの北海道は船に例えると、大海の真ん中で前に進まなくなった鉄の塊」「北海道は豊かな資源とやる気のあるみなさんで、必ずもっと豊かになる」と呼びかけた、とある。両氏に関する記事はほぼ同じ字数を割いて、一応公平な扱いだ。
 しかし、政治や行政に関する道新の姿勢は一貫して左寄りであることは衆目が認めるところ。象徴的なのは、2月26日紙面の「一騎打ちへはや火花 道知事選、告示まで1カ月 高橋氏、安定感アピール/佐藤氏「4選阻止」旗印」という記事。
 「道知事選候補予定者の主張や横顔」を表にまとめ、キャッチフレーズは高橋はるみ氏「世界に発信!輝く北海道」、佐藤のりゆき氏「道産子の情熱」などと紹介。それぞれの出馬の動機、泊原発再稼働へのスタンス、主な公約、政党との関係、主な経歴、などを紹介している。その中に「道知事4選について」の項目があり、高橋氏「4期目への挑戦はこれまでの延長線上にはない。マンネリにならないように身を律していく」、佐藤氏「4期を良しとしない人たちは一致団結してほしい。その先頭に私が立つ」とある。高橋氏への4選批判というネガティブ項目を立てているが、佐藤氏へのネガティブ項目はない。「出身地」に高橋氏「富山市』、佐藤氏「札幌市」とあるのも、斜めに見れば、一方は「よそ者」、他方は「地元仲間」と示唆しているようにも見える。
 高橋氏の4選を問題にするのなら、行政実績・手腕、これまでの政治スタンス変遷、年齢(現職・高橋氏61歳、新人・佐藤氏65歳)、等々の要素も比較項目に加えてはどうか、と思える。筆者は多選がいいとも悪いとも決めつけない立場だ。肝心なのは経験の長短でなく「何をするのか」だ。検証はさておき「多選は問題があるよね」と誘導を策すのはフェアでないし、読者を愚弄していると指摘しておきたい。

■言論を萎縮させる企図にはまった?北海道新聞記事 (15.01)
 慰安婦報道の元朝日新聞記者、文春などを提訴の報道
 慰安婦報道に関わった植村隆・元朝日新聞記者(北星学園大学講師)が、同氏の記事が「捏造」と報じられ、名誉を傷つけられた、として文藝春秋、西岡力・基督教大学教授を提訴。各紙が報じたが、北海道新聞の記事内容が、ある意味突出していた。
 提訴は1月9日、1650万円の損害賠償を求めたもの。このニュースの扱いは、読売新聞は「慰安婦報道元朝日記者提訴」としていわゆるベタ記事。毎日新聞も「元朝日新聞記者文春などを提訴」「慰安婦報道で中傷」と見出しは2本に分かれているが読売と同程度の扱い。両紙とも週刊文春編集部の「記事には十分な自信を持っている」、西岡氏は「私が書いたことは憲法が保証する言論の自由の中だと思っている」といったコメントを添えた。
 朝日新聞は少し扱いが大きくて、3段見出しで「元朝日記者、文春などを提訴」「植村氏 慰安婦記事捏造の報道、名誉毀損」として、訴状内容、記者会見での植村氏の説明を報じた。同氏の写真をつけて、「家族への攻撃耐えられない」という別稿もある。
 北海道新聞は「捏造否定 司法の場で証明」「文春など提訴の元朝日記者」と2段見出しだが、植村氏と弁護士と思われる人物の写真を大きく扱っている。訴状内容より、植村氏の心情を含めた会見での説明に字数を割いている感がある。
 筆者がひっかかるのは、道新記事の「会見には札幌の弁護士2人も同席。植村氏が近く札幌地裁にも同様の訴訟を起こすと述べたが、時期や被告は「まだ確定していない」として公表しなかった」という部分だ。弁護士はどういう目的で発言したのか。筆者は「いま相手の名前は言わないが、他にも訴えを起こします。心当たりのある人は、今後の執筆や発言にも十分に心を配ってほしい」と言外の意を込めた、と受け止める。一本、釘を刺しておいた、ということだ。
 弁護士発言は、植村氏を批判・攻撃する立場で執筆、発言する側に訴訟をちらつかせて「萎縮」させることが目的ではないか。牽制、もっと強く言えば威迫、恫喝する意図があったのではないか。弁護士の立場としては、上手なやり方だと思う。
 しかし、道新がそれを伝えて、植村氏側の企図に加担してしまったとしたら、その是非に疑問を感じるのだ。植村氏本人が文藝春秋に掲載された手記の中で「慰安婦問題を書くと、攻撃を受けるという認識が朝日新聞自体にも広がっているようだ。記者たちの萎縮が進んでいるように思える」と書いてある。冷静なジャーナリストらでも、やはり手厳しい反論や、それに誘発される不法な攻撃は疎ましいし怖い、と認めている。そうした言論を「萎縮」させる行為を、今度は植村氏側が企図した? 相手は「言論」であって、暴力的に反撃してくる怖れはない、とタカをくくれる、とまで発言者が考えたかどうか分からないが、それを伝えるメディアにはもっと慎重さが求められる、と考えるのだ。
 一般読者は前記弁護士発言部分にさしたる関心を持たなかったのではないか。大きな関心を持ったのは誰だったのか。道新はその部分を誰に読ませたいと意図したのか、気がつかなかったのか。書いてしまったことで、この記事には大きなマイナス点がつく。道新は慰安婦記事問題で、報道姿勢を検証し、反省したのではなかったのか。

■どこかおかしい北海道新聞の札幌市長選報道 (14.12)
 候補を平等に扱っている体裁で、一方に肩入れ?
 衆院選が師走のまちを走る。そのなか、来年4月の札幌市長選に関しては、自民党推薦の本間奈々氏(元総務省自治大学校研究部長)が衆院選候補との連動で動くのに対し、市民党の立場で政党と距離を置く秋元克広氏(前札幌市副市長)は独自に団体回りなどを展開中。衆院選が格好の顔を売る機会となって本間氏に有利のように見えるがー。
 北海道新聞が12月7日、「札幌市長選戦略 違い鮮明」「本間氏 候補との連動に力」「秋元氏 団体回り足場固め」の記事を掲載。本間氏が札幌市内を選挙区とする衆院選自民党候補の演説会に駆けつけ、壇上で声を振り絞った模様を伝える。朝から晩まで日程がびっしりという。一方、秋元氏は若手経済人が開催した異業種交流会で「札幌を元気にしていかなければ」と訴えた、と同記事は伝えている。
 衆院選期間中、単独の演説会はできないため、自民党衆院選候補と連動できる本間氏が有利であることは明白だ。民主党の支持母体である連合北海道は秋元氏推薦を決定しているが、民主党北海道は「支持」でいく方向。経済人グリープが選挙母体になっている秋元氏は、民主党とは距離を置き、「市民党」を掲げているので、衆院選の民主党候補の応援に駆けつける、ということにはならない。
 そこで、先の道新記事を斜め読みすると、衆院選連動で本間氏が走り回っているが「秋元氏もお忘れなく」という意図が感じられないか。
 秋元氏は上田文雄市長の下で副市長として上田市政を推進してきた立場で、「上田後継」の色合いが否定できない。道新といえば「左寄り」の烙印付きで、札幌市政に関しては「強力な上田与党」と言われるほど。その道新が、衆院選の中で影が薄くなった秋元氏に読者の視線を向けさせるーそこまでの作戦ではないにしても、結果は「秋元氏不利」の状況をカバーしている。
 秋元氏を市長選に担ぎだしたのは後援会代表を務める加藤欣也氏(昭和交通社長)、紫藤正行氏(大黒自工)など札幌商工会議所の有力議員らの経済人グループ。札商の政治団体である札幌商工連盟(会長=高向巌札商会頭)は自民党候補の推薦を決定しているので、これは造反行為とも言える。しかし、自民党に対し札商の6幅会頭のうち5人が秋元氏を市長候補として推薦したのが不発となった経緯があり、実際には幅広い経済人らの意向を受けた秋元氏担ぎ出しだ。
 道新記事に対して、それら経済人から文句は出ない。しかし、候補予定者を平等に扱っているようで、実際には特定候補に肩入れするようなやり方になっており、意図的だったすれば姑息だし、そうでないとしてもどこかおかしい。道新は慰安婦記事問題で、報道姿勢を検証し、反省したのではなかったのか。

■おたるドリームビーチ、ひき逃げで道路から車両締め出し (14.07)
 中松義治小樽市長の短絡思考、札幌市も「それでいいのだ」?
 「おたるドリームビーチ」と国道337号を結ぶ小樽市の市道で、飲酒運転の馬鹿者が海水浴帰りの女性4人をひき逃げし、3人が死亡した。
 中松義治小樽市長は7月28日、記者会見で現場道路を車両禁止、歩行者専用とする考えを示した。この道路は長さ約1.5キロ。海側は小樽市道だが、中間から国道337号までは札幌市道。小樽市は札幌市とも調整を始めたという。
 何の落ち度もない女性4人がひき逃げ被害に遭ったことは同情に余りある。加害者のいかなる弁解も聞きたくない。運転すると知って(予測ができて)酒を飲ませた、黙認した者にも十分な責任を取らせるべきだ。
 しかし、現場道路の車両禁止を小樽市が検討、という新聞報道には、スンナリ飲み込めないものがある。馬鹿者がバカな車事故を起こしたから、道路を歩行者専用にーは、余りにも短絡すぎないか。海水浴を楽しむには、かさばる荷物を伴う人が多いはずで、車の利用が便利だ。それを制限ーどころの問題ではないはずだ。
 ドリームビーチへの道は他にもあるので、1カ所を車両止めしてもいいだろうー「それでいいのだ」とは素直に思えない。馬鹿者のせいで、何の責任もない人たちに不便を強いるのは不条理だ。道路のみならず、インフラは必要だからある。それを短絡思想で廃止、利用制限では、納得できないのだ。万一、海水浴で賑わっているとき石狩湾に津波がきたら、避難の混乱はどうなるのか。「想定外だった」では済まない。海には楽しさもあるが、怖ろしさもある。小樽市長は、海がある自治体の長として、考えが浅いのではないか。
 この道路は、ビーチから国道337号まで、海側は小樽市道、国道側は札幌市道。札幌市道には歩道、ガードレールがあるが、小樽側にはない。事故はそこで起きた。やることをやらないでいて、問題が起きれば、車を封鎖、だ。
 札幌市手稲区も「それでいいのだ」と、「小樽市の提案を尊重する姿勢」で車両通行止めに同調するという。しかし、小樽市にも歩行者保護のガードレール設置とか、さらには両市で拡幅を含む道路整備などを提案するのが筋だ。費用がかかるのでイヤだ、というのならハッキリそう言えばいい。ただし、市民が納得するかどうか。札幌には確かに海はない。しかし、小樽市や石狩市と接する地域が海抜何メートルだと思っているのか。そこに思い至らないのなら、上田文雄札幌市長には泊原発に口を挟む資格が疑われる。
 新聞報道には、札幌方面への2本の道路のうち1本を車両止めすることに対する疑問視線が感じられなかった。案の定、車両禁止には異論が出た。翌日の記事では、海の家の経営者でつくるドリームビーチ協働組合が、ビーチと札幌方面を結ぶもう1本の道に車が集中し、週末や夏休み期間に渋滞を招き、危険が増す、と難色を示した、と報じている。海の家業者らには「客足が遠のき、営業に影響する」という本音(悪いとは言わない)があるはず。しかし、両市も業者もメディアも、ドリームビーチを訪れる客の、もっと大事な「安全」に目を向けていない。東日本大震災から3年半。みんな、もう「安全ボケ」ですか。

■札幌でカジノ誘致を模索する道のセミナー開催 (14.02)
 懸念も指摘、北海道新聞報道は妥当だが…。

 1月30日、札幌市内でカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致模索をテーマにした道のセミナーが開かれた。北海道新聞の記事によれば、講演した美原融・大阪商業大アミューズメント産業研究所所長はカジノによる治安悪化を懸念する声に対し、「精緻な法整備や規制により安全に運営できる」と指摘。カメラによる24時間監視体制、利用者にID取得を義務づけることなどで、犯罪や不正を排除出来る、と強調した。
 また、事業者、警察、住民らを交えて協議することが重要で、官民で環境調整に取り組むことが重要、誘致に向けて地域の魅力を高めるため、カジノやIRをどう生かすのか議論が必要、などを指摘したとのこと。
 カジノやIRについては国が規制解除を検討しており、全国で熱が高まっている、道内では小樽、苫小牧、釧路市が誘致を目指す活動を展開しており、高橋はるみ知事も積極姿勢を見せる。しかし、道新記事は「ギャンブル依存症の温床となり、犯罪増加を招く等の懸念も強い」と締めくくっている。
 積極的に誘致を目指す動きがある一方で、心配する声があることも事実で、この記事の書き方は妥当だ。
 ただ、同じ道新の昨年12月1日の「卓上四季」を紹介しておきたい。映画俳優・アランドロンのちょっとした近況を取り上げ、50年前のジャン・ギャバンと共演した「地下室のメロディー」に触れる。刑務所で出会った2人が出所後、南仏カンヌのカジノから巨額の現金を強奪する。「奇想天外な結末は映画に譲る」と、ここまでで字数の3分の2を費やして、「カジノを裏で繰る者達が随所に描かれる」と続く。
 そして、最後の段落を「カジノ誘致に向け、高橋知事が道内の自治体の先頭に立って旗を振る姿に違和感を覚える。よもやリゾート施設を誘致するつもりでもあるまい。カジノは賭博。暴力や犯罪が必ずはびこる。ドロン氏の迫真の演技は、その恐怖を教えてくれる」と結んでいる。
 ものすごい決めつけかただ。その引き合いに「奇想天外」な映画のストリーを出す論理展開もすごい。

■札幌ドームの利益、分かりやすい市民還元は「家賃支払い」だ! (13.10)
 長沼修社長、石井吉春北大大学院教授の討論に異議あり

 10月21日の北海道新聞「月曜討論」欄で「札幌ドームの運営のあり方」をテーマに、石井吉春北海道大学公共政策大学院教授と長沼修札幌ドーム社長が登場した。北大大学院といえば聞こえがいいが、最近怪しいものを感じていたのでまず石井氏の意見を拝読した。
 なぜ怪しいものを感じていたかというと、今年6月29日に同政策大学院教官らが「地方ガバナンス」を主題にした公開討論を開催、その中で「新千歳空港から札幌までの所要時間を、現在の36分を20分に短縮するため、「新幹線」または「ノンストップ特急」を整備する。その費用は「条例で法定外目的税を課税し」「空港施設利用料を引上げる」とか「抜本的制度改革として「議員定数の是正」を提言した。九州新幹線が北海道新幹線よりも先に完成したのは、北海道選出の国会議員の数が、九州よりも(人口比率で)少ないからである。北海道のために国会議員の定数を是正すべきだ。そして、札幌市域は192万人で28人の道会議員であるが、紋別市は2万人で1人である。札幌地域の道議会議員を増やすため、北海道議会の議員定数も是正すべきである」という意見が堂々と語られていたからだ。(北海学園大学開発研究所・特別研究員の森啓氏がブログに掲載した記述を引用させてもらった) 「法定外目的税・空港利用料引き上げで鉄道整備」「北海道の国会議員定数を増やせ、道議会議員も選挙区ごとに人口比例配分せよ」ですか。アホらしくて、反論に価しない。それで北大公共政策大学院に胡散臭さを擦り込まれてしまった、という次第である。
 本題の「月曜討論」。石井教授の意見全文をここに紹介はできないが、ポイントは「(札幌ドームをホームにしている北海道日本ハム)球団(の経営)がつまずけばドーム社の経営が成り立たないのは明らか。この先順調に集客できるかどうかは分からない。球団とドーム社が共存できるビジネスモデルとして、両社の統合はどうか。ドーム社は剰余金を株主に配当して解散し、球団に合流する。統合した新会社はドームの指定管理を引き継ぐ。球団と球場が一体化すれば、これまで以上に利益を挙げられる、サービスも向上する」というのである。
▽「球団がつまずけばドーム社の経営が成り立たない」=そんな感じはするが、随分単純に決めつけてくれる。もしそんな事態になれば、ドーム社だって種々の方策をとれるだろう。
▽「統合した新会社はドームの指定管理を引き継ぐ」=指定管理者は応募者の中から厳正に選考されるべきもの。他に有力な応募者がないと決めつけて、闇取引で新会社に管理させる…?
▽「球団と球場が一体化すれば、これまで以上に利益を挙げられる」=風が吹けば桶屋が儲かるとして、盲人多発、三味線需要増加、猫の受難、ネズミによる桶の食害、といったプロセスを説明して欲しいもの。いや、聞く必要はない。
 ドームが利益を上げられることはいいことだ。しかし、その儲けは球団主体の新会社のものなのか。ドームから上がる利益は持ち主である札幌市民のものだという、原点が欠如している。
 一方、長沼札幌ドーム社長は「大事なのは、ドーム社が得た利益は基本的に市民に還元するという考え方です」と語っている。その通りである。和式トイレを洋式化、コインロッカーの設置、観客席の階段に手すりを設置、人工芝の張り替えなどを実施。大型ビジョンの更新も検討中」などを説明している。
 だが、それらは施設運営のために当然のサービスであって、入場者(=市民の一部)の便宜に応える施策ではあるが、それをもって「市民への還元」とまでは胸を張れない。ドームを利用しないのに税金の中からドーム建設費を支払った市民も少なくないのだ。それら市民にもドームの儲けが還元されるべきである。1番分かりやすいのはドーム所有者である札幌市(市民)に金を払うことだ。
 それも税金を払った残りの利益を貯め込んで、一部を市民に還元するのではみみっちい額にしかならない。ドーム社の税引前利益の大部分を「家賃」として支払うのが節税にもなり、1番納得できる、と筆者は考える。
 もっとも、ドームは本当に儲かっているのか、しっかり情報公開が必要だ。建物ごと民間企業が所有・運営するのなら建設費422億円に対する負債の償還、金利、減価償却費、地代、固定資産税、メンテナンス費用などの負担がある。それらがほとんどゼロで、ドーム社はただ運営だけして儲かっている。これだけ立派な施設を家賃を払わないでまた貸しすれば儲かるのが当たり前である。
 口先だけの「市民還元」より、態度(カネ)で示すことが1番分かりやすい。札幌市も次の指定管理者更新時に「家賃」支払いを条件に公明正大に応募者を募り、厳正審査すべきだ。管理者が札幌ドーム社である必要はない。「第3セクターが管理することの妥当性」が言われるが、既得権益を守るための理屈でもあるのだから。

■満身創痍のJR北海道、叩き放題のマスコミ (13.10)
 大物OBの取締役会出席、そんなに問題なの?

 JR北海北海道で次から次へと不祥事が噴出、満身創痍の体だ。毎日のようにマスコミが批判記事を賑わせている。全くどうしようもない企業で、叩かれるのも当然だ。しかし、マスコミ側も、この際JRがただ頭を下げるしかないのをいいことに、おかしな記事を書いている。
 北海道新聞の10月5日記事に「取締役会 OB毎回出席 過去の幹部が影響力発揮」というのがある。JR北海道の取締役会に,現在は取締役でない坂本眞一相談役(元社長)、柿沼博彦特別顧問(前会長)が毎回出席していることを報じた。路線の安全確保すらできていなかった組織を国の指導の下で変えようとしている現在の取締役会に、過去の経営幹部が影響力を発揮する構図について、記者会見で小山俊幸常務が「2人には必要に応じて意見をいただいている」と問題視しない見解を示した、と問題視されないのがおかしい、と言いたそうだ。
 さらに、取締役会で旧経営陣から意見を聞く状況について、小樽商大の加藤敬太郎准教授が「過去の人が影響力を持つ状況では,組織や社員意識の改革などできない」と指摘する意見を紹介している。大学准教授が、過去の人・年寄りはダメ、現在の人・若手はいい、と何とも単純な論理以前の話。近年JR北海道で次々と問題が出ているのには、もちろん過去から引きずってきた負の遺産もあろう。しかし、温故知新というほど古い話でなくても、先達・識者・経験者・ベテランの声を聞き現在に生かす−−何の文句があるというのか。
 記事は八っあん・クマさんが長屋談義でご隠居の陰口をするように「年寄りがいつまでものさばっているようではダメだ」と言いたいのだろうが、それでは論理にならない。そこで、学者の権威を借りた。しかし、原始二元論みたいな青い幼稚な話にしかなっていない。
 特急列車の運転操作ミスを隠すため運転士が自動列車停止装置(ATS)のスイッチをハンマーでたたき壊す、というビックリするような事案があった。同社は運転士を15日間の出勤停止処分とし、列車の検査や修理を担当する部署に異動させた。マスコミはこぞって「そのような人間を列車の保守部門に配置して安全が確保できるのか」とこの人事を袋叩き。
 ここでも学者を登場させる。北海道新聞10月2日の記事では、日大生産工学部の綱島均教授(鉄道工学)の「利用者に不安を与えるような非常識な人事だ。JR北海道の安全に対する意識が世間の常識とずれている」との談話を掲載。この教授は人事、企業内での再教育、意識改革の専門家なのか?
 JR北海道は「事案の内容から運転士は続けさせられないと判断した。配属先はこれまでの経験などを考慮して決めた」と説明。それなりに納得できるのではないか。もしも将来運転士に復帰できたとしたら、過去の反省を生かし技能と人間味を備えた人材になる可能性だって全く否定できないだろう。しかし、マスコミ論調はそろって「JR北海道の判断なんか信用できるか」と言うところから出ている。
 会社の体質を叩きまくるなかで、結果的に不祥事をやらかしてしまった運転士への「社会的制裁」が重なる。マスコミが制裁行為をする権利はどこまであるのか。そのことが本人の立ち直りにプラスかマイナスか。そんなことはさておいて、叩けそうな問題は叩きまくっておく。気楽なものだ。

■北大生の飲酒死亡事故で筋違いな北海道新聞報道 (13.08)
 記者会見で発表中、学長らがビアガーデンで…。

 7月中に北海道大学の男子学生が急性アルコール中毒で死亡していた。北海道大学が発表したのは31日になってから。その発表と同時刻に山口圭三学長ら常勤役員9人全員が大学内構内のビアガーデンで大学への高額寄付者らと懇談していた、と北海道新聞が8月21になって報じた。
 死亡した男子学生(20)は武道系の躰道(たいどう)部部員で、7月19日夜から20日未明まで大学近くの飲食店で応援団らとの合同宴会に参加。2軒目の店で途中から泥酔、仲間が学生会館に送り届けた。20夜同じ学生会館の友人が訊ねて脈がないのを発見、21日未明に死亡が確認された。
 北大は8月31日になって事故を発表。宴会では未成年も一緒に飲食しており、大学当局は事実関係を調査の上、関係した団体を処分する方針。発表が遅れたのは、事実確認に時間がかかった、遺族からそっとしておいて欲しいと要望があった、からという。各メディアが報じたが、北海道新聞の記事が詳細だった。
 その道新は8月21日になって次のような関連記事を掲載した。北大が記者会見で事故を公表した7月31日夕方、山口圭三学長ら北大の常勤役員9人全員が、大学構内で開催中のビアガーデンで、同大への高額寄付者らと約30人とビールなどで乾杯し、懇談していたことが分かった。記者会見は午後3時半から5時ごろまで。学長らの懇談は4時から5時ごろまで、と時間が重なっていた。
 この記事では、飲酒事故の遺族でつくる「イッキのみ防止連絡協議会」(東京)の「会見で『大学を挙げて飲酒事故の根絶を目指す』と話しても、同時刻に学長がビアガーデンにいるようでは説得力に欠ける」とする談話を紹介。また昨年5月に死亡した小樽商大の男子学生の母親の「失われた命の重さを考えたら、ビアガーデン自体も自粛すべきだったのでは」とのコメントを掲載した。
 しかし、「何だい、この記事は」との感想を抱いた読者も少なくないはず。記者会見と学長らの飲食時間が重なったとして、「それがどうした?」の単純な疑問に答えていない。重大問題だと考えるなら、正面から堂々と論陣を張ればいい。しかし、何となくケチをつけたいが、論理の筋道が組み立たない。それで、飲酒事故で死亡した遺族のコメント紹介で逃げている。
「飲んだのは誰か。自分の子どもに十分な教育ができていたのか?」というホコ先は遺族に受けさせる、いとも安易で卑怯な手法だ。不本意ながら、厳しいことを言えば、死亡した男子学生も含め、未成年者に飲酒を強要はしなかったというが、推奨、あるいは黙認した。そんな中で事故があった。死亡したのが未成年なら、もっと大騒ぎになっていた。成人だから良かった、と言っているのではない。 自覚が足りなかった。
 若者の飲酒による死亡事後は残念だ。原因と結果を検証して、真剣に防止に取り組むべきだということは論を待たない。が、周囲を揶揄してことが片付くわけはない。「あの記事は幼稚すぎて、全く筋が通っていない。総長らは必要な活動をしていただけ。道新のいつものことだ」という北大OBでもある識者の声を紹介しておく。筆者も全面的に賛同するものだ。

■北大キャンパスにまた新施設建築 (13.07)
 広いからといって無秩序に並べまくるのはいい加減にしなさい

 北海道大学が機能性食品の開発など産学官連携の共同施設として「フード&メディカルイノベーション国際拠点棟」(仮称)なるものを設置する。結構なことなのだろうが、北大はキャンパスが広いのをいいことに、色々な建物をゴチャゴチャと無秩序に並べまくっていないか。
長い歴史の中で続いてきたことなので「学」と「官」の知恵がなさは証明済み。ならば、建物を計画する前に「産」(民間)の知恵を借りてキャンパス全体の整然とした将来構想を考えてはどうか。
 国際拠点棟は、高齢化、生活習慣病、アレルギー、ストレスなど現代社会に増加する課題に、家庭での食生活で対応するため、北大、北海道、民間企業などが連携して機能性食品、病気の早期発見システム、患者の負担を軽減する医療技術などを研究することが目的だとか。北大キャンパス内の北区北21条西11丁目に鉄筋5階建て、延べ1万平方メートル規模の建物とする。2012年度の補正予算で決まっており、新築や機器購入などに30億円を投じる。今秋契約、設計から建物完成まで1年半程度という。
 契約はWTO対象で広く入札参加が可能。設計と施工の両方をできる単独企業または企業体となる。こうした施設の建築には、これまで北大は設計と施工を分けていたが、価格、工期などについて今回は一括して発注するとのこと。「民間企業の提案を盛り込めるよう」という目的は結構である。
 ところで、広大な北大キャンパスにはどんな施設・建物があるのか。北大のホームページから「施設所在地一覧」を見ると、途方もなく沢山のものが掲載されている。「沿革」欄から最近設置したものを拾い上げても、すべてが建物新築ではないのだろうが、2012年4月=探索医療教育研究センター設置、10年4月=保健センター設置、09年4月=トポロジー理工学教育研究センター設置、08年4=月情報法政策学研究センター設置、環境ナノ・バイオ工学研究センター設置、数学連携研究センター設置、サステイナビリティ学教育研究センター設置、07年4月=外国語教育センター設置、アイヌ・先住民研究センター設置、社会科学実験研究センター設置、などとある。

 最近「流行の半纏」のように、何かと言えば「産学官」連携。それが悪いわけではない。今回の共同施設もそれ。それらの施設・建物を、キャンパスが広いのをいいことにただダラダラと建てまくってきたのが北大の実情だ。どう見ても最高学府にふさわしい知性、統一性、計画性が作用しているとは思えない。「いい加減にしなさい」と言いたいのが一般市民感覚である。
 北大キャンパスの無秩序ぶりは、大学の長い歴史の中で発生した。つまり「学」の知恵のなさが証明されている。今後50年以上かけて現状を修正する総合的レイアウト構想が必要だ。次にキャンパス内に何かを建てるとき、総合的な構想の中での位置づけを説明できるように、「学」や「官」ではダメなら、「産」(民間)の知恵を活用することだ。

■道教育大学が育毛剤の研究開発…? 不適正経理で行政処分 (13.04)
 委託元・北海道経済産業局の調査で、この構図は何だ??

 魚の白子を用いた育毛剤、床ずれ防止剤の研究開発ーー北海道教育大学が下請けになってそんなことをやっていたとは畑違いの感も。担当教授が研究費を架空の納品書・請求書への支払いを装い、業者に預け金としていたのがばれた。それにしても養護教育専攻教授が育毛剤の研究とは、どこかピンとこない。
 北海道経済産業局が2006年に恵庭リサーチ・ビジネスパーク社に委託した研究開発事業の一部を道教育大に再委託した。「地域新生コンソーシアム研究開発事業」という名前で、「未利用天然資源の魚白子を用いた育毛剤、床ずれ防止剤の研究開発」がその中身。北海道には未利用の魚の白子が豊富で、その有効活用の途を研究する、というものだ。
 ところが担当した道教大の教員養成課程擁護教育専攻・西川武志元教授が、国からの研究費開発費を使用して、物品の納入実績がないにも拘わらず、架空の納品書を取引のある業者に作成させ、書類に基づき教育大から支払わせて、代金を業者に管理させる不適切な経理をやっていた。恵庭ビジネス社から大学に支払われた128万6000円のうち不適正金額は55万6340円。
 この件が発覚したのは、道教育大から恵庭リサーチ社に研究費の不適切な経理処理に関する調査報告書が提出され、同社が道経産局に報告したことが発端。同局が調査したところ、教育大において不適切経理処理があったことを確認した。
 経産局は4月9日付で不適正額に年利5%を加算した額を教育大から恵庭リサーチ社を通じて返還させる措置をとった。道教育大に対しては12カ月間の補助金交付などの停止措置を講じ、国や独立行政法人からの資金を適切に執行するための仕組みの徹底を指示。西川元教授に対しては、経済産業省所轄のすべての研究資金への申請を2013年度から4年間制限する処分。当人は大学が調査委員会を立ち上げた直後に辞職している。教育大は利息を含めた72万879円を肩代わりして返還、西川氏に弁済を求める。
 恵庭リサーチ社が経産局から受託した金額は180万円、そのうち7割以上の128万6000円分を教育大に再委託したとなれば「丸投げ」に近いと言えそう。そこから不適正額を差し引いた72万9660円が実際の研究費という計算。育毛剤や床ずれ防止剤の研究開発に当たったのが「養護教育」の教授というのもピンとこない。税金を使った成果はどうだったのか。問題なのは担当教授だけなのか、素人にはよく分からない構図だ。  

■道教委、「盗撮教師」を今後は懲戒免職 札幌市教委と段差、教育界は変な者達の集団か (12.10)
 女子高生のスカートの中を盗撮した日高管内浦河町の男性中学教諭の復職に保護者が反発、当人は教育研究所に送られ、結局自主退職。道教委は今後教師の盗撮行為を懲戒免職とすることにした。教育専門家の中には「厳罰化だけでは不足。倫理観を高める研修の充実が必要」との声があるのだそう。教育界とは変な者達の集団なのか。
 道教委は問題の教諭を停職2カ月の処分とし、その後元の職場に復職させようとしたところ、保護者が大反発した。知らぬ顔をして別な地方の学校に移せば騒ぎは拡大しなかった。(それでも中途半端な時期に転勤してきた教師には胡散臭い目が向けられるが)。現場復職に関して道教委に規則外の「社会的制裁」を誘導する意図があったのか。そうなら、まあ「高等作戦」と言える。しかし、規則以上の制裁を加えるのは筋違い。道教委にも保護者にもそこまでの権利はない。
 保護者の反対を受け、道教委は総合的判断で当人を道立教育研究所(江別)で研修させた後に別の学校に行かせることとした。騒ぎを拡大しておいて、いささかドロ縄的だ。しかし、本人が途中で研修に行かず、自主退職する結果となった。これで一件落着、と言えるのか。問題教師を立ち直らせる機能を全うできなかった教育研究所の存在意義は何なのか。悪い勘ぐりだが、あるいは意図的に退職に追い込み、事実上の制裁をしたのか。いずれにしても、教育研究所の無能、怠慢、あるいは悪意が否定できない。道教委や保護者らは規則にない次元で、不当に当人の生活を奪ったことになる。
 と言っても、筆者は盗撮教諭の肩を持つものではない。そんなバカ教師は要らない。規則で明白に懲戒免職を定めてあれば、こんな変な事態にはならなかった。そこで道教委は「懲戒処分の指針」を改正、これまで盗撮を「信用失墜行為」とし、原則停職としていたのを、このほど「わいせつ行為」とみなして懲戒免職とすることとした。厳罰には抑止効果があるというが、抑止しなければならないような教職員が存在すること自体が大きな異常なのだ、という認識がないのだろうか。
 一方、札幌市教委は7月に指針を策定、教職員の盗撮は、児童生徒に対しては懲戒免職だが、児童生徒以外はケースバイケースで「免職か停職」と決めた。大人の女性対象の盗撮の場合、札幌市以外の教師はクビ、札幌の教師は停職で済む場合もある。それも変なものだ。
 もっと変なのは、「厳罰化だけではわいせつ行為はなくならない。倫理観を高める研修などの充実に高めるべき」と指摘する教育専門家とか学者と言われる者がいるということだ。ダメな者は明確な規定によって排除すべきだ。「警察官に泥棒をしないよう教育せよ」といっているのと同じことで、ばかばかしさにも程がある。教育界とはそんな変な者達の集団で形成されているのか。

■「ハックの日」、道エアシステムのイベントに冷ややかな声も (12.08)
 HAC(北海道エアシステムが)語呂合わせで8月9日をハックの日として、乗客への感謝を表すイベント。社員らが空港で横断幕を掲げて見送るなど。ところが「あんなに大勢ヒマな社員がいるのか。別なやることがあるだろう」という冷ややかな声も聞かれた。
 役員陣を大幅に入れ替え再生に取り組むHACが、懸命に利用者増に取り組んでいる、に違いない。8月9日には丘珠空港発の12便などで、社員が「ご搭乗ありがとうございます」の横断幕を掲げ、乗客を見送り、無料航空券やビールが当たる抽選券を配った。イベントがメディアで紹介され、それなりのPR効果があったことは間違いない。同社では今後も機会をとらえPR作戦を展開していく考え。
 同社ではできるだけ多くの社員が万障繰り合わせてこのイベントに取り組んだのだろう。しかし、新聞に掲載された10数人が横断幕を持って機体の搭乗口前に並ぶ写真を見て、「HACには随分ヒマな社員がいるんだな」と感じた向きが少なくない。「社員が多すぎる.人件費削減が課題、言われるのもむべなるかな」という感想だ。
 この日の朝、出張帰りに釧路空港から札幌・丘珠空港行きを利用したある経済団体幹部も「釧路空港でも見送りがあった。定員36人というが、乗っていたのは10数人。あんなことをするくらいなら、企業回りなどして航空券を売って歩けばいいのに、と思った」との感想。さらに「HACに対しては割安の回数券をバラして1枚ずつ利用できるようにすれば、地域の団体に紹介しますよ、と提案したことがある。しかし、まったく何の反応もなかった」と不満顔だった。
 「でんまが」としては、HACに「たたき売り」を提案したい。航空券は早く予約する方が割引される。HACも早めに予約し、7日より以前に航空券を購入すれば割引料金が適用される。しかし、お祭りのバナナ、賞味期限が近づいた食品、クリスマス当日のケーキみたいに、時間ぎりぎりになれば社員が鉢巻きで(しなくてもいいが)、空港カウンターでたたき売りだ。どうせ空気を運ぶなら、燃料代プラスアルファの金額でいいではないか。函館や釧路から、夕方ふと思いついて札幌へ(あるいは逆コースも)、といった需要を掘り起こしてはどうだ。  

■電力安定供給、札商の調査に道新「独自路線の解釈」 (12.06)
 調査は5月中に行われ、札商会員約2000のうち844社が回答。札商が通常行っている調査に比べて2倍以上の回答率といい、関心の高さが表れた。しかしながら、札商では上記「当面は再稼働し、徐々に減らす」の71%を「脱原発」とは受け取っていない。札商幹部は道新の記事の書き方に大きな不満を訴えている。
 「安定した電力を確保するために、どのような供給体制が考えられますか?」の設問に札商が用意した選択肢は(ア)安全対策を実施し、原発を維持するべきだ (イ)安全対策を実施したうえで当面は原発を再稼働し、同時に太陽光・風力・火力などに転換しながら、原発を減らしていくべきだ (ウ)一切稼動すべきでない (エ)その他、というものだった。
 (イ)を選択した回答が72%だったのは、そもそも設問がそのように誘導している?とも言える。近藤龍夫北海道電力会長は札商の有力議員でもあり、札商議員や会員には北電とのつながりが深い企業も少なくない。アンケートはそうした事情を十分配慮している。企業は冷静で常識的な判断をしている、という結果が予測されていたはずだ。ちなみに(ア)7.6%、(ウ)15.5%、(エ)3.2%だった。
 (イ)には原発に「条件つき賛成」と受け取れ、また「現状のままなら反対」とも解釈できる曖昧さがあることは確か。札商は「ほぼ賛成」と受け止める。ところが道新記事は「反対」と解釈。そこに双方の立場の違いがはっきり出た。つまり、この記事に関しては、報じた道新自体が「脱原発」姿勢だということだ。マスコミによる世論誘導は、このように行われる。

■東北から北海道に避難した女性ら「瓦礫持ち込み反対」 (11.12)
 東日本大震災関連の瓦礫について、苫小牧市が安全確保を前提に受け入れに協力すると表明。道や札幌市も放射性物質の汚染がないことが条件、と強調しながらも受け入れないとは言っていない。東北の人たちの困難な状況に対して、できる限りの協力をすることは日本国民として当たり前だ。
 宮城県の仙台市から札幌、大崎市から千歳に自主避難した30代の女性2人が、それに反対して苫小牧市に乗り込み街頭でアピール(12月1日)。2人は子どもの放射能被爆を懸念して道内に移住したのだそう。地元の母親ら20人も参加した。
 しかし、母親らの言い分は身勝手すぎないか。苫小牧市は「汚染がないことを前提に協力する」と言っている。それでもともかく東北の瓦礫は道内に持ち込むな、と東北から来た女性らが騒いでいる。自分たちが去ってきた街に残った人たちは、汚染を心配しながら、いつまでも片付かない瓦礫と共に生活を続ければいい、と言うのだろうか。
 女性らが北海道へ自主避難できたのは、経済的に恵まれている、あるいは身内の協力がある、などの条件があったからだろう。そうでない人、自分たちの街を愛し離れることができない、家族のため、高齢・健康のため、仕事のためなどの理由で、他地域に移住できない多くの人が東北に残って、苦しい生活の中でがんばっている。厳しい冬が来る。「安全地帯」へ避難できた幸運な人が科学的根拠とは別な感情論で「あの地域の瓦礫は危険だからよそへ移すな」と言っている。
 しかし、それを伝える報道にはそんな視点のかけらもない。女性たちに好意的かつ同情的。筆者だったら、身勝手な女性たちへのアンチテーゼとして「変なことを言っているのはこの人たちです」という意味で女性たちの実名入りで写真も掲載……いや、しないだろうね。

■北電の泊原発プルサーマル「やらせ」はそんなに極悪非道? (11.09)
 九州電力に端を発して、原発推進へ世論を誘導する「やらせ」が世間を騒がせている。当初「当社にはない」としていた北海道電力でも、2008年10月の泊原発3号機のプルサーマル計画のシンポジウムをめぐって、社員に参加と賛成意見表明を働きかけていたことが発覚。
 シンポジウムはプルサーマル計画の是非を審議する目的で設置された有識者検討会議の結論に,道民の意見を反映させるため道などが主催したもの。それに向け、北電の泊原子力事務所渉外課長が社員にメールを送信,シンポジウムへの参加、賛成意見表明を呼びかけた。意図としては社員以外にも多くの地域住民の賛成意見を集めることだったことが容易に想像できる。北電による「やらせ」の影響度は不明だが、シンポジウム会場では賛意を示す参加者が過半数だった。北電は事実を認め、「道民の信頼を裏切ったことは申し訳ない」と謝罪表明するに至った。さらに北電は08年8月の国主催のシンポジウムで同じようにメールによる参加者動員を行っていたことを認めた。その際には同社が社員の参加をとりまとめて申し込んだと見られる。
 これに対して非難の声ゴウゴウだ。「社員を動員して計画を推進する姿勢は怪しからん」「計画当事者側が世論を誘導するのは住民に対する裏切り」、云々という次第である。
 この問題で北電はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の製造延期を表明。フランスのメーカーにストップを指示した。これにより違約金が発生する可能性もあるとか。MOX製造中止で、来春予定の3号機の定期検査ではこれまで同様ウランを使う手続きを経て再稼働を目指す。今後プルサーマルが実現するとしても次にMOX燃料を装填するタイミングは2013年夏の定期検査時になる。北電はプルサーマル計画の是非について地元4町村の意向を再確認するが、首尾よく合意できるのかどうか、容易ではない模様だ。
 原発の建設や定期検査後の再稼働、プルサーマル計画などに対する反対意見は以前からあり、福島原発事故を経験してますます国民の心配が強まったことは事実。しかし、国民、地域住民の意向を把握するためのシンポジウムなどにはどちらかといえば反対意見の人が詰めかける傾向が否定できないようだ。推進する立場の電力会社や政府・行政には危機感が出て、賛成意見を集めたい本音が働く。
 そこで暴論の誹りを覚悟で「でんまが」流を言えば、賛成意見を述べたり集めたりすることはそんなに悪い「犯罪行為」なのか、という疑問だ。反対側の政党、労働組合、市民団体などは「みんなで反対しましょう」と声高く呼びかけている。某政党の公式ホームパページには原発問題を市民に呼びかける演説の手本まで掲載されている。議員など演説する人は「○○」とある部分に自分の名前を入れて叫べばいいようにできている。労働組合も「見解」を表明する。
 ところが原発推進派、賛成派の政党、労働組合、市民団体などはなぜか「みんなで賛成しましょう」と声高く叫ぶことはしていない。これだとシンポジウムなどで賛否の色分けは推進側に不利になるのは自明だ。原発に限らず、環境、教育、まちづくり、その他様々な問題で、反対派が「みんなで反対しましょう」と呼びかけるのと、推進側が「みんなで賛成しましょう」と呼びかけるは同じことではないのか。
 賛成意見で「やらせ」が問題にされているが、反対意見にも「やらせ」はあったのではないのか。それなら「どっちもどっち」で、一方だけが極悪非道のように非難されるのは公平ではない。「やらせ」は枝葉末節の問題。ことの本質をみんなで冷静かつ真摯に議論することが肝要なのだ。新聞は「北電による世論誘導工作が常態化していた」と書くが、マスコミによる世論誘導工作の常態化に心ある人はウンザリしている。騒ぎすぎのマスメディアも心せよ。

■海江田経産大臣に軽くいなされた高橋知事の「怒りのポーズ」  (11.08)
 北電泊3号機の営業運転再開が近い。ここに至るまでの国、北電、道の駆け引きを「でんまが」流に読み解いてみる。
 調整運転してきた北電原子力泊3号機の営業運転再開は「定期検査後の再稼働」であればストレステストなどの手続きが必要になる。8月8日枝野幸男内閣官房長官が「再稼働にあらず」とする政府方針を表明。原子力安全・保安院の検査態勢に不信感を持つ菅直人総理の意向を踏まえ、二重チェックの上営業運転再開が可能とされた。
 これを受け北電は9日、保安院の指導を受け3号機の最終検査を申請、同日保安院が検査着手。保安院から内閣府原子力安全委員会に検査結果を報告、了承されれば、と言っても了承されない可能性はほとんどなく、二重チェックをクリアして8月11日にも営業運転再開、という流れとなった。
 ところが高橋はるみ知事は「政府からの回答を受け、これから検討しようとする時期に、北電に検査を受けろと指示を出す国のやり方は遺憾」とカンカン。国の指示の前に,北電からの内々の要請があったとする報道もあった。いずれにしても道や周辺町村の頭越しに国と北電で営業再開を既成事実化する動きだから、知事が怒るのも無理はない。
 ここまでのやり取りでは、知事の側に分があった。知事サイドには手順を踏んだ上で営業運転再開容認、という暗黙事項があり、「道と原発周辺4町村だけで勝手に決めるな」という声にも配慮するプロセスが必要だった。「知事は元は経産官僚であり、国と馴れ合いで泊原発問題に対応している」などとと言われかねない立場。そこへ国と北電が勝手にことを進めるのなら、知事は怒りのポーズを見せれば慎重論者らに顔が立つ。「再開を既成事実化され不本意、遺憾」と言っていればいいのだ。
 ところが海江田万里経産大臣は10日、「知事の判断は大切。運転再開を待つ」と表明。11日にも再開の運びだったのを先送り、ボールを知事に投げ返した。一転、知事は「気楽」な立場から引き戻された。意向を尊重したようで、実は知事の逃げを許さない一球。その上「できるだけ早く結論をまとめて欲しい」と催促。なかなかの老練さだ。
 高橋知事は11日から道議会、原発周辺4町村と協議開始。もともと道議会与党の自民党・道民会議と公明党は電力安定確保の立場から泊3号機運転停止に抵抗があり、知事がGOサインを出せば指示するスタンス。そこで知事は「道民の関心の高い問題であり、時間をかけてやる性格のものではない」と、16日にも容認表明の方向。このコメントは「道民の関心の高い問題であり、急がず時間をかけて結論を出したい」でもおかしくないはず。
 どのみち営業運転再開は既定路線だった。結局知事の「怒りのポーズ」で再開は5日ほど遅れる。本来は、今度は知事が責められる立場。

■上田市長肝煎りの脱原発依存、パフォーマンスよりコストパフォーマンス重視を  (11.06)
 札幌市は補正予算で省エネ・節電推進事業として脱原発依存に向けた調査費をつけた。上田文雄市長肝煎りといっていい予算付けで、趣旨はごもっとも。ただ、これは全国、全世界的な課題であって、札幌市単独で走り出して、成果が期待出来るのか。
 福島原発事故で世界が厳しい現実を突きつけられ、原発依存への反省を迫られている。上田市長は「北海道全体では40%程度、オール日本では30%を超えるもエネルギー源を原発によって享受している。急にそれを全部やめるということは到底できることではないということは十分承知の上で、しかし、いつまでもそれに頼っているわけにはいかぬという考えの下で、具体的に何ができるのかということを私たちは真剣に考えていかなければならない」と語っていた。
 「脱原発と言うかどうかは別にして、どういう努力をすればどういうことが可能なのかということをしっかり検討していく、そういう調査をすることが必要。例えば、省エネをするその限界値はどの程度あるのか、どこまで頑張ればどのぐらいの電力消費を削減できるのか、そして、自然エネルギー、再生可能なエネルギーを、どのぐらい投資すればどのぐらいできるのか、そのことによって原発から離脱するということが可能なのかどうなのかということを具体的に検討するということは、今、多くの市民が期待しているところではないか」と言い。筆者も全くその通りだと考える。
 ただ、これは日本全体、全世界の問題であり、札幌市単独で少々の調査費をつけて何ができるのか。上田市長本人も「それは、札幌だけではもちろんできることではありません。日本全体の問題でもあるし、世界全体の問題でもあります」と認めている。単独で暗中模索するより他の自治体と金を出し合って共同研究を行う方がよほど成果が上がるのではないか。当然国レベルで高度な取組をするべき問題で、大学院が研究することを小学校でも勉強してみる、というのはどうなのか。
 しかし「でも、誰かが始めないといけない。自分ができることからやっていくということから始めなければなりませんし、そんな意味で、多くの方々と連帯できればと、こんなふうに思っております」と続けて、ちょっと見は格好いいのだが、こうなると個人的感情の世界だ。某新聞は「予算は900万円に過ぎないが注目値する」と持ち上げる。だが、さほどの成果が期待できなことに900万円は多すぎるとも言える。国の研究結果を待って、しっかり予算付けをやり、果敢に実行に移すのが地方自治体の歩む道ではないか。パフォーマンスより、コストパフォーマンスを重視すべきである。

■地下歩行空間の売店に屋根が絶対必要条件!?  (11.03)
 3月12日午前6時15分に札幌駅前地下歩行空間が開通。札幌市はこれにに伴い同日予定していた記念式典、都市計画シンポジウム、芸術家たちによる音楽・踊りの「アートパフォーマンス「アイヌパフォーマンス」などを中止した。関係者が折角努力して準備したのに残念な事態だが、東北関東大震災で多数の死者・行方不明者など大被害が出ていることに配慮したもので、妥当な判断だ。
 歩行空間は「札幌駅前まちづくり会社」が管理・運営する。歩行部分は公道のため道路交通法で物品販売などが規制されるが、左右の壁から4メートルの範囲は「憩いの空間」として条例で「広場」と規定、賑わいづくりなどのためのイベント開催や物販向けのスペースだ。
 臨時営業で食物を販売する場合は食品衛生法で保健所の許可が必要だが、臨時出店にはプレハブ建物か天井、左右の3面を防水性素材で被う施設が必要とされる。例えば大通公園のトウモロコシのワゴン販売がそのケース。最低限の雨風をしのげることを想定している。地下歩行空間での出店もこの規定による。つまり屋根や壁が必要条件とされる。そこのところが非常にバカバカしい。
 「まちづくり会社」は市からの出資も受けており、「長いものには巻かれろ」? 「歩行空間を演出するようなデザイン性のあるテントを検討」という姿勢。市には災害を考慮したイベント中止の判断はあっても、四角四面の役所の習性は改められないのですね。

■サピカが13年から市電、バス3社と供用化。一段と便利に!!!  (10.11)
 2013年度から札幌市営地下鉄のIC乗車券SAPICA(サピカ)が市電、北海道中央バス、ジェイ・アール北海道バス、じょうてつの3社でも使えるようになる。これに伴いウィズユーカードが廃止され、ちょっとタッチするだけで改札や乗り降りが早いサピカに統一される。札幌の交通が便利になる。
 札幌市、バス3社の間で設置した「札幌ICカード協議会」が12月10日の臨時総会で基本合意する。今後カード利用などを記録する専用サーバー、バスに設置するカード用端末などを開発、実用開始は13年春ごろと想定される。
 導入には40億円程度の経費が見込まれ、国の社会資本整備振興交付金、市の補助金で30億円を確保、バス3社の出費を抑える。市電への導入経費6億円も交付金を活用し、市の支出を抑える考えという。
 現在の地下鉄とバスの乗り継ぎ割引制度では最大100円安くなり、うち20円がバス会社負担。3社合計では年間6億円に上る。サピカ導入には新規投資がかかり、割引負担をバス会社が嫌うことが障害だった。そこで札幌市は11年度からバス会社の負担を市が肩代わりする方向で調整中。これでバス3社が協調しやすくなった。
 現在はサピカとウイズユーカードを併用しているのをサピカに1本化して、ウイズユーカードは廃止する。ウイズユーカードには最大15%(1万円券の場合)のプレミアムがあるが、サピカは1率10%。サピカ移行によって利用者には最大5%分の負担増となり、市民感覚では決して小さくない。またサピカはJR北海道のIC乗車券・Kitaca(キタカ)との相互利用にはシステム導入経費問題が未解決で実現のめどはない。
 賢明な読者はここまで読んで「改札がちょっと便利になるだけの話で利用者にはメリットなし、デメリットあり。導入経費だって結局は市民の負担。なんだそれならサピカなんか要らないじゃないか。キタカやそれ以外のICカード、携帯端末などの供用ができるまで腰を据えて取り組むべきだ」と思いますよね。
 結局サピカ導入は拙速だった。それを糊塗するのに、また拙速を重ねている。オバカの上塗りです。

■衆院選5区補欠選挙、教職員の萎縮に追い撃ち (10.10)
 衆院北海道5区補欠選挙の投票日は10月26日。立候補しているのは自民・町村信孝、民主・中前茂之、共産・宮内聡、幸福実現党・森山佳則、無所属・河村美知子の各氏だが、事実上町村、中前氏の一騎打ちだ。
 情勢は自民党最大派閥・町村派(清和政策研究会)会長で文部大臣、外務大臣、内閣官房長官などの経験がある町村氏が抜け出ている。前回は小林千代美氏に敗れたが、小林氏陣営の違法献金、労組幹部の公選法違反事件で小林氏が辞任したことが補選の原因とあって、町村陣営、宮内陣営は「政治とカネ」の問題を全面に掲げて「不正な選挙を正す戦い」と、民主党を攻撃している。「不正な運動をした北教組から子どもたちを守る」のキャッチフレーズも。
 道教委は教職員の違法な政治活動について通報制度を導入。全道庁労組が道のFAXで勤務時間中に組合関係の書類を送信したことも問題にした。労働組合が身動きできない状況が中前氏陣営に不利に作用している。
 自民党の高橋はるみ知事は町村氏の応援、民主党の上田文雄札幌市長は中前氏を応援という図式。その札幌のお膝元で、北教組の政治資金規正法違反事件を受け法令違反の疑いがある教職員に対して、選挙戦たけなわの10月19日市教委が月内にも再調査を始める、と市議会で表明した。近く会計検査院の実地調査が入り、対応が迫られていることも理由。結果的に萎縮している労働組合、特に教職員に対してさらに追い撃ちをかけるような流れだ。上田市長、民主党、連合北海道、北教組、札教祖などは、してやられた思いだろう。身から出た錆ではあるが。  

■さっぽろ地下鉄、安心車両は女性専用にあらず!? (10.08)
 札幌市営地下鉄で南北線は1年半、東西線では1年前から「女性と子どもの安心車両」を導入、平日始発から午前9時まで運行している。安心車両導入時間帯の痴漢被害届出が半減したそうで、まずはメデタシ。 ただ初めは安心車両は他より空いていたのが、利用が定着して混雑率は一般車両とほとんど差がなっくなったそう。「混んだ車両はイヤ」という女性には有り難みが薄れている。女性だけゆったりさせてあげるのが安心車両の目的ではないはずで、まあ、それはいいでしょう。
 男性からは「男女逆差別だ」の声もあるそうだが、「混んだ中で美人でもない女性から“痴漢注意”みたいな目つきで見られるより、そいう女性は別車両に乗って頂きたい」という歓迎の本音も。
 今度は安心車両内の女性のマナーの悪さが焦点になっている。男の目のないところでの女性心理。化粧、飲食などが一般車両より目立つ行為とのこと。化粧は狭いところで実に手際良いそうで、女性同士の中でもマナーが糾弾されるべきかどうか、筆者には分からない。通勤車内で朝食代わりにそっと飲食も、微笑ましい場合もあるのでは? マナーというものは、多分社会の暗黙の多数決で決まっているのだろう。
 ただし、この「安心車両」は女性専用というわけではなく、小学生以下の男児、障害者と介護者はOK。男性の乗車制限もあくまで「任意」であり、間違って乗ったり,発車間際の滑り込みで「逮捕」されたりすることはない。その気なら、男性が“女性電車”の女の実態を検分することも可能だそうで、淑女の皆さんは「油断できない」と思った方がいいですぞ。

■アパート世帯はゴミ出しマナーが悪い?! (10.07)
 札幌市は市民のごみ排出マナー改善のため、10月から早朝・夜間のパトロール強化など効果的な方法を検討していく。問題は1戸建て住宅と共同住宅の住民が供用しているごみステーションだという。1戸建て地域は問題が少ないのなら、マンション、アパートなど共同住宅住民のマナーが悪い、ということになるが、市としてはそこまで決めつけた言い方はできない。苦労の末の及び腰が面白い。
 ゴミステーション利用改善キャンペーンは戸建てと共同住宅混在地が対象。取りあえず市内15カ所ほどのごみステーションを選んで実施するという。札幌市内のごみステーションは約3万7000カ所にのぼり、うち6割が戸建て・共同住宅供用。この種のステーションは管理体制が整っていないため、収集日を守らない、分別を徹底しないなどの不適正排出が多く、ごみ有料化以降も増加傾向という。このため早朝・夜間パトロール、ごみの種類ごとの仕切設置などを検討、結果を不動産管理会社などに伝え、共同住宅でマナー改善に協力してもらう方針。
 実は、市民の実感として傾向的には共同住宅住民のごみ出しマナーが悪いイメージは定着している。一時的に屋内や物置にごみを置くスペースがない、共働き世帯でゴミ出しの時間を守れない、などの事情もある模様。突き詰めていけば、住民の経済レベル、生活意識、教養度などの問題があるかも知れず、逆に偏見、差別視などの問題が浮上する。従ってアパート世帯のマナーが悪い、と言及するのは、行政の立場としては及び腰にならざるを得ない。
 そこで「1戸建て住宅と共同住宅が供用するステーション」がああでもない、こうでもない、と奥歯にものが挟まったような言い回し。分かりやすく言い換えれば「アパート世帯が多い地域」なのだろう。行政再度の及び腰は致し方ないので、市民の方が市の本意を読み取ってあげる必要があるのかも…。

■上田文雄市長、記者の批判を自慢話にすり替え (10.05)
 札幌市の児童会館の工事にトルエンを使用、100人以上が体調不良を訴えた問題で、市民に会館休止の理由として「配管の不調」と説明するなど、市の不手際が尾を引いた。「またか」と思わせる一件だった。
 この問題でも局長を含め担当職員の処分は速やかに公表されなかった。始め「責任の所在を明らかにしてしかるべく処分」と言っていた上田文雄市長だが、「これはいわゆる懲戒処分ではなく、公表基準から外れている」と弁明。
 5月21日の定例会見で、記者らの追及に「ご意見、十分お聞きしたいというふうに思います。ありがとうございます」とはぐらかした。最後には「こうして記者の皆さん方と質問、質疑をしていることが多分行政のレベルアップにつながっていく」と記者らをおだて上げる。
 そして、寒さで開花が遅れた円山公園での花見について、メディアからの指摘で公園内での火気使用期間延長の対応をしたことを上げ、「皆さん方からご意見をいただけるということを非常に大事に思っております。そんな意味で私としては厳しいご意見ちょうだいすることを全く歓迎をしたいというふうに思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げたいというふうに思います」と、花見の火気使用期間延長の自慢にすり替えながら、リップサービスで締めくくった。マスコミ各社の優秀な記者の皆さんは、そこのところを分かっているのかな…。

■札幌市の自殺対策、まずは自ら頭の上のハエを…!  (10.03)
 札幌市が「自殺総合対策行動計画」を策定した。「自殺には経済・生活問題や、家庭問題などが複雑に関係しており、個人の問題として片付けられない社会的要因があり、自殺対策は社会全体で取り組むべき緊急課題ととらえ、総合的、効果的に推進する」という。「気づく「つなぐ」「見守る」を基本理念に、「ひとりでも多くの命を救う」が目標、と分かりやすい。
 基本施策のトップに「自殺の実態を明らかにする」とあって、人材育成、心の健康づくり、適切な精神科医療、等々と続く。
 実は、この行動計画策定の途中経過では「札幌市職員に対する取組」の項目に結構力が入っており、社会全体の問題に「札幌市職員」という個別の問題が出てくることには違和感がある、という指摘もあった。それでも「行動計画」には「札幌市職員を対象とした相談窓口の設置、広報誌の発行等、 メンタルヘルスに関する知識の普及啓発を行う」と、公私混同の形跡が残っている。
 流れから推察すると、札幌市職員の自殺がこの「行動計画」策定の要因の1つになったのではないか、と思える。4月から藻岩山ロープウエーが再整備計画のために休業に入る。昨年その担当課長が割腹自殺した。理由は簡単に決めつけるべきでないが、経済、生活、健康、家庭、などとは別問題のように見える。浮上するのは市役所内部の人間関係、という見方も。
 札幌市はこのケースを含め、過去に談合がらみの自殺と言われた事案などを徹底検証し、「明きから」にすることが先決だ。経済、生活、健康、家庭などに問題が見えない実直な公務員男性が自殺したからには、彼をめぐる環境・構造によほどの問題があった、と考えるのが自然だ。札幌市は、まずは自らの頭の上のハエをしっかり始末するべきだ。

■円山動物園にゾウは必要、不必要?  (10.02)
 北海道教育員会は新年度に6000万円で購入を予定していた藤田嗣治の絵画を断念した。高橋はるみ知事が財政難から難色を示したことによる。藤田の「糸を紡ぐ女」は評価が高い作品の割りに価格が安く、文化的な意義は大きい、と道教委は判断していた。しかし知事の「ほかにやるべきことが多いのではという道民感情がある」の発言で方針転換したもの。残念だと考える向きもあろうが、これはこれは1つの決断だと評価したい。
 ところで、札幌市はいま円山動物園にゾウを購入するかどうか検討中。ゾウは言うまでもなく子どもたちの人気者。円山動物園ではハナ子が07年に死に、現在道内には帯広動物園のナナしかいない。そのナナもすでに推定47歳、円山動物園にゾウを導入するのは意義のあることだ。
 しかし、ゾウはワシントン条約の対象で、公設の動物園だから繁殖・保護目的という条件はクリア出来ようが、群れで行動する習性のためオス1頭にメス数頭の飼育が必要。そのためには施設に8億円から13億円の費用がかかる。
 札幌市はいつもの手法で市民1万人を対象にアンケート調査を実施、2月末までに結果をまとめ、判断材料の1つにする。新年度に動物園基本計画を作成する中にそれを反映させる。
 子どもたちが本物のゾウを見られることは「百聞は一見にしかず」で意義のあることだ。しかし、素人考えだが、ゾウの生態、飼育法、保護などについては世界中でかなり知られているのではないか。テレビなどでもよく紹介される。ゾウの映像を見て、それがゾウだと知らない子どもはいない。
 であれば「札幌にどうしても欲しい」のか、海外や国内の施設と協力し合いながら知識を共有すればいいのか、ここは考えどころだ。ゾウ舎にかける費用で「ほかにやるべきことが多い」という気もする。「ウオンツ」ではあるが「ニーズ」と言い切れるのか。この判断はよく分からないので「でんまが」は否定も肯定もしない。単純に疑問を呈しておきたい。

■気になるムネオ氏「政治家として最後の仕事」  (10.01)
 「ムネオ」こと鈴木宗男衆議院議員(新党大地)は民主党と統一会派を組み、衆院外交委員長でもある。筆者は同氏が毎月「ウイングサッポロ」誌に寄稿している「ムネオの永田通信」の愛読者だ。同誌2010年2月号で「1月から始まる通常国会では、外務委員長としてより精力的に役割を果たして参りたい」と、核持ち込み密約、沖縄返還密約などを国民に明らかにする、外務省在外職員の法外な手当を削減する、などを実現し,国民に理解の得られる外交を実現すべく、一生懸命汗を流したい、と抱負を述べている。
 ちょっと気にかかるのはそれに続く末尾部分。「そして何より、私の政治家としてのライフワークである北方領土問題の解決だ、鳩山総理、岡田(外務)大臣と歩調を合わせ、必ずや来年のうちに解決に向けた具体的な道筋を付ける。それが私の政治家としての最後の仕事であり、責任の果たし方であると考えている」と結んでいる。
 これは2月号掲載であるが、原稿を書いたのは09年12月中と思われる。したがって「来年」とあるのは今年(2010年)のことだろう。そして「政治家としての最後の仕事」だとなれば、その先はどうするのか。そこが気にかかるのだ。 鈴木氏は あっせん収賄罪などで1,2審で懲役2年の判決を受け、現在最高裁で争っているところ。年内に判決が出ると見られていおり、これは有罪確定、議員失職を意識した上でのものなのか…。

■札幌市の暖房費用貸付、返済滞納は織り込み済み?  (09.10)
 低所得者向けの札幌市の暖房費用貸付制度があるが、返済が進んでいないと新聞で報じられた。2007年度から始めたもので、最高5万円を無利子・無保証で貸し付けるもの。これまでに計4億2800万円の上る。ところが返済期限に戻ってきたのは7割。低所得者向けだけに、市も取立に悩んでいる、というのだが…。
 これは生活保護世帯や高齢者世帯などに貸し付ける制度で、冬季間に融資し、翌春5月から分割で返済させる。07年度は5170世帯に2億4400万円、08年度は3811世帯に1億8400万円を実施した。今年6月末現在で貸付総額の50%の2億1800万円が期限を迎えたものの、実際に返済されたのは71%の1億5400万円。約3割が滞っている。
 困った事象だが、札幌市が貸付制度をとっているのに対し、多くの自治体は“福祉灯油”として補助している。生活保護世帯などはそもそも借りても返す余裕がないはずで、返済がうまくいかないのは初めから分かっていたはず。それでも“融資”の形にしたのは、一度借りて返済しなければ次の融資を申し込めないところがみそだ。それなら“福祉灯油”のように毎年繰り返す必要がない。
 07年12月には燃料値上がりを受けて「灯油等石油製品価格引き下げと道民の安定を求める緊急全道集会」があり、これには上田文雄札幌市長も出席した。アピールの中には「福祉灯油制度の拡充」という項目があった。にもかかわらず札幌市はあくまで貸付制度を貫いている。 「貸したものは返せ。返さなければ次の貸し付けはしない」のが本旨だから、この融資は年々減っていくはず。それが先の07年度と08年度の金額の差だ。こんな姑息なやり方が民主党・上田市政の本質である。

■札幌市が2ホールのネーミング権販売…  (09.09)
 札幌市は12月から北海道厚生年金会館(北1西13)を市の施設「さっぽろ芸術文化の館ホール」として運営する。この会館と札幌市民ホール(北1西1)に協賛企業を募集、それぞれ年額2000万円程度のネーミングライツ料金を頂く作戦だ。
 札幌市の施設に企業あるいは商品によるネーミングを冠するのは初めてで、施設に愛称をつけることにより企業のPRなどに活用してもらう、当然それなりの料金を頂くというもの。近年各地のスポーツ施設、文化施設などにこの方式が採用されている。札幌の今回の2施設は3年程度の継続とし、金額は高い方がいいとして、応募多数の場合は協賛金額だけでなく、ネーミングの親しみやすさ、呼びやすさなども含めて選考するという。
 「親しみやすさ」「呼びやすさ」という点で、最近の公共施設の名称には違和感を持たせるものがある。最たるものは「札幌ドーム」の愛称が「Hiroba」(ひろば)とされるが、全く一般に認知されていない。
 役人がつける「さっぽろ芸術文化の館ホール」のセンスのなさ、「札幌市民ホール」の創意も工夫もない名づけかたにもガッカリである。それよりは企業名や商品名の「○○ホール」の方が親しめそうだ。
 ところで、厚生年金会館(この方が一般に分かりやすい)は指定管理者制度で運営を札幌商工会議所に委託する方向だが、ネーミングライツによる収入はあくまで市の収入とし、管理者側には入らない。この種の収入は市全体の予算の中に埋没させず、管理者に預けて、ホールを使用するイベントの中でお金はないが意義深い企画に助成するなど、使途を明確にしてはどうか。それでは役所側に面白みがないのかもしれないが、市民の財産だといううことを忘れないでもらいたいものである。

■何やら不思議な上田札幌市長の元TV塔社長攻撃  (09.08)
 8月25日、さっぽろテレビ塔を運営する北海道観光事業元社長の鈴木俊雄氏が退職金を受け取っていたことを上田文雄札幌市長が明らかにし、「調査を始めると」記者会見でコメントした。 鈴木氏は99年3月に札幌市を局長職で退任、同年4月から2007年6月までの8年間北海道観光事業社長を務めた。札幌市の内部要綱では市が25%以上を出資する指定団体に市退職者が再就職した場合の報酬限度額、退職金やボーナスの禁止を定めている。北海道観光事業の場合は市の出資は17%だが、25%未満についても「要領の趣旨を尊重する」とされる。鈴木氏が1850万円の退職金を受けたことはこれに違反するというもの。
 この この退職金問題の裏には「合計1億円を超える社員らの着服を見逃していた元社長が退職時に市の要領に違反して退職金をもらったのは怪しからん」という意図がある。  鈴木氏は札幌市OBの中では異色の上田支持者として知られる人物。その鈴木氏を上田市長が攻撃する挙に出た。最近上田市長と、鈴木氏の間には疎遠な空気があることは知られるところ。ある事情通は「上田市長にしてみれば、鈴木氏は“ご用済み”の疎ましい存在だ」と言う。
 それが真相かどうかは決めつけられないが、上田市長にも抜けている部分がある。鈴木氏の退職金については、当時同社取締役だった中田博幸札幌市副市長が株主総会の議案に出すことに取締役会で賛成し、また札幌市を代表して株主総会に出席し、これを承認したはずなのだ。市長としては、鈴木氏の退職金に問題があるとするのなら、まず問題にすべきは市OBの鈴木氏よりは市役所内部の現職・中田副市長の行動の方だ。
 なんと、マスコミと上田市長にこの問題を仕掛けた市役所幹部には、中田副市長中田副市長の足を引っ張る意図もある、という説さえも。奇々怪々である。(詳細は会員専用ページ参照)

■道商連が「酒チェン」道産酒愛飲宣言!!  (09.06)
「北海道を元気にする」ことが官民で取り組むべき大きなテーマ。その一環で北海道商工会議所連合会が「酒チェン」宣言をした。「こめチェン」は大きな成果を上げたが、2匹目のドジョウはうまくいくのか。
 7月11日に開かれた台59回全道商工会議所大会で<「酒チェン」もっと飲もうよ!北海道のお酒>なる宣言が行われた。きれいな水と空気、そこでつくられるおいしいお酒、新鮮な食べ物など、北海道は自然環境と資源に恵まれ、潜在力と可能性を秘めた地域である。清酒、ワイン、焼酎と多種多様なお酒があり、国内、他の地域にはないお酒の宝庫。道内経済がいま、深刻な不況下にある時、先人から受け継がれているチャレンジ精神で、北海道で生産されるお酒は北海道で愛飲する、というのが趣旨。
 そこで、日本酒、ワイン、焼酎などお酒をのむときには「北海道の酒」を積極的に飲む。居酒屋、レストランなど飲食店・ホテルではメニューに「北海道のお酒」を積極的に入れる。宴会などでは「道産酒」を積極的に使う、そして「乾杯」は道産酒で行うこと−などを道民に広く呼びかける、というものだ。
 「こめチェン」に関しては、道内の道産米シェアが40%に過ぎなかったのが、キャンペーン効果で75%にまでアップした。そこで酒も右へならえ、というわけで、現在の道内20%の道産酒シェアを2倍の40%に、というのが狙い。日本酒の場合は北道産酒のほとんどが道産米を原料にしており、「酒チェン」は米の消費アップとも関係がありそうだ。
 残念なのは、いま北海道の経済状況は「酒なんか飲んでいる場合ではない」ということなのだが、「酒チェン」の趣旨には「でんまが」も大賛成。皆さん、飲むのなら道産米、ただし、飲んだら乗るな、乗るなら飲むな、飲酒は20歳になってから、です!!

■丘珠空港の全日空路線存続で網走市長が“ハチの一刺し” (09.06)
 全日空が子会社・エアーニッポンネットワーク(A−net)の札幌・丘珠空港路線を新千歳空港へ移すと表明、札幌市は引き止めに躍起だ。札幌の立場から言えば、丘珠空港は函館、釧路、中標津、女満別、稚内を結ぶ重要な交通手段で、地方からも道都・札幌への大切なアクセス手段のはず。ビジネスや、観光、いざというときのケガ・病人の輸送手段としても必要だ。
 ただ、この空港の規模は中途半端だ。滑走路は1967年に1400メートルに延長、その後ジェット化を睨んで1800メートルへの延長論が出たが住民運動が活発で2004年に100メートルだけ延長して1500メートルになった。
 全日空はプロペラ機のDHC−8を運航しているが、同機は今年いっぱいで製造中止になるのに、後継機としてジェット機は投入できない。プロペラ機の購入には膨大な費用がかかる。赤字路線存続のために100億円もかけられない、という事情がある。
 しかし、札幌市は騒音・排ガス緩和、風雪対策などに2001年から2016年度までに180億円の事業費を投入する。現在までにすでに140億円をかけた。その空港が事実上放棄されるのは困る。全日空が撤退すれば、ターミナルビル会社の経営が成り立たず、1社同空港に路線を持つ北海道エアシステムも運航できない。そこで全日空の路線存続が札幌市の至上命題。路線で結ばれている稚内市、釧路市、中標津町、函館市、大空町(女満別)などに連携・協力を要請している。
 ところが女満別の隣の網走市・大場脩市長は丘珠路線存続に協力しない姿勢を明確にした。「丘珠より新千歳に直結する方が道外観光客に便利で、地元にはプラスになる」という理由だ。これは札幌市にとって痛いハチの一刺し。他の地域にしても、札幌中心部までの移動時間は丘珠も新千歳もさほどの違いはない。であれば新千歳に直結すれば本州方面とのアクセスがスムーズになる。しかも全日空は新千歳経由便に割引料金を設定することを表明している。ただ札幌市の要請をムゲに拒否することもない、という本音が否定できない。
 そこを網走市長がズバリと突いた。同市・大場市長の本音を代弁すれば「何かと札幌ばかりが優遇され、例えば北海道新幹線も札幌止まり。札幌が発展すれば北海道全体に波及するなどと甘いことをいっても、恩恵があった試しはない。いつまでも“仲良しクラブ”をやっていないで、地方は独自の考えで自分の町のメリットを考えて何が悪い」といったことになろう。そんな考えを否定するのは難しい。筆者は丘珠空港の存続・発展を望む立場だが、札幌市にとっては手詰まり状態だ。  

■さっぽろテレビ塔、元社員の着服で社長引責辞任 (09.05)
  元社員による2850万円の着服が明らかになった北海道観光事業(さっぽろテレビ塔運営)で村上淳社長が引責辞任することになった。「公表が遅れたことの責任をとるため」としているが、この問題、社長が引責辞任するほどのことなのか、素朴な疑問が否めない。
 元社員は2004年11月から2008年3月まで売上金を着服、発覚した08年3月に諭旨解雇された。北海道観光事業内部で役職員の処分、損害金の穴埋めなどの処理を行ったが、外部には公表していなかった。不祥事が表面化したのは幌市への投書による。村上社長はテレビ塔のイメージを損なわないようにとの考えから公表しなかったもの。同氏はサッポロビール北海道本社顧問からは07年6月に現職となり、任期の2年で退任する決断。
 着服問題は、ほとんどが村上氏就任以前のもので、前任社長も知らなかった。中間で「未収金」として秘匿されていた。もちろんそれでも管理責任は否定できない。それと「公表が遅れた」ことが村上社長の責任となる。しかし、それが社長辞任というほどの重いものなのか、素朴な疑問がある。「何か他のもっと大きな問題が隠されているのでは?」という疑問さえ感じさせる  実は背景に不祥事を知った札幌市幹部の異常なエキサイトぶりがあった模様だ。札幌市は北海道観光事業の17%の株主という立場。観光担当局長、部長らが、村上社長の引責辞任を取り付けたと伝えられる。これに「17%の株主に過ぎないのに、会社の不祥事につけ込んで社長に退任を迫るのは総会屋のようなやり方」という声さえある。
 テレビ塔はこれまで黒字経営を続け、コンスタントに配当してきた。札幌市もすでに出資分以上を回収できている。そんな中から不祥事による欠損金を出したのは褒められないが、「たとえば中央バスの路線問題では札幌市幹部の不手際でJRバスに損害を与え、それを市民の税金で補てんした。公金に穴を開けた者がどれほどの責任を取ったのか、全くバランスが取れていない」という批判がある。
 「テレビ塔の社長辞任は札幌市にとって悪しき前例となる」と言う市役所関係者もいる。「その程度の問題で社長辞任なら、今後なにか不祥事がある度に同じような対処をしなければならない。それでいいのか」というもの。しかし、市民感覚でいけばこれは良き前例といえる。今後はちょっとしたことでも責任者がびしびしと退職させられるのだから、札幌市や関係団体職員は厳しく襟を正すことが求められる。

■悪質社会福祉法人に札幌市の間抜けな改善指導  (09.04)
  「でんまが」は「政経コンフィデンス」欄 「労組との裁判で見せた理事長の特異パフォーマンス (09.04)」の記事でも札幌市東区で特養施設「大友恵愛園」を運営する社会福祉法人「大友恵愛会」の傍若無人な経営体質を報じた。記事末に「札幌市は今度は近く入所者を廊下で食事させていることに改善指導を発する構えでいる模様だ」とお伝えしたが、3月24日札幌市が文書でこの問題を改善するよう指導した。
 同法人の説明では「当初は1階の食堂を使っていたが、自力歩行ができない入所者が増え、エレベーターでの移動に時間がかかるため、やむを得ない措置」とされる。「施設の建てかえで対応する計画だが、7階建てで総工費が30億円になる見込みで財源が不足」として、改善のめどは立っていない。しかし、同社会福祉法人は全国的にも図抜けた18億円もの内部留保を持っており、それに加えて借入金を長期返済する計画を立てれば、不可能とは思えない。建築費をもう少し低く見直すことができるのではないか。
 札幌市は「不適正な状態がそのままで、異例の事態」「衛生上も、入所者の尊厳からも問題」として、立て替えが遅れる場合は増改築による改善も求めている 。
 しかし、ちょっとおかしい。大友恵愛園の敷地は札幌市から無償で借りているもので、今年いっぱいでその貸借期限が切れる。札幌市は「異例の事態」を続ける悪質な社会福祉法人に対して、改善しないのなら土地の貸借契約を打ち切るくらいの強い姿勢が求められる。よほど強い圧力がなければ、この法人には改善する意識がないのだ。それなのに「増改築による改善」と、土地貸借契約の更新を前提とした対応を迫っているのは何なのか。大友経営会側は「札幌市から追い出される恐れはなくなった」とたかをくくっているだろう。
<続報> 札幌市は大友正吾理事長を5月15日退任させた。

■北海道農業開発公社、役員報酬大幅返納の裏側 (09.03)
 北海道農業開発公社で常勤役員が09年度の報酬を最大3割自主返納することになった。「道から多額の補助金をもらっていながら高すぎる」の批判に対応するものと言うのだが…。
 対象になる役員は近藤光雄理事長(元道副知事)と農業団体出身2人、公社プロパー1人の計4人。近藤氏以外の3役員は現在の年俸約1300万円の3割の約400万円を返納、年俸が道の再就職要綱で660万円とされている近藤氏は60万円を返納する。
 この報酬自主返納をリードしたのはおそらく近藤理事長だろう。近藤氏は副知事退任後北海道空港社長に天下るはずだったのが空港側の抵抗で不発となり、やむなく08年7月に同公社に再就職した。そこで自らの報酬を他の常勤役員並みにしようとしたのだが、役員らが道の再就職要綱通りlにすべきだと反対、結果、他役員の半額の660万円となった経緯がある。同公社は農林水産省や道職員に飲食をもてなしたことが批判された。そこへ乗り込んだ近藤氏にはあまり「改革」をして欲しくない?役員らが北海道やマスコミにリークした、との見方もあった。
 近藤氏は理事長として綱紀粛正に着手、これまで懲戒処分の対象外だった役員にも違反行為があれば理事会で処分を決めることにし、工事発注も1000万円以上は一般競争入札として、これまでの“なあなあ”の随契を減らした。
 そんな延長線上での今回の役員報酬返納は、農業開発公社内部の複雑な事情、つまり理事長VS他役員のバトル?をかいま見せてくれる、と言う意味で面白い。これはあくまで筆者の穿ちすぎた読み方であることをお断りしておく。

■札幌市職員の天下り全廃、よくできました!!  (09.02)
 上田文雄札幌市長が2月18日の市議会本会議で市職員天下り全廃の方針を表明した。札幌市の競争入札に参加資格がある登録業者に天下りした場合、現在2年間営業活動を禁止しているのを5年に延長することで、事実上天下りできなくするという。
 また市の出資団体には局長職以上が退職後に天下ることが多いが、60歳定年後も再任用し、再任用職員を含む現職を出資団体に派遣するよう切り替える方針も示した。再任用制度は2002年に導入、局長職だった人を部長職、部長職だった人を課長職に降格して、給与を抑制して雇用継続する制度だ。
 職員が個人的に民間企業や団体に再就職することは自由だが、これで天下りは事実上全廃となる。この種の制度変更は一定の猶予期間を設けて段階的にやるのが通常だが、上田市長は新年度から実施すると明言した。これは上田市長をおちょくりまくっている「でんまが」であっても、高く評価したい。昨年秋公正取引委員会から官製談合を認定されたことを受けた改善策だが、公取委に関係なくやってもらいたかった。
 ところで、現行の出資団体への天下りに関する市の要綱では、現職時の役職によって再就職先での給与上限を定め、賞与や退職金を禁止している。新たに、再任用制度で市職員として出資団体に出向する場合の待遇はどうなるのかが気にかかるところである。従来の再就職より新たな再任用・出向の方が給料(トータルでの人件費)が高い、というようなことにはならないでしょうね。

■歯科医院の「無料診療」はそんなに悪いのか…?!   (09.01)
 札幌市内の歯科診療所「デンタルライラック」とNPO「CMケア機構」が連携した患者自己負担分を無料にした診療行為がマスコミを賑わせている。また在宅支援診療所の「宮の沢ファミリークリニック」と「琴似ファミリークリニック」が健康保険の患者自己負担分を無料や割引にしていることも問題とされている。(その後「宮の森…」と「琴似…」は中止を発表。}
 問題は、健康保険法では患者が1割〜3割の定められた自己負担分を支払うことが義務づけられいるのに、診療機関側が事実上それを減免していることだ。
 しかし、これは患者にとっては非常にありがたいサービスであることは間違いない。視点をかえてみると、経済的に困っている患者の自己負担分を負けてあげることが違法行為ではあってもそんなに悪いことなのか、疑問に思える。「赤ひげ医師」の自分がもらう報酬を我慢してでも患者負担を減らす行為を、ただ違法だからと非難することが正当なのかどうか。 むしろ一部医療機関が施設に入っているお年寄りや施設職員をろくに診察もせずに薬を出していることの方がはるかに悪質だ。徴収するべきでない診療費を得ているのだ。
 ただ困ったことに医療費がかからないとなれば不要不急の受診が増えることで、健康保険財政が悪化するおそれがあることだ。問題はそんな患者側にもあることは確か。無料診療を禁止する根底には「国民性悪説」がある。
 ところで、騒がれているNPO「CMケア機構」だが、これだけマスコミが取り上げている背景には、仁科雅晴理事長がマスコミに敵対的な対応をしていることも少なからず影響している感がある。「でんまが」は過去に仁科氏にによる悪質な行為て多大な被害を受けた人物がいることを把握している。なんとなく不信感を持たせる雰囲気があるとすれば、それは仁科氏の不徳だろう」

■北海道新幹線早期着工決起大会の裏側   (08.12)
 北海道新幹線の未着工区間(新函館ー札幌)の着工認可が大詰めとなった気配。財源問題が依然不透明なため、与党道選出代議士会は便法として長万部ー札幌の部分着工を打ち出し、呼び水とする動きだ。
 麻生政権は財政規律を一時棚上げしてでも景気回復対策をやる方針で、新幹線未着工区間の着工は地域経済テコ入れのためのカンフル剤となり、なんと言っても来年に控える総選挙に向け「何とかしなければ戦えない」という議員の悲痛な声が推進力となっている。与党の危機感に押され財政問題を“錦の御旗”とする省庁の抵抗も諦めムードの感がある。
 「地域経済のテコ入れ」という大義名分なら、未着工区間3線の同時着工が原則で、政治力で先行していた北陸・金沢ー鶴賀、九州・諫早ー長崎を先にやり、北海道は後回しということにはならない、とする北海道サイドの楽観論が強まっているが、一方には「そうはいっても財源問題が厳しく、北海道だけが後回しにされる懸念も払拭できず、予断は許されない」との観測もある。楽観、悲観のはざまで右往左往しているのが本道の新幹線促進関係者の実情だ。
 与党の議論は12月中がヤヤマ場とあって、12月4日東京都内で北海道新幹線建設促進期成会の決起大会が開かれた。高橋はるみ知事、高向巖北海道商工会議所連合会会頭ら経済界トップが出席、地元の熱意を政府・与党に訴えた。
 ところで、その少し前に北陸勢の同じ趣旨の決起大会があり、参加者は300人ほどだった。北海道期成会は北陸と同じ東京・平河町の「海運クラブ」を会場に、「北陸を上回る動員数が必要、最低でも350人」(経済団体幹部)としていたが、結果はめでたく目標を大きく上回った。マスコミは「自治体関係者ら450人」と報じた。
 といってもある経済団体関係者は「このご時世に、出張旅費をかけて東京へ行くのは無理。出先事務所や企業に呼びかけて“現地調達”したのが実情です」と明かしている。「大量動員」といっても“増量剤”で格好をつけたのが実態ではある。

■褒めてあげたい札幌市の“YOSAKOI乗っ取り”  (08.11)
 「でんまが」が伝えたように「YOSAKOIソーラン祭り組織委員会」で中田輝夫会長が退任、後任会長に星野尚夫氏が就任した。星野氏は札幌市の出資団体である札幌振興公社社長。旧北海道拓殖銀行では頭取候補といわれた存在だが、拓銀崩壊で北洋銀行に移籍、東京在任の常務取締役から振興公社に転出した。上田文雄市長の出資団体改革の公約に基づき、これまで札幌市副市長クラスの天下り指定席だった同社社長に外部導入人事を実施したものだ。
 札幌振興公社は札幌市が筆頭株主で出資比率は8.2%強とそれほど高くはないのだが、市からの委託事業が同社事業の大部分を占めるため、やはり市の支配力が強い。そこから星野社長が「YOSAKOI組織委員会」会長になったということは、YOSAKOIに対しても市の関与が高まったという意味合いになる。
 ある札幌商工会議所幹部は「以前YOSAKOI組織委員会の運営が不透明で、立て直しが必要とされたときには札商がテコ入れした。それが一段落して、いまは札商はYOSAKOIに対しては、桟敷観覧席のチケット販売に協力する程度の関与に後退している。札幌市はYOSAKOIに年間300万円弱の補助金を出しており、イベントの規模の割には市の負担は大きくない。しかし、市監査委員がYOSAKOI組織委員会の監査に入り08年9月に監査報告をまとめた。結果は『組織運営体制に問題あり』と、市からの補助金が適正に運用されているかだけにとどまらない踏み込んだものだ。市の監査が入った時点では、問題になった「パル・コーポレーショ」ンや「エー・アイ・エム」の経営破たんはまだ表面化しておらず、どういうタイミングで市が監査に着手したのか不思議だ。結果、中田前会長が退任、市と関係が深い星野さんが新会長になった。これは札幌市によるYOSAKOIの“乗っ取り”ということもできる。私は50%以上はそのように感じている」と明かす。筆者の「そのような側面がある」との見方に対するコメントだ。
 札幌市が意識してYOSAKOIへの影響力奪取の挙に出たのなら、それは見事に成功したと言える。これで市は「さっぽろ雪まつり」と「YOSAKOI」の2大イベントを取り仕切ることとなった。YOSAKOIは短期間に大きなイベントに成長し、市がもっと運営の前面に出ることには異論がない。ことこの件に関しては札幌市を「うまくやった」と褒めてあげたい。

■鳩山総務相夕張視察、しない方がよかったのか  (08.10)
 10月27日、鳩山邦夫総務大臣が夕張市を視察した。
 これを伝える北海道新聞記事はネガティブな書き方だった。「現地滞在1時間半」「選挙向けのアピール」「1昨年暮れ視察した当時の菅義偉総務相は3時間半滞在して各種団体代表とも懇談したが、市民団体と直接対話がなく駆け足と批判された。今回はさらに短時間で『現状が分かるのか』と批判も出た」「夕張商工会議所の沢田宏一会頭は『最大の課題の人口流出にも触れていない』と話した」等々。
 ちなみに「左寄り」と言われる朝日新聞は「選挙用のPR] という見方は書いているが、2時間弱の駆け足視察の中でも「空き家の目立つ市営住宅前では車窓からだけという予定を変えて車を降り、住宅の窓からのぞき込み」質問したり、「残っている住宅に5割近い市民が住むと聞き、大変驚いた」と感想を述べたことを報じている。夕張医療センターでは、やはり予定を変えて説明に耳を傾けた、など結構好意的な書き方だ。
 地元紙・道新の論調だと、鳩山大臣は夕張に行かない方がよかった感じ。「まるで来るなといるようなものだ」と感じだ読者も少なくないはず。
 商工会議所会頭までが不満を言っているとすれば、この人の感覚にも疑問を感じる。夕張市が財政破たんしたのは、国や自治体だけが悪かったのか。元夕張市長・中田鉄治氏は1979年から2003年まで市長を務め、市勢の衰退を前に「炭砿から観光」へとテーマパーク、スキー場などを開設、地域経済の再生、人口流出抑止、雇用創出などを図った。結果的には過大投資が財政悪化を招いたが、いろいろな名目で補助金を取り付け、市財政の延命策に苦闘した。その延命策のなかで地元経済にもおこぼれがあったはず。経済界の自助努力にも限界はあっただろうが、補助金を市とともに食いつぶしてきたことも事実だ。それを棚に上げて「自分たちは被害者、政府や自治体が悪い」とは実は言っていないと思うが、新聞記事を見る限りそんな印象を受ける。地元紙の論調だけを丸飲みはできない。

■物議を醸した農業開発公社理事長報酬  (08.09)
 北海道農業開発公社理事長に天下った近藤光雄氏(前道副知事)が、自分の報酬が道の要綱では年間660万円となっているのに対し、公社の報酬規定にある1440万円に引き上げようとしたものの理事会で否決され、それが表沙汰になって物議を醸した。
 近藤氏は、本来なら北海道空港社長に就任している予定だったが、高橋はるみ知事の申し入れに対し岡眞則道空港社長が退任を拒否、行き先を失った近藤氏に用意されたのが農業開発公社理事長ポストだった。道空港社長の年報は2000万円だが、実質3000万円とも言われる。それに比べると、現在の660万円は少ないと言えば少ない。
 農業開発公社も問題を抱えていた。農林水産省や道の職員に飲食をもてなしたことで、役人側が倫理規定違反で大量処分された。公社側にも再発防止策が求められる。そこで職員行動規範をまとめ、その中にはこれまで懲戒処分の対象外だった役員についても違反があれば理事会で処分を決めることになった。1000万円以上の発注工事も段階的に一般競争入札に切り替え、一般競争入札を2007年度13.5%だったのを2011年までに80%以上にする。近藤理事長が乗り込んでまずは綱紀粛正に一石を投じた。
 そこで、これは「勝手な邪推」と断っておくが、農業開発公社としては近藤理事長にあまり仕事をして欲しくないのが本音なのではないか、という読みができる。農業開発公社にとっては農政部畑から新理事長が送り込まれるのなら、これまでのように“なあなあ”の関係でスムーズに仕事ができるが、経済畑からの近藤氏の登板ではそうは行かない。実際近藤氏はさっそく綱紀粛正に着手した。歓迎されない新理事長が報酬引き上げを図ったのに対し、他の理事らが反対、という構図。1000万円以上の報酬をもらっている理事らが、理事長の報酬を660万円に抑えるのは、普通なら気が引けるかも知れない。しかし、ここは正論を押し通した。さらに駄目押しをするように理事長報酬引き上げの件をマスコミにリークした。念を押しておくが、これはあくまで筆者の憶測だ。


■バス路線問題で上田札幌市政のデタラメ加減  (08.08)
 JRバス側は車両の発注や従業員の採用を開始しており、後戻りできない状況になっているとされる。「JRバスを後継とする決定を覆せば、JRに多大な損害となり、中央バスとの調整にも時間を要すため、12月下旬の運行開始に間に合わなくなる」というのが担当局長の市議会答弁だった。
 その一方、市の負担額は19億円にも膨れあがることが明らかになった。市は当初10億円超と言っていたが、もっと増加することは明らかだった。いま言っている19億円も、本当にそれ以上の増加がないのかどうか信じられない。そんなに市民の税金を投入しなくても、中央バスによる路線継続が可能だった。しかも、いくら市費負担がかかるか明らかでないままに、市は中央バスを切り捨て、JRバスへの移行を進めた。
 上田市長や市役所幹部は市民の税金をそんなに気楽に考えているのだ。市と中央バスは感情的に決裂したことは分かるが、市民の視点が欠如している。自分たちの感情、メンツのために中央バスとの関係修復を切り捨て、弥縫策として金に糸目をつけずJRに任せる。上田札幌市政がやっていることはそんな馬鹿なことだ。
 「元に戻せばJRの損害が多大」と言うが、損害金額は一体いくらなのか、それを補償してでも中央バス継続とする方が有利なのか、そうではないのか、も明らかにされていない。緻密な計算なしの、行き当たりばったりの札幌市の対応である。こんな市長に市政は任せられない。
(なお、中央バスの運行継続に関す平尾一彌同社社長から上田文雄札幌札幌市長当て質問書全文を「政経コンフィデンス」欄に掲載しています)  

■当別ダム入札に指名停止業者勢揃い  (08.07)
 談合事件頻発で、大手ゼネコンが軒並み指名停止。これで困ったのが当別ダムの一般競争入札。技術力を必要とする工事で、大手が入札に参加できなければ、それ以外の業者だけでは返って公正な入札にならないというのだ。
 発注者である道の「競争入札資格者指名停止事務処理要綱」では、指名停止中の業者は一般競争入札には参加させられない。 しかし「年期明け」まで入札を延期すればそれだけ完成が遅れる。ただし同要綱は「やむを得ない事由があり、知事の承認を受けたとき」はその限りでないという、言ってみればザル法だ。そこで高橋はるみ知事はこの特例を適用することに。「ダムの役割上、完成時期を遅らせるわけにははいかない」ことを「特別の事情」としている。
 道の世論誘導は巧妙だ。知事方針を発表する1週間ほど前に、道と札幌、石狩、小樽市、当別町でつくる石狩西部広域水道企業団が「1日でも早く共用したい」とする事情を吹聴、指名停止業者を除いて入札を行っても、「応札業者が極端に少ない状態で落札されれば道民の批判を招きかねない」などとマスコミを上手に利用、「だから予定通りの入札が必要」と世論操作。その上で、知事の「特例適用」へと動いているのだ。
 結果、道開発局の官製談合に関与した道内8社、東京都新都市建設公社発注の土木工事談合(01年発覚)で先ごろ公取委から課徴金納付命令を受けたで大手ゼネコン34社などが当別ダムの入札に参加出来る。 望ましいことではないが、やむを得ない事態なのか。
 そこで教訓。「赤信号、みんなで渡れば恐くない」!!

■北海道開発局切り捨てに抵抗力剥奪 (08.06)
  談合摘発で地検も“共同作戦”?
 札幌地検は5月に談合を主導した容疑で北海道開発局の元農業水産部長ら幹部3人を逮捕。続いて6月16日には品川守国土交通省北海道局長(58)、高橋繁樹タカハタ建設元会長(64=旭川市=元石狩川開建部長)、任田正猛岩田地崎建設執行役員(67=元石狩川開建次長)を逮捕した。競売入札妨害容疑の疑い。いわゆる官製談合を主導したとされる。また札幌地検は伊藤組土建も家宅捜索した。
 伊藤組土建総帥で取締役相談役の伊藤義郎氏は北海道商工会議所連合会会頭も務めた経済界重鎮。北海道建設業協会では今年会長を退任する意向だったが、建設業界が厳しい状況に立たされていることから見送った。もし退任していたら、次の協会長は岩田圭剛岩田建設社長だったはず。会長の企業から談合による逮捕者が出たとすると、さらに大きな不祥事だった。さすがに伊藤氏もそこまで見越していたわけではないだろう。
 国交省の北海道局長と言えば、旧北海道開発庁で言えば事務次官に相当する大物官僚。それが逮捕とあって、国交省への衝撃は大きい。20001年に建設省、運輸省、道開発庁を統合したのが現在の国交省。中でエリート組は旧建設省、運輸省官僚で、旧開発庁組は一段下と見下される存在とも言われる。エリート組にしてみれば「旧開発庁のお粗末なやつらが起こしたのが今回の不祥事」という意識が否定出来ない。
 地方分権改革の流れの中で、道開発局に対し縮小、廃止論議が出ていることは周知。公務員の不祥事、無駄遣いが避難され「増税論議の前に政府自体が改革するべきだ」と指摘される。そんな中で開発局が格好のトカゲのシッポ切りの対象になる風向きだ。「出先機関は中央の目が届きにくい。不正行為に目を向けるためにも、国から地元都道府県に移管すべき」との声もある。取り沙汰されてきた開発局不要論に拍車がかかりそうだ。
 今回の不祥事がなくても、地方分権改革の中で、一級河川、直轄道路を都道府県に移管する論議がある。そうなれば道の負担額は道路で90数億円、河川で40数億円の合わせて140億円の増加となる。それが負担出来なければ事業量を減らすしかない。そのため財源措置の攻防となるが、見通しは厳しい。
 北海道はこれまでの北海道特例を廃止、全国一律扱いとし、開発局も他地域のように地方整備局とする、という強い圧力を受けている。それと足並みをそろえるような開発局の談合摘発で、抵抗力を叩く共同作戦…とさえ思いたくなる。この北海道叩きに地元としては全く打つ手なしだ。

■北海道新聞・新蔵専務がUHB社長に転出 (08.05)
 北海道新聞社で次期社長候補の本命と見られていた新倉博雅専務がUHB社長として転出することが決まった。
 関係者は新倉氏の転出よりも、菊池育夫社長の続投の方に注目している。小池氏は、前社長・東功氏が“長期政権“になると見られながら、がんのため退任、急遽後継社長に指名された。東氏としては菊池氏はワンポイントリリーフ、その後を新倉氏に、というシナリオだったと言われる。しかし、社長になってしまえば当然ながら最高権力を握り、今回の人事断行となった次第だ。 「菊池社長にとってみれば、社外でも目立っている新倉専務が目障りだったのだろう」との見方もある。
 新倉専務転出と同時に行われた一連の役員人事のなかで、情報通は「ポスト菊池としては編集局長兼務で今回常務になる須賀信昭氏が注目される。しかし近く社長を降りるようなポーズを見せながら、実は長期体制を狙っているのが菊池社長の本心ではないか」と解説する。
 今回の人事を内示したのは5月12日。地元雑誌が5月15日発売の6月号に取り上げるには間に合わないタイミングを狙ったという。1カ月遅れれば話題性が劣化するのは確か。そんな小細工をせずに、正々堂々とした姿勢を見せてはいかがなものか。

 

■社会福祉法人シルバニアめぐる不思議な動き (08.05)
 社会福祉法人シルバニアがカレスサッポログループから事実上売却されて、買った側の高橋景二なる人物が理事長になったと思ったら、シルバニアからカレスグループの医療コンサルタントであるスクウェアワンという会社に1億円が不当に支払われた。札幌市が乗り出し、1億円は返却され、高橋理事長が退陣。現在は元室蘭工大教授の荒川卓氏が理事長になっている。
 その過程で4月中旬突如柴田文男氏なる人物が「自分が常務理事になった。自分の部屋はどこだ」とシルバニアに現れた。同氏は滝川市職労出身で、同市市議、連合空知会長を務めた経歴がある。シルバニアには「北武グループ」顧問の立場で乗り込んだ。といっても、手続きを経て理事に選ばれた事実はない。何とも不思議な行動だ。柴田氏は以前にはやはり問題がある「大友恵愛会」で法人側として組合対策に動いた過去もある、労働界出身としては不思議な人物。 「事実上スクウェアワンが高橋氏に施設を売ったのがうまくいかなかったので今度は北武グループに転売するつもりだったのだろう。柴田氏はシルバニア側の拒否反応で引き下がり、北武グループも手を引くことになったのではないか」というのがシルバニア労組の見方。
 札幌市は1億円が戻ったので、後は知らん顔。高橋氏がシルバニアから金を抜き出したのは犯罪行為。一時は道警に相談、告発を検討したというが腰砕け。 ここではっきり白黒をつけなかったため、高橋氏は関西方面で動き回り、先行きを懸念する声もあるのだ。
  またシルバニア売却に動いたスクウェアワンは尼崎駅前でオリックスグループの一環として8階建ての昭和病院を建設中。それに対しても医療専門家の間から先行不安視の声もある。

■北海道空港社長人事の裏側 (08.04)
 新千歳空港ターミナルビルを運営する第3セクターの北海道空港社長人事を巡って、高橋はるみ北海道知事は、岡真則社長の退陣と交代要員の送り込みを要求、岡社長がこれを拒否する対立となった。結果、岡社長の粘り勝ちで続投が決まった。知事のメンツ丸潰れである。
 岡社長は「道空港は道の出資比率が低く、自分は道OBの再就職要綱の対象外だ。67歳になっても辞める必要はない」と主張した。しかし、そんな理屈は通るはずがない。どういう理由で社長になったかは、明らかに「株主である道から送り込まれたから」意外にないからだ。その道が退陣要求すれば従うのが筋である。  道は13%しか株を持たないといっても、他の株主に働きかければ大抵の株主は同調する。資本の論理で岡社長を取締役から外すことは出来るはずだ。要するに道が弱腰だったということだ。
 それはなぜか。道側にも弱みがあるからではないのか。
 道空港には関連会社を巡るいろいろな不透明部分がある。雑誌でも報道されており、また筆者が知る極秘情報では、東京のある経済人が山本邦彦道副知事に「住吉哲治道空港副社長を解任せよ」と迫り、その席には坂本慎一JR北海道相談役(当時会長)が同席していた。住吉副社長は道空港の実力者で事実上グループ企業を含めて取り仕切っている人物。その周辺に不透明さがあると指摘されている。坂本氏は数年前JR専務だった中島尚俊現jR社長を道空港監査役から引き揚げさせ経緯がある。「道空港には問題があり、JRから監査役を出していては傷がつく」とする判断によるものだったという。
 JR北海道が道空港に対して“ダメ出し”したことになり、坂本氏が会長になった北海道観光振興機構に対して、道空港は非協力姿勢。それも高橋知事の道空空港に対する不快感の原因の1つのようだ。  問題は根深い。知事が空港を正常化する強い意向を持つのなら、今回の社長人事がチャンスだった。それが情けなくも腰砕け。知事が道空港の根深い問題点を理解していないことと、やはり知事側にも何か弱みがあるのではないか、という疑念が残る。

■「強制わいせつ」道新のセクハラ報道 (08.03)
 札幌大学教授(64)が女子学生に関係を迫るセクハラで諭旨退職となった。この件を報じた北海道新聞記事(3月27日)には「北海道新聞はこの問題で宮越学長に取材を申し入れたが同大は応じず、『取材に対して話すことはない』としている」と書いて、大学側の対応を批判した。
 その少し前、道新釧路支社の記者が女性に強制わいせつ行為をして逮捕されている。ある雑誌がそれを「レイプ」と報じたところ、道新側が「強制わいせつであって、レイプではない」と抗議した。雑誌側は「正確にはそうだが、女性が抵抗出来なかったら、レイプに及んでいたのではないか。強姦未遂といってもいい」といったやりとりがあった。
 札大セクハラ問題を取材した記者は、自社の不祥事を棚に上げて仕事をしなければならない立場。気の毒ではあるが、やっぱり道新が偉そうなことは言えない、というのが実感である。

■サミット費用圧縮にチャッカリ作戦 (08.02)
 7月に開催される北海道洞爺湖サミットだが、これにまつわる地元の費用負担は合計5億6000万円。多少サバを読んでいるようで、ともかく安上がりにすることもテーマの1つだ。財政が苦しい道としては、そのうち2億6000万円を経済界に協賛してもらう。財政からの実質持ち出しは3億円、というちチャッカリ作戦である。
 新千歳空港や、JR札幌駅にカウントダウン・モニュメントが設置されているが、あれも企業からの協賛によるもの。道はお金を出していない。 また、公式ガイドブックとして北海道の自然、経済、産業、観光などを説明した冊子、サミットの公式ポータルサイト、公式ポスターなど各種広報媒体は、受託者が広告料収入などで必要財源を確保して制作することが条件だ。
 これまで、この類の各種印刷物などはお役所仕事的にかなりの費用をかけて業者に甘い思いをさせてきたはず。しかし、工夫次第では役所からの支出ゼロでもやれることを示した。

■コンサドーレの経営責任 (08.01)
 コンサドーレ札幌がJ1復帰となるが、累積債務27億円を抱えて経営は苦況に陥っている。
 道と札幌市に融資の返済延長、出資金の減資を求めている。これに対し、道は今年度末が期限の5億円の返済延長はやむを得ないが、期間延長は最大5年とし、今後は一切延長を認めない姿勢。またこれまでやってきた年間1億円の補助金は打ち切る考え。 また札幌市は融資延長に応じ、補助金も08年度は8500万円(前年の500万円減)の補助金を続けるが、今後3年で打ち切る考え。 減資については、道と札幌市が現在1億5000万円ずつ出資しており、80%減資なら3000万円ずつになる。他の株主が応じるのなら従う方針。
  ところで、その株主だが、コンサ運営会社の北海道フットボールクラブの株の20%は持ち株会が持つ。持株会は一般市民らが1口5万円を出資した資金を束ねている。
 減資には株主総会で持株会など株主による議決が必要だ。そのためには持株会役員が議決権を行使するのだろうが、そこに疑問がある。 持株会という名称からは会員が出資分の権利を保有することが想定されるが、コンサの持株会はそこが曖昧。出資はしたが、権利は担保されていない模様で、そこにも疑問を感じる。それだったら、持株会役員らは人に資金を出させて、権利は自分たちのものにしているのだ。
 また持株会役員は本当に会の総意で選出されているのか、本当に議決権を行使する資格があるのか。持株会の役員は規約によって定期的な総会などで選出されているのかどうか。そこが曖昧だと、役員は勝手に役員だと称しているに過ぎないことになる。そんなメンバーが株主総会で減資を決めることは出来ないはずだ。
 持株会会員の1口5万円の出資は、議決権1個を与えられて当然な金額だ。コンサが株主総会の議決を有効なものとするためには、まず個々の出資者を直接株主として、総会への出席案内や委任状受付の手続きをするべきだ。もちろん手間がかかるが、そんなことはどの会社もやっていることだ。
 道は児玉芳明社長らの経営責任明確化を求めている。まずは持株会代表と称して役員に入り、それなりの見返りをも受けたメンバーが、出来る限りの穴埋めをした上で退任すべきだ。
(編集部注・ 北海道フットボールクラブが2月末に開いた株主説明会で80%減資が了承されました。改めて開かれ株主総会で正式決定される見通しです。)

■石油高騰でちぐはぐな対応 (07.12)
 連合北海道が呼びかけて、12月12日「灯油等石油製品価格引き下げと道民の安定を求める緊急全道集会」が開かれた。消費者団体や労働団体から600人が集まり、実効性のある価格引き下げや福祉灯油制度の拡充などを国に求める決議を行った。
 実は、この集会には北海道商工会議所連合会、北海道経済連合会などの経済団体にも案内があったが、経済団体側は「ガソリン税問題も含みにしている」と嗅ぎ取って、道路財源問題にからむのなら、連合や民主党のサイドの暫定税率撤廃とか一般財源化の話には乗れない、という判断から参加を拒絶した。
 そこへの来賓としてこのこと出かけたのが丸岩公充自民党道連幹事長。易々と「消費税及び石油諸税の一時凍結を含む緊急立法措置をはかること」という項目を含むアピールに与してしまった。あげくマスコミには「来賓席には自民、公明、民主、社民、新党大地の各区政党や合議会会派の代表が並び…」と石油諸税問題で政党がこぞって足並みを揃えたかのように書かれた。ガソリン税の暫定税率廃止には賛否があろうが、自民党の立場ではこの集会は趣旨が噛み合わないはずだ。
 一方、民主党市長ながら、福祉灯油には全くやる気がない上田文雄札幌市長も「福祉灯油制度拡充」という集会決議に参加したことになる。札幌市民の中にも弱者は少なくない。市民に優しい行政をやったらいかがか。

■「たかを観光」2度目倒産の背後 (07.12)
 12月6日、札幌市内で3つのゴルフ場(羊ヶ丘CC、真駒内CC,滝野CC) を経営する「たかを観光」が札幌地裁民事再生法適用をに申請した。同社は98年に負債総額711億円を抱え和議を申請しており、それでも和議条件に従った負債返還が不可能となり、今度は民事再生法を申請。いわば2度目の倒産だ。
 4月までに再生計画を策定するが、金融債務133億円、ゴルフ会員権預託金87億円を相当額カットすることになる。
 この民事再生のミソは100%減資した上で、新たに増資するところにある。つまり現在の株主には全く権利を失わせるという点だ。「たかを観光」の和議以前の旧経営陣の影響力を排除することをも意味する。
 ある有力メンバーは「旧経営陣の息のかかった先が、本来は債務者なのに一方で債権者でもあるというのはおかしい。それらには退場願いたい」と話している。
 2年ほど前に、同社では第3者割当増資を株主総会に提案した。それも旧株主の影響力を薄めることが目的。しかし、旧経営陣が3分の1以上の株を持っていたため、議決に必要な3分の2以上の賛成を得られず、増資が否決された経緯がある。そのため、会社分割、減資・増資など有効な再建策をとれず、今回の事態に至ったという。
 しかし、排除される側の抵抗もある。旧経営陣が影響力を失わない形の対案や、別個の会社更生法申請の可能性もある模様。なにやら複雑な対立構造が臭っている。

■何とも気持ち悪い上田市長のサンタ姿 (07.11)
 優れたデザインと機能性を併せ持つ商品を札幌市が「札幌スタイル」として認証している。04年に制度化した。いい商品を行政がバックアップするのは結構なことだ。
 ところで、その「札幌スタイル」をクリスマスのクリスマス商品をPRするために上田文雄市長がサンタクロースに扮して写真撮影し、12月に地下鉄大通駅コンコースにある札幌スタイルのショーケース内に飾るのだそうである。
 新聞に何とも珍妙かつ不細工で気持ち悪いサンタ姿の写真が披露された。これを公衆の面前に「飾る」といっても、そんなもの飾りになどなるわけがない。見て不快感を持つ市民も少なくないはずだ。このダサさには「何が札幌スタイルだ」と冷笑を禁じ得ない。要するにこれは、上田流のパフォーマンスに過ぎない。公費で次の選挙運動をしていることが見え見えで不愉快この上ない。  民主党や上田陣営は「そんなことはない」と言うだろう。そこで、立場変われば民主党はどういうことを言ったのか検証するため、06年9月20日の北海道議代表質問でのやりとりを振り返っておく。
 林大記議員(民主党・道民連合)=知事の道産米コマーシャル出演などは、自身のPRのための道政利用の疑いがある行為で慎むべきだ。
 高橋はるみ知事= 高橋知事 公務と政務は峻別(しゅんべつ)して対応している。指摘のようなことはないと考えており、今後も適正に対応する。
−−というわけだった。
 市長の安っぽいパフォーマンスに迎合している新聞もバカだ。10月8日には上田市長が夕張市に藤倉肇市長を訪ね高規格救急車を貸し出す引き渡しパフォーマンスを演じた。それを新聞・テレビが「美談」扱いで報じた。市長が自分で運転して行ったわけでもなし、なにも格好つけに夕張に出向く必要などないのだ。そんなヒマがあったらもっと必要な仕事をしなさい、といった視点をマスコミは持っているべきである。

■続発する札幌市職員の不祥事と上田市長の姿勢 (07.10)
 札幌市や外郭団体職員の不祥事が続いている。消防局職員が女性暴行で逮捕、同じく消防局職員が大麻所持で逮捕、小学校教頭が児童買春やわいせつ画像の雑誌への投稿で高額な収入を得ていたり、さっぽろ健康スポーツ財団や札幌市福祉事業団で経理担当が着服、などなどとんでもない事件続発である。
 上田文雄市長は10月15日幹部を集めて「市民の信頼を回復するよう最大限の努力を」と訓示した。
 しかし、その上田市長本人の公序良俗感覚麻痺も問題だ、と指摘しておく。この4月、再選を果たした市長は幹部人事を行った。その中でも主要ポストに女性問題で顰蹙を買ったAを起用している。以前札幌にいた外国人女性との問題は結構知られている。ある市長側近が女性問題を耳打ちしたところ、市長も相手の女性を知っていた。それでもAは議会で公明党対策に人脈を発揮することを期待してか、女性問題には眼をつぶった。
 他にも、東京事務所で不倫問題があった男女職員を同時に札幌に転勤させたことで、市役所内部に「うちの人事は何を考えてやっているんだ」という白けた声が出ていた。そんなことも職員のやる気をなくさせている。そして、とんでもない乱れにつながっているのではないか。
 小さな乱れを見遁していては、大事につながる。「破れ窓理論」を噛みしめる必要がありそうだ。

■石水勲(石屋製菓社長)にレッドカード (07.08)
 北海道の代表的な土産品「白い恋人」の石屋製菓で賞味期限改ざんや大腸菌汚染のアイスクリームの秘そかな処分、黄色球菌汚染のバウムクーヘンなどが明らかになった。  同社の売上の9割が「白い恋人」であり、これにもしものことがあれば企業存続に取って致命的なことになる、と言われていた。それが現実問題になった。
 コンサドーレ札幌の支援でも知られる石水勲社長は記者会見で「自分は多忙で関知していなかった。社内の風通しが悪かった。改ざんは一番嫌いなこと」などと言ったが、何を言おうとこの会社の最高責任者は石水社長である。
「責任を取って2,3年中に社長を退任する」みたいなことを言っているが、石水社長は今回の問題が発覚する以前から社長退任を公言していたから、それで責任を取ることにはならない。  また「本業以外に忙しくて反省している。今後は本業に戻らせていただきたい」などと、札幌商工会議所副会頭退任も示唆しているようだが、それならそうとはっきり明言してはどうか。そしてもしも慰留されたとしても撤回するべきではない。
 今年4月の札幌市長選挙で石水氏は清治真人候補の後援会長を務め、落選するようなことがあれば札幌商工会議所副会頭を退任すると公言したにもかかわらず辞めなかった。理由は「高向巖会頭に慰留された」から。「ならば初めから退任などと言わなければいいことだ。市長選敗北が石水氏だけの責任ということはない。しかし、関係者の中で『退陣』と公言したのは石水氏だけだ。それなら言行一致を貫くべきだ。そんなことを軽々しく口に出すこと自体が問題で、副会頭にふさわしくない」という声もあった。
 それが、今度は自分の会社の不祥事で公職をどうするのか、札幌商工会議所副会頭を辞めるとは明言していない、相変わらずのいい加減さである。しかも、これは自分の個人会社の不祥事ではない。「白い恋人」といえば、北海道を代表する、北海道のイメージそのものだ。北海道のイメージをぶち壊した責任を軽々しく思ってもらっては困る。
 もしも、もともと自覚の足りない経営者だったのが、「白い恋人」で一発当たった。それで調子に乗っていただけの人物なら、さっさと退場すべきである。そんな人間ではないということなら、一から出直して示せばいい。 (07.08.15) 

白くもない、恋人でもない、腐った石屋製菓  (07.08)
「白い恋人」の賞味期限改ざん問題について、その後続々と石水勲社長がついた嘘が明るみになってきた。
 初め「改ざんは30周年記念商品のみで、他にはない」と言っていたのに、実は96年以降常態化していた。石水社長は「関知していなかった」と言うのも嘘。つまり、知っていてやらせていた。当初記者会見で「白い恋人は賞味期限表示の対象外」と言っていたのも真っ赤な嘘で、「対象外だから、4カ月期限と表示していたのを5カ月に改ざんしても違法行為ではない」と言わんばかりだったが、「焼き菓子」に分類され、JAS法で期限の表示が義務づけられている。
 義務透けられていたアイスクリームの自主検査も05年、06年には実施していなかった可能性が強い。そして検査してみたら検体の7割から大腸菌が出てきた。さすがにそれはコソッと回収して処分したが、一部は消費者の口に入った恐れがある。
 なんというとんでもない食品メーカーなのか。これが北海道を代表する観光土産菓子の実態だった。
 ここまでやった責任者である石水社長が札幌商工会議所副会頭、札幌観光協会副会長などをやっていることは、余りにもそぐわない。ここまで問題が大きくなれば、当然各団体役員を退く手続きをしているはずと思ったら、なかなかそんな動きがない。
 8月17日の新聞によれば、札幌商工会議所副会頭職については進退伺いを出すい意向と伝えられる。辞めたらいいですか辞めなくてもいいですかという進退伺いなどでなく、さっさと辞表を提出してはどうか。さすがに札幌商工会議所はこれを受ければ、退任扱いとし、11月の改選でも石水氏を再選しない空気が強い。が 、各団体は石水氏にレッドカードを突きつけて、排除する見識を見せるべきだ。札幌市長選で支援する候補が落選しても、札幌商工会議所副会頭を辞任するには当たらない、とウヤムヤにしたのとは全く問題の重大さが違う。(08.10)

北洋銀行が石屋製菓を救済と言うが…
 北洋銀行が三井住友銀行との協調で石屋製菓に10億円の緊急融資支援をするという。しかし、素直には納得できない。
 石屋成果は「邪悪な企業」であり、石水勲社長らは「邪悪な経営者」であることはハッキリした。北洋銀が支援する場合、企業に関しては「善良な」体質に改革し、折角のブランドイメージを取り戻し、生産活動を再開して 従業員の雇用を継続、地域経済・観光振興に役立たせていくことは結構なことだ。
 だが、そのことで邪悪な経営者が生き残り、またぞろ同族経営を継続するのはおかしい。北洋銀が出す資金だって、一般預金者に低金利を押しつけた結果生まれるものだ。非常に公共性が高いものである。それを古くからの取り引き・付き合いだからと情実的に石水一族救済に回すのでは、銀行が邪悪経営者の片棒を担ぐことになる。
 本当はこの際石屋製菓という企業から石水一族を排除するのが望ましい。一族の所有する株式を妥当な金額で経済界などが買い取る。その上で支援救済するのが最もスッキリする。ただ、この手法で結果として銀行が企業を「乗っ取る」ことにならないよう、監視が必要だ。
 8月23日付で石水勲氏が社長を退任、新社長に北洋銀行常務の島田俊平氏が就任した。島田新社長の手で、近く石屋製菓を第3者割当増資などの手法により、石水一族の持株比率を低下させる、といったことをやるのかどうか。
  現状では石水一族が圧倒的大株主であり、再建が進んだ段階で、またぞろ石水一族が経営の実験に復帰することは簡単だ。それはおかしい。北洋銀も甘いのではないか。

「脇が甘い」といえば、高向会頭自身も…
 8月21火曜日、札幌商工会議所の正副会頭会議が開かれた。石水勲副会頭の辞意をどう扱うかも議題となった模様である。この件は高向巖会頭に一任ということで落ち着いた。
 会議後、高向会頭は取材に応えて「(石水氏は)脇が甘い」と強い口調で話した(これはポーズ臭い)。そうは言っても、前記のように、北洋銀の石屋製菓支援のやり方も石水一族復権の余地を十分残したもので、これまた対応が甘いと言える。
 安倍晋太郎政権で閣僚が次々と不祥事を起こし、総理の任命責任が追及されているが、札幌商工会議所で石水氏を副会頭に選任したのは誰あろう高向会頭自身である。「高向氏は任命責任を全く感じていないのではないか」という陰の声もある。副会頭候補として小西政秀北武グループ会長を推す声もあったが、高向氏は自分の“好みのタイプ”の石水氏らを抜擢した。結果的にこの人選は失敗だった。
 実は陰の声として「副会頭6人の中で何か問題を起こしそうな筆頭格は石水氏だ」という指摘があったのは事実。高向会頭の人選の失敗は、必ずしも単なる結果論ではない。しかし、高向氏は結構のほほんとして、自らの責任は全く感じていない様子だ。 (08.24)

■参院選で窮地の自民党 (07.07)
 参議院選挙は7月29日投票。マスコミ報道によれば、小川勝也(民主党)がトップを走り、それを伊達忠一(自民党)、多原香里(新党大地)が追っている。漏れ伝わるところによると、某新聞社の世論調査では有権者の支持はおおよそ小川40、伊達20、多原15の割合となっているそうでである。
 小川と伊達が大きく開いているのはむべなるかな。伊達の自民党は完全に逆風だ。国会を延長してまで数を頼んで社保庁改革関連法、年金時効特例法、国家公務員法改正などを成立させた。その会期延長のせいで参院選投票日が夏真っ盛りの7月29日となった。天気次第で国民は海へ山へと出かけてしまう。浮動票の投票率が下がる時期である。
 年金問題や政治資金疑惑で国民の不満は自民党に集中している。その上、伊達に関しては普段道民との接触がなく「これといった実績もないくせに、選挙の時だけ頼む、拝むか」という空気が強い。さらに伊達の息子の忠応が飲酒運転で道議を辞任。前回はススキノで酒の上の暴行沙汰で辞任と、前代未聞の2期連続辞任である。これで伊達にとってはトリプルパンチ。
 3番手につけている多原は民主党の推薦を得て当選すれば民主党に入る。となると民主党にとっては議席拡大のチャンス。小川から票の一部を多原に回す票割りをやれば2議席を獲得できる。
 自民党では「伊達忠一個人がどうこうではなく、自民党の議席が必要」と有権者に訴える作戦。ということは伊達個人のダメさを認めてしまっている、ということか。

■ベルックスが上場廃止というが… (07.06)
 ジャスダック上場のベルックスが創業者一族の設立した買収目的会社による公開買付(TOB)という手法により、上場を廃止する。6月22日から25日にかけ実施。
 最近、敵対的買収をされるのを避けるために自社買収(MOB)などで市場での株式流通を廃止する企業が増えている。ただ、道内企業の場合は買収防止目的というより、上場維持が苦しくなったのが本音のようである。上場維持自体のための証券取引所への賦課金などはさほど問題ではないが、厳しい情報開示を求められ、監査法人からのあれやこれやの指摘に対応するのが煩雑という問題がある。業績が下がり株価が下がれば株主から追及される。それより少数経営陣の迅速判断で会社を切り盛りしたい。そんな理由もある。
 ところで、ベルックスの97年ジャスダック上場時(店頭公開)の入札価格は加重平均で1株1555円、公募売出価格は1480円だった。それを1170円で買い戻す。その間多少の配当はしたが、誰が得して誰が損をした?

■解せないホーマックのインサイダー (07.05)
 本道でおなじみのホーマックがカーマ(刈谷市)、ダイキ(松山市) と提携して持ち株会社に移行する際、インサーダー情報をキャッチして株売買で不正利益を上げた、として山本英明(ノーステックテレコム社長)が逮捕された。山本容疑者は逮捕直前に社長を退任した。
 ノーステックテレコムは携帯電話販売会社で、道内25店首都圏2店のホーマック店内にも携帯コーナーを出店しており、ホーマックが19%の株主になっている。
 なんと、前社長の逮捕を受けてノーステックテレコムではホーマック内の店舗を閉鎖、従業員60人を解雇すると通知した。社長個人の不祥事の「社会的責任を取る」ためと、「ホーマックに迷惑をかけた」ことを理由に、この措置は全く解せない。従業員にしてみれば、なぜ自分たちが解雇されなければならないのか、という思いだろう。
 これについて、前社長が内部情報を漏らした立場にあるホーマックはどう考えているのかが見えない。結果的に同社が「変な会社」と提携し、携帯コーナーを出店させていた事実は消えない。

■注目の夕張市長選挙だが  (07.04)
 統一地方選挙、第2弾で話題、かつ注目なのは夕張市長選挙。 立候補したのは前夕張市議、元夕張市議、夕張出身で元札幌の会社社長、千葉県野田市の元市議、愛媛県・旧大西町の元助役、愛知県の元工場作業員、青森県五所川原市の会社役員(羽柴秀吉氏)の7人。ユニークと言えばユニークな顔ぶれも。地元市議経験者はまあ普通だが、本州の元市議、元助役、お金持ち・目立ちたがりの社長、元作業員などとは…。
 その中で、誰が当選するのか、やり直し選挙になるのかは4月22日の投票次第。
 ところでこの夕張市長選には、当初なにやら随分多数の立候補届出がありそうな雲行きだった。選挙管理委員かでは十分なスペースがある掲示板を用意したのだが、結局7人に絞られ、かなり無駄が出たという。貧しい町なのに、余計な経費がかかった。
 出るとか出ないとか空騒ぎした面々は、全く迷惑なヤツらだ。

■ロシアによる環境破壊こそ心配だ。 (06.12)
 ロシアは老朽化した原子力潜水艦を日本海に沈め、原子力発電廃棄物を川に流した国。そのロシアがサハリン2の天然ガス開発に「環境問題」で難くせをつけ、国営企業・ガスプロムが英蘭ダッチシェル、三菱商事、三井物産に対し開発会社である「サハリン・エナジー」株の過半数を寄越せと迫った。3社はこれに屈して、株式を有償で譲渡した形だが、主導権をロシアに取られた。事実上乗っ取りである。そんなロシアが今後環境に最大の配慮をしながら開発を継続するのだろうか。日本に本当にLNGを安定供給するのだろうか。ウクライナに対しては、ロシアの言うままの値上げに応じないからといって、元栓をひねって供給ストップした実績もある。
 ロシアという国及び企業、国民はこれまでも日本の領土や企業の乗っ取りを繰り返してきた。ユジノサハリンスクのホテルも北海道の企業が投資して改装したのを政府の権力をバックにしたロシア側に乗っ取られた。違法操業したとして日本漁船の船員が撃ち殺され、船は分捕られた。 本当にイヤな国である。「国民は気のいい人ばかりなのに、国としてはおかしい」とロシア国民を擁護する声もあるが、国家は国民の集合体であって、国家がおかしいのは国民がおかしいからだ。
 サハリンから環境汚染物質が流される危険性に、北海道はおろおろするだけでなく、対策を取らなければならない。

夕張市職員、どこかおかしくないか。 (06.12)
 07年4月から財政再建団体になる、つまり倒産した夕張市で、職員労組がアンケート調査したところ、今年度中の早期退職は市側の計画74人に対し実際には138人が希望しているそう。職員のうち数年以内に85%が退職を検討しているそうだ。そうなれば、現在262人いる政職職員は70人程度に激減し市役所が機能を果たせない、と危惧されている。
 新聞記事には早期退職検討組の中から「これでは再建でなく崩壊計画だ」というコメントが紹介されていた。
 何かおかしくないか。いままでダラケたことをやってきた職員が、いざ財政再建で給料も大幅に削られ、市民としての支出が増加する、それなら退職してよその町へ移住−考えているのはそんなことだろう。市役所に踏みとどまって町民と一緒に苦労しながら立て直すという気概はないのか。再建も崩壊も、中心になってやるのは市職員だ。やる気がないヤツらが「崩壊だ」とほざいている気がする。職員を冷遇すればこうなる、それでは困るだろう、と労働組合が市民に脅しをかけているのではないか。
(※註・その後、部長・次長全員など職員の半数の150人が今年度末で退職することが明らかになった。「やめる」というのは単なる“脅し”ではなかったことが判明。それにしても退職金がちゃんともらえるうちにさっさとやめる“逃げ得”に対する市民の批判が強まっている。)

ホテル・旅館に「☆☆☆」マーク? (06.09)
 フランスのタイヤメーカー・ミシュランが行っているような星の数による格付けを道内の宿泊施設にも導入しよう、という話が見送りになった。北海道の観光振興にプラスになる、と高橋はるみ知事も期待していた。
 とは言っても、この種の格付けはよほど権威があるところが行うのでなければ施設側にも一般市民にも納得されない。これを北海道観光連盟を中心とした「道内宿泊施設の格付け制度導入に関する懇談会」(それにしても長ったらしい名称)がやるという話だったから、最初から眉にツバをつける向きも少なくなかった。
 委員はホテルや旅館など業界8団体の代表。観光施設や関連業界が会員となっている団体が自分たちの会員を「☆」とか「☆☆☆」などと決められるわけがないのだ。☆の多いところはいいが、少ないところが果たして素直に受け入れられるのか、面白くないので団体をを脱退、なんてことを心配したら、ちゃんとした客観的評価を公表できるわけがない。もちろん質の違うホテルや旅館を同列にして、どこからも文句がつかない評価が本当にできるのか、の問題もある。
 そういうことは誰とも利害関係がない機関が行うのでなければ受け入れられない。行政やそれに近い団体がやっても「官による民の差別」と言われるのが関の山なのだ。  実際、論議の中で格付けは自主参加にしたらどうか、などの意見もでた。しかし、力があるところだけが金を払って参加する、参加しないところもあるのでは公平なものは期待できっこない。
 関係者は「何らかの評価方法導入は必要」としているが、まあ、この話はお流れだろう。

粉飾決算がばれたユニコ・コーポレーション (06.08)
 ジャスダックに上場するユニコ・コーポレーションが架空売上などで利益を水増しする粉飾決算をしていたことがバレた。過去複数年にわたるもので、会計監査法人の指摘で「不適正な会計処理を行っていたことが判明した」と同社発表。この表現、非常にひっかかる。「判明」ではなくて、自分たちが不正を行っていたことが「露見」したのであって、平たく言えば「バレた」のだ。 
 同社の株は途端に暴落して500円を割ったが、実は4月に三井住友銀行に10万株、新立航空機に5万5000株を1株890円で譲渡していた。自社の経営内容がいいようにごまかして高く株を売りつけていたのだ。
 筆者は以前からユニコ経営者の体質を信用していない。自分が一旦出資した会社の先行きが厳しくなったら、途端に「金を返せ」と迫った件を複数知っているからだ。当然ながら、三井住友銀行、新立航空機は損害賠償を請求するだろう。その前に素直に返済した方がいいですよ。ね、山田さん。

牛乳消費拡大キャンペーンはいいけれど… (06.06)
 トリノオリンピック代表チームで活躍したカーリングの小野寺歩、林弓枝さんを「ミルクランド北海道応援団員」に起用した牛乳キャンペーンが始まった。「北海道の酪農を応援し、もっともっと牛乳を飲もう!ということでプロジェクトをはじめることにした」のだそうである。  新聞では2ページの見開きを使って大々的な広告を掲載して一いる。
  これで思い出してしまうのが、かつてのバカ騒ぎ的牛乳販促キャンペーンだ。全くバブル的発想で、お姉さんたちをススキに繰りだし、ウイスキーを牛乳割りにした「アメリカン」?を推奨するなどしていた。結果、ほとんど効果はなく、ほくほくしたのは広告代理店とメディアだけ。莫大な費用を負担したのは、生産農家だ。
 牛乳が余り廃棄処分する異常状態で、何とか北海道の牛乳の消費拡大を図りたい。しかし、オーバー過ぎる空騒ぎ的キャンペーンは、かえって生産者のクビを占める結果になるのではないか、と懸念する次第である。

■介護行政に札幌市のやる気なさ (06.04)
 札幌市手稲区のグループホーム「いちわ」が3月31日付で道から居宅サービス事業者の指定取消処分を受け、営業出来なっくなった。
 入所者に対する虐待、架空の領収書による立替金請求、適正な手続きを踏まない介護計画書に入所者や家族のものでない判を勝手に押印、入所者の部屋が勝手に変更される、道職員が立ち入り調査しても誰がどの部屋にいるのか分からないほどのずさんさ、入所時にカーテンやじゅうたんを斡旋して代金を取り、退所時には返さず次の入所社に売りつけている疑惑、衣類がなくなり、別の人が着ている、さらには電動ベッドさえ行方不明、等々デタラメの運営はひどいもの。道による指定取消の行政処分は当然だ。
 ところで、その処分がなぜ3月末だったのか。実は4月からは監督官庁が道から札幌市に変更になった。札幌市としては面倒なものは抱え込みたくないので、期限前に道に処理して欲しかったのが本音。そこで「いちわ」問題を意識的にリークした形跡がある。
 札幌市は特養「ルミエール」の虐待問題で改善命令は出したが、その後のフォローがおざなりで一向に改善されていない。それどころが札幌市政与党・民主党の市議が問題提起して活動する団体に「程々にしろ」と圧力をかける動きまで。つまり、札幌市はやる気がないのだ。そこで「いちわ」問題でも逃げの手を打った。

■軋む地崎工業・天下り社長と家の子郎党 (06.03)
  旧・地崎工業の道内資産処分に目途がついたと伝えられる。石狩市のゴルフ場「スコットヒルズ」を徳島県の企業に売却、札幌市の本社ビルは東京の不動産投資ファンドに売却する、などだ。
 ところで本社ビルだが、ファンドに売却の上、地崎工業がテナントとして入居を続ける予定だった。ファンド側は地崎側の提示した家賃を快く受け入れた。これを受け、地崎側はビル内のレイアウト変更などを計画した。
 ところが、その話はお流れ。道開発局天下りの社長が独走して中心部のビルへの移転を決めてしまったのだ。多少家賃が安いのが理由。結果、地崎工業が地崎ビルから退去となる。これには地崎工業役員や社員はガッカリ。さらに地崎ビルのロビーに置かれている地崎宇三郎氏の銅像を「資材置き場にでも置いておけ」との社長の指示。家の子郎党らは「あまりではないか」と怒りを隠さない。宇三郎氏の夫人・京子さんも「そんなことなら、銅像を溶かしてしまった方がいい」と発言したという。
 社長1人対、その他全員の感情的対立。「天下り社長は会社の歴史、経緯、社員感情にお構いなし。そんなことでは士気が上がらない」との声がしきりだ。

■ずるいぞ! 札幌市OB天下り先確保作戦 (06.02)
 札幌市が06年度から指定管理者制度を導入、市の公共施設の管理が民間事業者にも開放される。区民センター、コミュニティセンター、地区センターといった施設も、応募を受け付け、審査の上で管理者が決定された。といっても、全ての施設は軒並み施設名を頭につけた○○運営員会が従来通り管理に当たることになった。まあ、これは出来レース、ハッキリ言えば不正、談合だ。
 選定委員会は7人の委員で構成、一人あたり1000点の持ち点で、項目ごとに細かく採点、7000点満点となるが、たいていの場合5000点前後で決まっている。 審査過程で月寒東地区センター(豊平区)の場合、困った問題が発生した。民間団体が提出した書類を審査したところ、あまりにも点数が高かったのだ。専門家集団が応募したためだ。
  しかし、裏では既存運営員会を決めることになっている。そこで、豊平区市民部長と思われる委員が既存運営委員会にとんでもない高得点をつけた。逆に新団体から点を減らして調整した疑いも。結果、サービス内容、運営管理費節減で勝る新団体は落選。
  これら施設の館長は軒並み札幌市OB。つまり、天下り先を確保しているのだ。さて、問題の市民部長と見られる人物、まさか今度は自分がそんな施設へ天下りすることはないのだろうね。

■さっぽろ雪まつり、道新は高見の立場? (06.01)
 北海道新聞1月13日の社説。「雪まつり 新会場を盛り上げたい」…。
 今年の雪まつりは、「真駒内会場」に代わって東区の「さとらんど」が第2会場になる。中心部から遠い、シャトルバスは地下鉄から時間がかかる、企業スポンサーがつかない、市民雪像は6基止まりとなった、など不安要素が多いことを指摘。
 しかし、「市民がいってみたいと思う魅力の発信、多少不便でも満足できる内容が必要。専門家の知恵も借りるなどして工夫してほしい。これまでの雪まつりの弱点は自衛隊に頼り切って手づくり感がなくなったこと。新しいまつりの想像にかかわるような感覚を多くの参加者に与えるイベントであってほしい」とか書いてある。
 まあ、他人事として高見の見物、ちょっと口を出してみようか、という北海道新聞の姿勢がありありだ。「専門家の意見…」など、この期に及んでどうしろというのか 。
 ところで、雪まつり実行委員会の中核は札幌市と札幌観光協会。道新の菊地育夫社長はその札幌観光協会副会長。もっと早く企画段階から意見を出すべき立場にある。しかし、本人は観光協会の会議にはほとんど出席せず、無責任、態度の悪さが関係者の間には知られるところ。さっぽろ雪まつりは道新にとって他人事ではないはずなのである。それに引き替え、何だ、この社説は。

■高向巖札商会頭はいつもニコニコ? (05.12)
 最近高向巖札幌商工会議所会頭が上田文雄札幌市長と顔を合わせた場面をピックアップすると、11月4日、札幌市と中国・瀋陽市の姉妹提携25周年で現地を訪問、記念式典や経済商談会を行った、12月9日、近く開学する札幌私立大学に終業体験や産学共同研究支援表明で市長訪問、といったイベント。友好的雰囲気の中、両首脳がにこやかに歓談するといった場面だ。
 ところが両者の間には厳しく対立する問題が少なくない。自民党サイドの商工会議所と民主党系市長の間には根本的な政治スタンスの違いがある。いま市がやろうとしている建物の高さ制限に、経済界は猛反発。マンションを建てるにも戸数が減る、たとえば100戸販売予定だったのが80戸になれば根本的に採算が成り立たないのだ。土地利用が制限されれば不動産価値が下がり、融資を受けるにも担保価値が下がる。もっと時間をかけて、たとえば地下鉄駅周辺には人口が張り付くような施策を考えたらどうか、というのが商工会議所側の主張。
 だが、こういう問題で高向会頭が上田市長に直接厳しい物言いをつけるということをしていない。いつもニコニコおじさんをやっているだけ、のように見えるのだが…。

■村橋久成像建立に秘められた事件 (05.10)
 知事公館前に村橋久成の胸像が完成、9月23日に除幕式が行われた。ところが、その後この胸像建立をめぐる雑音が聞こえてきた。
 村橋は幕末に薩摩藩からロンドンに留学、函館戦争では政府軍軍監として活躍した。後に北海道開拓使に出仕、北海道開拓に多大な功績を残した。その一つに麦酒製造所があり、これが現在のサッポロビールの始まりとなった。
 有志らが胸像建立期成会を結成、寄付金を募って知事公館敷地内に完成させたものだ。
 期成会では当初、サッポロビール構内の博物館近くにでも立てたいと考えていたが、サッポロビール側が寄付金負担を警戒してか断った。それはともかくも、実はこの胸像、除幕式直前に何者かによって傷つけられる事件があったことがひた隠しにされている。関係者が像を点検後、覆いをかけ除幕式を待つ態勢を整えた。知事公館閉園時間に引き揚げ、翌日点検すると台座のプレート部分に何か固い物をたたきつけられのだ。
  覆いの上からやっており、いうことは、犯人は公開前から像の構造を知っている人物と推定される。期成会内部で内輪もめがあったともつたえられ、疑われている人物もいるというのだが、定かなことは分からない。

■札幌市発注建設工事の談合情報 (05.09)
 8月17日入札予定だった創成川アンダーパスの6つの工区建設工事について談合情報があり、札幌市は入札をストップして調査したものの確たる不正は認められなかった。改めて8月24日に入札を実施、結局事前情報どおりの業者が落札した。
 落札したのは@南五条線−南三条線間=熊谷、A南三条線−南二条線間=戸田建設、B南二条線−南一条線間=岩田建設、C南一条線−大通南線間=清水建設、D大通南線−国道一二号線間=大成建設、E国道一二号線−北三条線間=伊藤組土建、をメーンとするグループ。
 ここで落札出来なかった前田、飛島、鉄建、鹿島、大林の5JBが、次の大型案件である駅前通地下歩道建設工事を受注するのが基本。そのままでは余りにも露骨なので、多少の変化をつけると見られる。

■札幌市のNPO法人への発注に「?」 (05.08)
 NPO法人・北海道NPOサポートセンター(杉山さかえ理事長)という団体がある。上田文雄氏が市長になるまでは同氏が理事長だった。NPOの認可申請支援、NPO同士の連携・協力・情報交換、NPO会計サポートなどが目的。
 なぜか札幌市からそのサポートセンターに本来の目的とは遠い介護保険・福祉サービス事業者のデータベース作成が発注されている。始まったのは平成11年で、契約金額は1050万円。当時は桂信雄市長時代だが、上田市長になってからも金額は漸減しながらも毎年契約が続いている。平成16年度は619万5000円だが、別途データベース更新事業として211万円が追加された。
 データベースは最初は費用がかかっても、1度構築すると以後の定期的更新はそれほど手間ヒマはかからない。毎年の契約に加えて、さらに更新業務に別枠予算とはよく分からない。現市長が深く関わる団体への継続的な業務委託はすっきりしない。

■不審な中央財界人らの高橋はるみ知事評価 (05.07)
 松田昌士JR東日本会長、内山斉読売新聞グループ本社社長、蛇川忠暉日野自動車会長ら道産子で強力な北海道応援団でもある中央の財界人グループと、高橋はるみ道知事との間に隙間風がある。先ごろ高橋知事が松田氏を訪ねた時も、要件は北海道新幹線の新函館まで着工の挨拶程度で、松田氏は「そんな程度の話か」という素っ気ない反応だった。
 知事はある疑惑かまびすしい方面からの政治献金を受けているとされ、それが財界人らにとって大いに気に入らないのだ。そこで水面下、中央から有力な知事候補を擁立するシナリオもチラチラしている。日本経団連などが本気で応援し、道内関連先に号令をかけるような仕掛けが描かれているというのだ。
「知事は問題献金を返却すべし。何ならその資金を立て替えてもいい。その上で真摯に襟を正してはどうか」というアプローチも極秘裏に仕掛けられている。

■大手術が迫られるコンサドーレ (05.06)
 役員のハレンチ事件などもあったが、コンサドーレ札幌が調子を上げ、少し元気になっている。  
  しかし、企業経営としては北海道フットボールクラブ(HFC)には大手術が必要だ。04年12月決算では3億5,600万円の純利益を出した、といっても今期の見込みではそれが70万円に落ち込む。累積赤字が26億5,000万円あり、資本金約25億5,600万円のHFCはまだ9,800万円の債務超過。いつ潰れても不思議ではない状態だ。これから営業収益で債務超過を解消するのは非現実的で、関係者の間から「一度減資して新たな資本注入をする」という話が漏れ伝わる。
  HFCの大株主はコンサドーレ札幌サポーターズ持株会で、出資額5億5,000万円強、21.55%の出資比率。8、070人の会員が会わせて11,009口(1口=5万円)を出資した結晶だ。しかし、折角の出資もただの紙切れになる可能性が強い。また新たに出資しなければチケット予約などの会員手特典が受けられないのでは気の毒だ。
 減資はやむを得ないかもしれないが「持株会幹部の一部がコンサドーレに入り込み、無駄な経費を使っている」という批判の声があることはいかがなものか。

■おかしな上田市長の第3セクター人事  (05.05)
 魚住昌也札幌都市開発公社社長(地下街公社)が6月に退任予定。これで元札幌市助役から第3セクターに天下った社長は一掃される。上田文雄市長の「出資団体改革」路線による人事だ。魚住氏の後任には野川晃一氏の就任が内定。しかし、この人も政策投資銀行OBの渡り歩き組。札幌市OBの場合は定年制や、報酬の上限、賞与・退職金禁止などを要綱で定めているが、政策投資銀行にはそんな規定がないので「札幌市からの天下りよりもっと好き放題出来る」という声もある。
 一方、同じく札幌市の出資団体である海道観光事業(TV塔観光)の鈴木俊雄社長も札幌市OB。要綱で定める定年をオーバーしながら、再任が決まった。鈴木氏は、桂信雄市長時代には市役所内で冷遇され、前回市長選では上田支持に回った。そのため、現在は札幌市に対して影の発言力があることは事実。
  札幌市は出資団体のうち、25%以上出資を指定団体、それ以下を非指定団体とし、要綱は指定団体が対象だが、非指定団体も趣旨を尊重することとされている。テレビ塔観光は非指定団体。だからといって、元助役らを整理しながら、一方では自分に都合がいいからといって、元局長の鈴木氏はお構いなし。そんな市長はダメだ。

■ヘンな第3セクター人事とアホな新聞記事  (05.04)
 −−民事再生計画で再建中の第三セクター石狩開発(石狩)の西川昌利会長が6月の株主総会で退任する。後任には道の麻田信二副知事が兼任する案が浮上している。西川氏は再建初年度となる03年5月に代表権のある会長(非常勤)に就任。最大株主である道とのパイプ役を果たしてきた。後任について宮脇憲二社長は「引き続き道関係者の就任を希望しているが、道の麻田信二副知事が兼任する案が浮上している。−−
 以上は新聞記事の要約。これを呼んで分かることは、石狩開発会長は道副知事が兼任すればいいことで、専任(といっても非常勤)会長は必要がなかったこと、宮脇社長は他のパイプ役がいなければ、自分自身では道など関係先と協議、交渉、調整が心細い、ということだね。
 この某H新聞、そのように書いていながら、実はそこに全く気がついていない。いささか視点に欠ける記事である。

■八窓庵倒壊、市役所担当者は責任を明確に   (05.03)
 中島公園・日本庭園の中にある国指定重要文化財の茶庵・八窓庵が雪の重みで保護覆いごと倒壊してしまった。 この茶庵はかつては舎那院忘筌といわれ、大名茶人小堀遠江守(遠州)が1600年代にその居城であった小室城内に建てたと伝えられる。道内の歴史建造物などとは歴史の重みが違うシロモノだ。
  大正8年に札幌の資産家が買い受け北4西12に移築、昭和11年に国宝に指定、昭和25年に国指定重要文化財に。その後所有者が現在地下街オーロラタウンで喫茶店などを営む長沢家に移った。札幌市に寄贈したのは昭和46年。 旧所有者は一般公開しながらも、火の気厳禁、自家の子供も近寄らせず、冬季間は覆いをして守った。
  それが札幌市の管理になると、ちょっと大雪だったからといって、このていたらく。日本庭園を冬季間閉鎖するのはいいが、担当者がちゃんと見まわりをしていなかった。旧所有者がしていたように、時々雪下ろしをやれば、こんな事故は起きなかった。
 中島公園に移す時は、解体すれば土壁の復元が至難なため、そのま土台を掘り起こして、夜中に市電の架線を外して台車で運んだという。修復には日本建築専門家の最高技術が必要で、費用は数千万円。市役所担当者はきちんと責任取るんだろうね。

■遺伝子組み換え作物、選択権は消費者に  (05.02)
 道議会に「遺伝子組み換え(GM)作物の栽培による交雑防止条例」案上程。GM作物の商用栽培は知事の許可制とし、無許可栽培には懲役または罰金刑とする。試験栽培の場合は、届出を義務づけ、無届けなら罰金といった内容だ。
 長沼町の農家がGM大豆の栽培を計画したことから、道条例制定への動きとなった。
 話変わって、農林水産省は花粉症緩和や肥満防止効果があるGMコメの開発を今後10年で集中的に行う方針。完成すればユメのようなコメになる。
 GMはある生物がもつ有用な遺伝子を他の生物にDNAに組み込み新たな性質を加える技術。つくり出したものが有害である可能性もあり、農作物は野外栽培の前に安全性の確認が義務づけられている。
 画期的な新技術、新製品とされたものが長い年月の末、害悪ありとされたものは数多い。難しい問題である。選択権は消費者にある。知らないで口にすることだけはまっぴらご免である。
■倒産セクターのいい加減さ
  (05.01)
 企業倒産にもいろいろな形があるが、民事再生法適用というのは、借金を棒引きしてもらって出直すのだから楽なものだ。ある衣料チェーンの経営者は、テレビには泣き顔で登場したが、陰では「これで身軽になった」と笑っていた。
「お役所日の丸」会社にはもっとおかしな実態がある。第3セクターの石狩開発は03年に道民の税金を100億円も投入して、民事再生中だが、社長には北洋銀行から、会長には道庁からの天下りが入っている。これまた借金切り捨てが寄与して、表面上は黒字経営に。当たり前のことだ。
 それで天下りの会長さんはというと、週に1度出社する程度で、月給30万円。道庁幹部の天下りとしては横並びの待遇なのだろうが、こんなつぶれた会社は本来びた一文無駄な金を使っている場合ではないはず。何とかに追銭で、今度は道、札幌市、石狩市が金を出して増資。いい加減なものだ。
  新年挨拶を交わした相手ではあるが、なんとも納得出来ない。

■パブリックセンター倒産  (04.12)
 公告代理業道内大手のパブリックセンターが民事再生法適用を申請、倒産した。02年2月に倒産したそうご電気が大きくのしかかったというが、パブリックはそうご電気からは倒産直前他の債権者を出し抜いて不動産を担保に取っており、それらはすでに換金処分出来ているので、実質損害は7000万円程度。問題は、そうご電気倒産以後も漫然とした経営姿勢を続けたことだった。
 パブリックのメーンバンクは北洋銀行だったはずだが、北洋は急激に引き上げ作戦を展開、北海道銀行の取引比率が上がった。その北洋の武井正直会長はパブリック・戸沼礼二社長の相談相手になってきたが、現在の高向巌頭取がパブリックに冷たいと言われる。「戸沼さんは武井さんに相談すれば、産業再生など倒産ではない方法があったかもしれない」という声も。
 パブリックの負債総額80億円のうち、銀行以外の約40億円は中小零細企業がほとんど。そこへの痛みが非常に大きい。高向氏は札幌商工会議所会頭として「中小企業の支援」を謳っているが、年商100億円を超えるパブリックは中小企業とは言えなくても、その倒産で誰が痛みを受けるのかが問題だ

■役人上がりがお年寄りを食い物に  (04.11)
 社団法人・札幌市シルバー人材センターという団体名、たいていの人が知っているはずだ。「高齢者の就業援助、生きがい充実、社会参加を図り、高齢者の能力を生かした活力ある地域づくりに寄与」するのが目的なんだそうである。なかなか結構な趣旨。  
  職員数は非常勤を含め33人。しかし、常勤職員29人中、札幌市役所OBが13人もおり、占有率は45%にもなる。同センターの事務局職員就業規則では、職員採用は人物考査または選考試験により行うそされているそうだ。市役所OBには立派な人物が多い(本当かな?)ので、その中から職員を採用しているのだろう。まあ、つまり「コネ」である。
 ある市議会議員は「多くの若い人たちが就職先がなく将来の希望を見いだせないで悩んでいる中、市民の税金が投入されている財団職員で市役所OB占有率が45%とは聞いて驚く。常識と良識が問われる」と指摘しているのだが、当局の反応は極めて鈍い。結局役人上がりがお年寄りを食い物にしているのだ。

■地労委委員は甘い汁のたらい回し?  (04.10)
 この11月1日が北海道地方労働委員会委員の改選期。連合北海道は労働側委員の候補の1人にUIゼンセン同盟道支部長を推薦した。これに対し同じ連合北海道傘下の札幌地域労組が反対、知事に同支部長を委員に任命しないよう申し入れた。理由は、札幌地域労組支部がある職場に、それを切り崩す第2組合が出来、第2組合をゼンセン同盟が支援して不当労働行為を行ったこと。この問題では地労委が使用者側に不当労働行為を止めるよう命令を出した。地労委命令を守らない使用者を支援するゼンセン幹部が地労委委員になるのはおかしい、という分かりやすいものだ。
 連合は問題の不当労働行為を遺憾と認め、ゼンセンもこれを確認する文書を出した。一応謝った形だが、地労委委員を辞退する姿勢はない。「委員には年間300万円を超える報酬があり、有力労組幹部の間で利権をたらい回ししてぬくぬくとしているのが実態。大会社の労組幹部の中には合計年収が2000万円を超える向きもいる。そんなのが労働者側委員で、ああでもない、こうでもないと言っているのが実態だ」と憤慨する声も。

■横行する介護儲けビジネス
 (04.09)
 特別養護老人ホーム、ケアハウス、グループホームなど介護ビジネスは儲かるもののようだ。それが正常なビジネスの範囲内で運営されているのならいいが、規定の介護報酬を受けながら、人件費を極端に抑えたり、経費を浮かせるなど不当な金儲けをしているヤカラが多い。その結果、従業員の質が落ちて老人を虐待したり、手抜きしたりも起きている。元凶は経営姿勢にある。
 最近デタラメが目に余り、札幌市からお目玉を食らった上、内紛で理事長が交代した施設など、創始者は億単位の借金で福祉法人に寄付した形。ではどうやって元を取り借金を返すのかはなはだ疑問。理事長を追われても、実は既に元を取り返しているのではないか、という観測さえある。「例の手品」ではないかと言われ、その手品の指南役が上田文雄札幌市長の後援会幹部だったり…。
 ミミッチイ話では、食費に使ったふりをして諸々の経費を浮かせるためには、食品スーパーで一緒くたにして買い物をし、食料品代として計上する手口も横行。行政側もいちいち本当に全部が食料品かどうかチェック出来ない盲点を突ているのだ。
 大手有名グループの施設は優良模範として厚生労働省から表彰されるはずだったが、労働団体からの問題指摘でウヤムヤになってしまった。そこなどは、実に近代的手法で「介護儲けビジネス」をやっている。

■札幌市立大学学長問題の真相
 (04.08)
 2006年開学予定の札幌市立大学学長に内定していた川崎和夫名古屋市立大大学院教授が就任を辞退した。
  実は札幌市側は川崎氏の言動・主張に頭を痛めていた。「大学の開かれた運営から行くと、学長は本来学内選挙で選ぶ。ただ開学時は行政側も入り初代学長を決めるが、次の任期では選挙が基本だ。しかし川崎氏は人事権を要求、その世界の常識から行けば本末転倒の主張だ。さらに教員選考には英語による講義能力を条件とする主張など、関係者を困惑させたの。開設準備委員会では、看護関係者を目の前にして「看護部門は最も立ち後れた分野だ」などの侮辱発言。
  川崎氏が学長を辞退して、実は関係者はホッとしている。辞退するようし向けたのが真相だ。
  この過程の中で、川崎氏の人格を云々する声も聞かれた。「大学開設準備委員会出席のため来札するときは京王プラザホテルのローヤルスイート(一泊ン十万円)を要求、コーヒーがまずい、料理が注文したのと違うなどで「総支配人を呼べ」という騒ぎ。送り迎えの車は大型高級車を要求した 」などだが、これは事実ではない。ただ、そんな話が出るほど事態はこじれていた、ということだ。
 辞退撤回を求め、札幌市側幹部が名古屋に川崎氏を訪ね、最後は市長登場となったが、これは名誉ある撤退を形づけるポーズだったようだ。

■佐々木正丞道経協会長のお仕事
 (04.07)
 佐々木正丞氏(北ガス会長)が、北海道経営者協会会長就任の記者会見、インタビューなどで「北海道観光の活性化」を訴えている。お説はその通りなのだが、経営者協会代表の立場であまりそこを強調すると、いささかお門違い、門外のことにただ口だけ出す、の印象を受ける。天然ガスパイプライン、道州制構想などにも触れているが、新会長としては雇用の創出などをテーマとしてはいかがか。
 ある経済人は「事務局が気が利かないことも一因だろう。道商連、道経連などだったら、マスコミ取材にはこんな話題で対応したらいかがか、などペーパーを用意するが、道経協にはそんなことがないようだ」と指摘。
 それにしても、道経協としてこうする、と抱負が真っ先に出ないということは道経協には今やそれほど役割がないと言うことではないか。いまさら、労働問題、労使関係などと言ってもね。だったら、やはりこの団体は道経連などと統合整理するべきではないのか。それが佐々木会長の一番の仕事のように見える。武井正直前会長(北洋銀行会長)の目の黒いうちはポストを廃止するような統合は無理、というのが陰の声だったが、今度は佐々木会長の目の黒いうちは…になってしまっては困ります。
■経済団体トップ交代 (04.06)
  道内主要経済団体トップが様変わり。北海道商工会議所連合会=西尾長光(セイコーマート社長・死去)→高向巌(北洋銀行頭取)、北海道経済連合会=泉誠二(北海道電力相談役)→南山英雄(北海道電力会長)、北海道経営者協会=武井正直(北洋銀行会長)→佐々木正丞(北海道ガス会長)の各氏のバトンタッチである。北海道経済同友会代表幹事は村井将一(北海道電力顧問)氏が退任して、大森義弘(JR北海道相談役)・吉野次郎(札幌銀行頭取)が続投している。
 この裏事情としては、西尾氏が死去して札幌商工会議所・道商連会頭の新人事がやむを得なくなり、後継候補としては高向氏が規定路線だった。となると、同じ北洋銀の武井氏が道経協会長を続けたままで、北洋銀が2つの経済団体トップを独占するのはいかがかという声があり、武井氏が心ならずも?かなり唐突に佐々木氏へのバトンタッチを打ち出した。また、3団体でトップ交代なら、経済同友会も大森氏から坂本真一JR北海道会長に代わるのではないか、との推測もあるが、今のところそんな動きはない。
 ところで、中央も経済団体は既に日経連と経団連が合併して日本経団連になっている。ならば本道の経済団体も日経連系の道経協と経団連系の道経連が合併してもいいのではないか、の声も強い。しかし「新幹線など予算陳情の時、地元の関係者が数多く顔を揃えていないと迫力がない、知事だって北海道は1人だが、東北は6人が揃うのに比べ見劣りする」と、「見た目の数が大事だ」という声も依然強い。
 とか何とか言って、やっぱり「お山の大将」でいたいのではないか、と揶揄する声も。道経協人事の件で武井北洋銀会長が佐々木北ガス会長を訪ねた時、北ガス側は「高向北洋銀頭取が札商会頭を引き受けられないので、その場合次の候補として有力な佐々木氏には道経協会長をお願いするのはまずいので、撤回する」という話ではないか、と期待したという裏話も伝わっている。

■無冠の2人の復権論に明暗 (04.05)
 5月24日札幌観光協会の総会で藤田恒郎前道銀頭取が新会長に選ばれた。藤田氏は旧・大蔵省時代海外経験も豊富で、ワインに付いても造詣が深い教養人でもある。新会長の抱負として「観光の発展は北海道経済の発展に大変重要。札幌をスイスのような国際的な観光地にしたい」と新しい観光のあり方を模索する方針を語った。
 ところでこの藤田氏、道銀頭取として思い切った不良債権処理に腕を振るい、しかしながら3年前に頭取を退任した。しかも取締役でもなく、相談役や顧問でもない、全く銀行の何でもない無冠の立場となった。といっても道銀本店内に専用室があり、かなり経営を取り仕切って院政を布いてきたのが実態。  道銀は今年3月期決算で過去最高の108億円の最終利益を計上、これには過去の藤田氏の手腕が寄与していることは確か。ならば藤田氏を最高顧問にでも遇してはいかがか、という声が高まっている。
 全く別な話。道内の某大手経済団体の前専務理事が、この人も完全に退任して無冠の人なのだが、なぜか本部ビル内に立派な部屋を設けて何となくほとんど毎日顔を出している。この人物の場合毀誉褒貶というより、「毀」と「貶」がクローズアップされ、復権の呼び声は全くないのだが…。

■日本人による日本人のための正論は? (04.04)
 イラクで人質になった5人の内2人が道民。なんとか開放されて良かったのだが、開放の見通しが濃くなるころから、人質被害者への批判が強まった。自己責任論である。「吹雪の冬山に、周囲の制止を無視して登った結果、遭難した。家族が救助隊に何とかしろと強硬に要求しても、救助隊だって危険で行けない状態なのに、本人達は勝手に行って、案の定遭難した。それを救助隊が悪い、何をしていると言っても…。救助費用は本人と家族の負担が当然」というわけ。
 しかし、理由はどうあれ日本国民を救出するのが政府の責務。結果オーライとなった。
  危険な状態をつくったのは政府だ、自衛隊派遣が要因となった、とも言える。その自衛隊派遣が国際世論に影響されたことは否定出来ない。米国との同盟関係上も、日本の国益にかなう、とする論法。 ちょっと時間がたつと、自己責任論に反論が出てきた。まずそれを伝えたのは海外メディア。すると今度は日本でもそれに便乗。外国でも日本の“自己責任論”を批判しているではないか、得たりやおう!! こちらも国際世論便乗である。
  日本人の日本人による、日本人のための正論は何なんだ??

■経済団体再編の好機到来だが…
 
(04.03)
 道内主要経済団体のトップ人事が一斉に動き出した。 長居するのではないかと見られた武井正直北海道経営者協会会長があっさりと退任表明、後任に佐々木正丞北海道ガス会長の就任が固まった。武井氏は独特のというか、はっきり言えばアクの強いパワーを持つ存在だけに、退任の鈴をつけられる人がおらず、一方には北洋銀行による経済団体トップ重複を批判する陰の声が高まっていた。
 武井氏引退論をかなり明確に示唆していた西尾長光道商連会頭が死去、後任には高向巌北洋銀行頭取が既定路線とあって、さすがに武井氏も格好よく道経協会長を退くことにしたようだ。
一方、泉誠二会長が北海道電力会長を南山英雄氏にバトンタッチ、北海道経済連合会会長も南山氏と交代する意向。
 なにやら、有力企業で経済団体ポストをキャッチボールする格好だが、背景には経済界の人材不足が。人がいないなら団体を減らしてはどうか、と思う。道経協と道経連は、武井道経協会長の目が黒いうちは合併統合は無理と見られたが、武井氏が退任したのならチャンス到来だ。
 すでに上部団体の日経連と経団連が統合済みで、地方組織も右へならえ、が世の流れなのだ。

■特養施設で札幌市の不可解
 
(04.02)
04年度中に札幌市内に2カ所の特別養護老人ホームの新設が行われるはずだった。こうした施設の設置には札幌市と国の補助金が交付されるが、予算枠の問題もあって、申請案件の全てが認められるわけではなく、事前に札幌市が審査して、適当と認めたものについて、国に補助金対象として推薦する事前手続きがある。 その事前手続きで西区内に新設が固まったのが「ノマド福祉会」という社会福祉法人の計画だった。
 ところが、「ノマド」はかつて小樽市に施設を建設した際に、工事費を水増しして補助金を不正受給した事件があり、関係者が逮捕され、有罪判決を受けた。まだ執行猶予期間が終了しない段階での、新たな施設の申請だった。ただし、不正にかかわった関係者はすでに同福祉会とは無関係になっており、その後の運営改善状況は適正で、道庁も小樽市内での別な新たな施設設置を認めている。 従って、札幌市が西区内に「ノマド」の新規特養施設を認めても、特段の問題はないと思われた。
  ところが、別な計画を申請していた人物が札幌市に「ノマド」に新施設設置を認めるのは問題だ、と申し入れ、国に行政不服審査請求を出す構えを見せた。
  これに対する、札幌市の対応は、急きょ「ノマド」を外して、別な1件の新設計画のみを国に上程する、というもの。客観的にも適正と思われる自分たちの決定をさっさと引っ込めてしまった模様だ。
■札幌市新年互礼会は上田市長の作戦大成?
 (04.01)
 今年の札幌市主催新年互礼会で「君が代」斉唱が取りやめとなった。「簡素化」が理由とも伝えられ、「簡素化が理由だとしたら、君が代を歌わないのがどれほどの簡素化だというのだ」と自民党関係者らは猛反発、結局国会議員から市議会議員まで、自民党議員は出席を取りやめた。  町村信孝代議市が上田文雄市長の真意を問いただしたところ、市側は「市長の政治信条に基づく決断」と説明した。その方が、簡素化という屁理屈よりは、理由としてはスッキリしているかもしれない。
 一方、自衛隊のイラク派遣には上田市長が反対表明、これに反発した自衛隊が「さっぽろ雪まつり」への協力を、場合によってはボイコットすると示唆、騒動となった。  その後、上田市長はイラク派遣に関して「無事任務を果たして」との日和見談話を出し、自衛隊側の戦略に押し切られた感。ところが同時に民主党北海道が「自衛隊の雪まつり協力をめぐる発言は言論への圧力だ」と反発、何やら市長と民主党で役割分担した感じ。
 ともかく、新年互礼会には自民党議員が欠席、経済人などの出席も少な目で、会場は例年とは違う雰囲気に包まれた。この新年会は、議員セイセイ方が集まった各界の面々に顔を売る場にもなってきた。上田市長の作戦は、保守系議員と経済・産業界の代表者らとの顔合わせの場をぶち壊す、という作戦が大成功したともいえる。もっと、そこまで深くは考えていなかったのだろうが…。
■敬老パスを取り上げる前に… (03.12) 
 札幌市が地下鉄・市電など市営交通の敬老パス見直しについてアンケート調査した。こんな調査を行うこと自体、廃止を含めて見直したという市の本音丸出しだ。  市民の意見の大勢は「現行(無料)のまま」と「縮小」がほぼ4割ずつという。上限制限、所得による制限、一部自己負担など多少の縮小はやむを得ない、という結論を引き出したいのが市当局の誘導作戦だろう。ケチな話である。
 いままでお年寄りのために負担してきた世代が、自分がもらう立場になったら「お前にはやらん」と言われるのだから、年金問題と同じく「詐欺」にあった気持ちになるだろう。  そもそも地下鉄・市電は、お年寄りが無料パスで利用したからといって、なにか余計な費用でもかかるのか。それでも、とにかく少しでも料金を取りたいというのだろう。
 カンカンガクガク論議をすることはいいことだが、一つ欠けている視点がある。無料パスを利用してお年寄りが気軽に外出する、そこでお金を使う、そのことの地域への経済効果はどうなのか。また、お年寄りが元気で動き回ることによる医療費の圧縮効果はどうなのか。調査した形跡はない。  弱者から金を搾り取る算段をする前に、市役所のヒマな人たちは率先して経費・人件費削減に努めろー。ボランティアでお年寄りをあちこち連れて歩くのも、いいんでないかい。
■大物有名人と高度医療機関のヘンな馴れ合い (03.11) 
 現在、北海道のある超有名人が健康を害して入院中。誰もが知っている大物で病状が心配されるのだが、見舞いの人が誰なのかほとんどハッキリしていない様子で、「無事に退院出来ればいいのだが…」と深刻な見方も出ている。新聞社などはすでに亡くなった時に備えた「予定稿」を準備していると思われる。
 筆者も無事回復を願うのだが、ただ素朴な疑問も払拭出来ない。入院先は某高度医療機関。いくら大物有名人といっても、90歳近い高齢による病状は、医学的にはそれほど複雑なものとは思えない。名も無い小物の老人が行っても、おそらく鼻先であしらわれ、個室に入院などさせてくれないだろう。一方大したことのない病気といっても、有名人なら道内トップクラスの高度医療機関で歓迎される。普通の老人病院で十分対応出来るはずなのに(素人考えながら)、である。
 同病院には、他にも元高級役人とか、鼻持ちならない有名会社経営者などが、さほどでもない病気の治療のために入院しているが、誰であれ簡単な病気の人は一般の病院に回して、高度医療機関は本当に高度な専門治療を必要とする人に全力を挙げるべきだと思うが…。ヘンな馴れ合いには納得出来ないものをを感じる。
■どこかおかしい桂さんの再就職  (03.10)
 サッカー・ワールドカップのために建設した全国の施設が「宴の後」の赤字運営に悩んでいる。中にはいっそのこと取り壊してはどうか、という論議さえ出ているそうだ。  その点、札幌ドームは優等生。サッカーだけでなく野球や各種イベントが出来る多目的施設にしたことが要因で、運営会社(第3セクター)の03年3月期決算は、売上21億円、経常利益1億円、当期純利益5000万円という結果だった。
 とはいっても、実はそれほど威張れる内容ではない。施設は札幌市が建設し、保有しているので、建設費の借入金返済、金利負担、減価償却費、固定資産税など一切がかからない仕掛けなのだ。いわば他人のふんどしで相撲を取っているだけ。
 ところで、札幌ドームの社長は桂信雄前札幌市長。市長在任時から社長を兼任しており、市長退任後は社長専任となっている。給料は年間1,000万円。桂さんはいい人だが、これはおかしいものはおかしい。市長の兼任でやってこれたのだから、市長が替わったら、今度は上田文雄市長がドーム社長を無給で兼任すればいいことだ。そうすれば人件費が浮く。それは市民に還元するべきである。
 行政に「オンブにダッコ」で、うわべだけ利益を出して、そこへ前市長が天下り… 何だ、こりゃ!!

■上田札幌市長のパーティー券騒ぎ
 
 (03.09)
 札幌市長再選挙で推薦候補の上田文雄氏を当選させ“天下を取った”民主党。市役所で言えばヒラ職員に近い、労組側がその母体。そこで、かなりいい気分で自分たちに命令を下す立場の幹部らに、上田市長のパーティー券を送りつけて、出席するかしないか、踏み絵を押しつけた気分だったろう。
 これに対して幹部側が抵抗、自宅にパー券が郵送されたことを表沙汰にして、「おかしいではないか、どう言うことだ」と。正面から言われれば、市長も遺憾の意を表して、後援組織の「みんなでつくる札幌・市民の会」も撤回せざるをえない。幹部らも溜飲をさげた。  この図式から読みとれるのは、ヒラ職員の舞い上がりと、幹部に威光が届いていない実態だ。
 局長以上OBもほとんどが自民党サイドの石崎岳氏を支援したが、上田氏に敗れ何とも困った立場。上田陣営から見れば、現体制に弓を引いた戦犯ども、ということになる。中には旧・桂信雄市長体制下で冷遇され、腹いせに密かに民主党と通じて上田氏を応援した者もいる。その筋からは、「有力な天下り先に収まっている大物OBらは身を退くべきだ」と息巻く声も。Sさん、あなたのことですよ。
 しかし、一般市民からみれば、まあ、どっちもどっちでないかい。

■札証は24時間売買を
  
(03.08)
 
札幌証券取引所が「未来戦略研究会」を設置して、生き残り策模索に動き出した。昨年6社、今年に入って7月末までに既に大手40社以上が札証上場を廃止、ナダレ現象に歯止めがかからない。なんとかしなければ、という動きは遅きに失した感がある。
 研究会委員の中には「あんたが偉そうなことを言う前に、投機目的で抱えた借金をさっさと返したらどうか」と言ってやりたい顔ぶれもいるが、個人の家庭的プラバシーと合わせて、まあ、それはさていて…。
「でんまが」も横からひと言口を挟んでおこう。札証活性化のための決め手となるのは24時間売買、休日売買の実施だ。いまやネット売買が大きな流れになって、主婦やOLもパソコンに向かって株の売買をやっている時代だ。サラリーマンなどもこれを勤務時間外にやれるとなれば、全国から札証への注文が殺到すること間違いなし。企業側も札証上場の有効性を認識するだろう。
  問題はネット売買は、松井証券など一部の進歩的証券取引業が得意とするところで、24時間売買などをやれば大手証券会社から反発が出ることだ。しかし、そこを割り切って札証が踏ん切りをつければ、いずれ大手も参入するのが時代の流れではないのか。

■アライグマの受難 
 (03.06)
 元々ペットとして飼われていたアライグマが放置され、野生化して農作物や自然の生態系に有害になっている。道内に持ち込まれたのは1970年代と言うから、まだ歴史は浅いが、野生アライグマの目撃情報は92年度に14市町村だったのが01年度には86市町村に拡大したという。道内推定生息数は約3000匹とされる。
 それが“悪さ”を働いて、メロン畑などで毎年3000万円前後の被害を出し、野生シマフクロウ生息地でも足跡が発見され、影響が懸念されている次第だ。
 そこで道は対策として今後毎年2000匹を捕獲、片っ端からぶっ殺して11年度までに絶滅させる計画。捕獲目標の半分は幼獣が巣から外へ出る前の6月までに駆除、親を失った幼獣は巣の中で餓死してしまえ、という作戦だ。  元々可愛いからペットとされていたのが、飽きられ、持て余され、意外と獰猛なため、今や害獣。これは全く人間の身勝手から起きたことだ。捕まえて殺すだけが対策なのか。動物愛護団体は何というのか。
 似たような一例にブラックバス問題もある。西洋タンポポなど植物にも帰化して生態系を乱しているのがいっ
ぱいあるし、人間だって、勝手に人の国に入り込んで悪さをしているヤツが増えている。それらはどうする?

■変なオバサンの「民間人発想」
 
(03.05)
 札幌市教育長の善養寺圭子という人が、4月いっぱいで辞任した。新聞報道によればその辞任の弁が「自分を教育長に選んでくれた桂市長が次期市長選に出馬しないのなら一緒に辞めようと決めていました。桂市長の任期が切れる五月一日の前に区切りを付けたい」なのだそうだ。
 この人が就任したときは、桂市長の3期限りでの引退が取りざたされていたはずだ。その桂市長からの招請を受けたのだった。「自分を選んだ桂市長がやめる」から、自分も教育長を辞めるというのなら、初めからその話を受けるべきではなかった。
 このオバサン、誰から給料をもらって誰のために働いていたのか。全然市民の方に目が向いていないから、引退する桂さんと一緒に辞める、という発想になるのだ。それが「民間登用」を鳴り物とされた人物の言いぐさだった。 そんなことで辞めるより、就任直前まで理事長をしていた社団法人の不正経理の責任を取って辞める方が少しは常識的だったのではないか。それを居座っておいて、なーに言っているんだか。
市長選はやり直しとなり、教育長人事も新市長が決まった後になる。その間は教育長が空席。教育次長が職務代理を務めるが、さほどの支障はない、どころか、返って現場の流れはスムーズになっているのでは−。つまり、この市民に目が向いていないオバサンは必要なかったのだ。

■へたくそな道新の選挙誘導記事
 
(03.04)
 
4月13日投票の札幌市長選では、どの候補も有効投票の4分の1以上を得票出来ず、再選挙となった。
 そこで、各陣営は候補を絞って体勢立て直しを急いでいる。 特に、道見重信、秋山孝二、坪井善明氏の3つに割れた自民、経済界には大きなシコリが残り、再選挙では、一本化するすることが至上命題。なおかつ、勝てる候補の擁立が最大課題だ。 道見氏は3人の中では最高得票だったといっても、完全無所属の中尾則幸氏にも負け、山崎拓自民党幹事長が候補差し替え迫った。 
  そんな経過を報道する北海道新聞記事の中に「(自民党札連は)道見重信氏で勝つのが難しいと見るや、前衆議院議員の石崎岳氏に的を絞った擁立作業をなりふり構わず進めた」(4月27日)とある。
  この記事の流れからいくと「なりふり構った」やり方とは、道見氏の再擁立らしい。 さらに「中央主導に猛反発・道見氏」「有力候補に警戒感・民主」の見出しが続き、記事の全体的流れは「道見氏が再出馬して、民主党の選挙が楽になればいい」と言わんばかり。
  新聞報道にある種の世論誘導があることは誰しも知っていることだが、ここまでなりふり構わず露骨なのはいかがなものか。というより、単に隠れプロパガンダの書き方が下手なだけの話だ。

■日本ハムの札幌移転、なぜ新会社?
 
(03.03)
 04年から札幌に本拠地を移転する日本ハム球団。プレ・シーズンである今年は札幌ドームでホーム・ゲーム10試合の開催を予定しており、観客動員目標は1試合平均2万人という。そのくらいお客さんが来てくれれば、採算が成り立つということなのだろう。札幌にプロ球団が出来て、軌道に乗ってくれることを期待したい。
 ところで、札幌移転を機に、新たに球団会社を設立する動きが具体化している。「北海道日本ハムファイターズ」(仮称)として、北海道新聞、札幌市(または札幌ドーム)が1000万円ずつ、北海道ガス、北海道電力、JR北海道、サッポロビール、札幌商工会議所、北洋銀行、北海道銀行が400万円ずつ、合わせて地元から5200万円、それに日本ハム側が1億4800万円を出資して、資本金2億円とすることがほぼ固まっているのだ。
 球団に対しては、周辺の市や町から練習場の誘致熱が上がり、地方自治体は土地提供など、ある程度費用負担をする構えを見せた。しかし球団は、やはりドームの近くが望ましいとして、自前での屋内練習場を設置を打ち出し、さらには場所も札幌市内でサッポロビール園そばの土地を手当てした。やる気満々の様子で非常に心強い。
 だが、フランチャイズ移転に伴ってなぜ新会社設立なのか、いままでの会社に地元から増資するなどの形ではダメなのか、筆者にはいま一つ呑み込めない。 親会社は例の牛肉偽装事件で世間を騒がせた。テレビに登場した、あの「泣き虫社長」とその親父さんの「こわもて会長」は印象深い。グループとしては球団も切り離したいのだが、会長が球団オーナーの名誉職にこだわり、実現できないでいる、といった話題も報道された。
その会長、社長も詰め腹を切らされ退陣した。そこで、日本ハム・グループは札幌移転で、球団を北海道に島流しにする? まさかそんな意図はないと思うが…。

■「町村親書」−親子の格差  
(03.02) 
 自民党は知事選候補として高橋はるみ氏を擁立した。現職知事の堀達也氏を引きずり降ろしたイメージが強く、大きなシコリが残った。高橋氏擁立を主導した町村信孝氏への風当たりが強烈だ。
 その町村氏があちこちに手紙をバラまいている。高橋氏擁立の真意を説明、知事選への強力を求める内容だ。
 受け取った側の反応は様々。「なるほど、そう言うことだったのか。誤解を解消して、選挙のために団結しなければ」とか、「自民党をゴチャゴチャにしておいて、今さら何を言っているんだ」とか。筆者はどちらの肩を持つつもりもない。
 ただ、「町村親書」と言えば、かつて父親の金五氏の親書は有名だった。自筆でこまめに心情吐露や、協力要請をしたためたもので、受け取った人は一律に感激し、ありがたがったものだ。中には額に入れて大事にする向きさえあった。
それに比べ、今回の信孝氏の親書はワープロ書きで、となれば本人が直接書いたとは思えないし、あちこち大量 にバラまいたであろうことが想像出来る。感激も薄い、どころか反発さえ出ているのだ。
 やはり、心情が伝わるのは丁寧な手書き、と言うことか。

■知事候補選びでグチャグチャの自民党道連
 
(03.01)
 堀達也道知事が引退表明。記者会見でのマスコミの質問に「何回も同じことを言わせるな、バカ」と感情むき出しの場面 もテレビで放映された。
焦点は次の候補選び。国会議員5人と道議会議員2人からなる7人委員会で、高橋はるみ前道経済産業局長に白羽の矢を立てた。もっとも、7人の間でも意見がそろっていたわけではなく、本来堀氏支持派だった町村信孝代議士が堀氏擁立断念、高橋氏担ぎ出しに傾いたことから、流れが変わった。堀降ろしの雰囲気が加速、その圧力に屈して堀氏の不出馬表明となったのだった。
 一方、自民党道議団は52人中42人が堀擁立の署名をしていた。本当のところはその半分くらいは単なる「お付き合い」だが、道議団にしてみれば、国会議員、とりわけ「町村氏独走で堀降ろし、高橋擁立」に走ったことへの不満が強い。
 本当は、町村氏は7人委員会の意見一致を取り付けた上で高橋氏を打診したのだが、北村直人自民道連会長さえそのことをウヤムヤにして、町村氏批判発言。吉川貴盛代議士も同じ歩調。それと同じ構図の中で札幌市長候補選考もゴタゴタしている。
 高橋擁立を潰して、町村氏に泥を塗る意図もある。その底流には永田町の派閥争いも。知事選を真面 目に戦う、という政党の本筋からはずれたところで、おかしな政争が展開されている。

■恵庭OL殺人事件の疑問  
(02.11)
 恵庭OL殺人事件は後味の悪い事件だ。検察側の推論に弁護側の情緒的反論。「推定無罪」を予想する向きも少なくない。関心を持つみんなが「探偵」になって、ああでもない、こうでもないの論議。と言いつつ、「でんまが」もその話に参加。
犯行動機
検察側=同僚男性が被害者と交際を始め、激しい憎悪を抱き、嫌がらせ電話もかけた。
弁護側=男性とは別れるつもりで、犯行動機はない。電話は「嫌がらせ」の意図ではない。
傍聴席=ハッキリしているのは電話をかけた事実のみ。動機は真犯人のみが知る。
殺害方法
検察側=被告の乗用車助手席に座る被害者を後ろから絞殺、後に焼損現場で引きずり落とした。
弁護側=被告は被害者より小柄で非力で殺害不可能。検察主張の物的証拠はない。
傍聴席=??
灯油の疑問
検察側=被告人は被害者を焼くために購入。遺体発見現場、被告車内からも灯油が検出された。
弁護側=灯油は暖房用に購入、事件後誤解を恐れ捨てた。遺体は灯油でなくジェット燃料で焼かれた可能性も。
傍聴席=被告人が灯油を購入、捨てた事実のみ判明。
携帯電話が被害者死後ロッカーに戻された件、アリバイも同じような状況。 「推定無罪」、「疑わしきは罰せず」の判決も予想される。
 しかし、その場合は被告人は真犯人なのか、違うのか、疑問を引きずったままになる。被告人の今後の生活には、あまりにも大きな重荷がつきまとう。
ところで、検察側は法廷外では何も言っていないのに対し、一方的に弁護人側が法廷外で記者会見などして、主張することは、冷静な判決には何の影響も与えないはず。では、誰のために何になっているのか。被告人にプラスなのか、マイナスなのか。

■札幌交響楽団の経営危機 
 
(02.11)
 札幌交響楽団が経営危機に瀕している。累積赤字が4億円以上に上り、事務局が財政再建計画を作成したものの、9月の緊急理事会で否決され、練り直しを求められたが、結局人件費削減案しか出ていない。
札響には約10億円の基金があるが、悪名高いアルゼンチン国際を購入、利払い停止になり、他にも外国債の資産計上に誤りがあり、評価損が出るという運用の失敗もある。
 札響楽員の人件費が高すぎる、とする論議もある。「教員並の給料が欲しい」という楽員の希望に対し、反発もある。楽員は教員より年収で200万円ほど低く、「もっと引き揚げて欲しい」という労働組合の声に、「何を言っているんだ」というのだ。
 だが、それだってかなり変だ。例えば高校の音楽教師は、ほとんどが演奏家としては通 用しない「音楽家」なのだ。それに対しプロのオーケストラ楽員は、はるかに研鑽を積み、中には留学経験もあり、大学院も出ているエキスパート集団だ。「コンサドーレの選手が体育教師より給料が高いのが怪しからん」という文句は出ないだろうが、札響楽員だって同じことのはずなのだ。

 理事の中からも、札響の経営感覚を批判する声が出ているが、ちょっと待て、経営者は誰なのか。評論家みたいにゴタクを言っている理事本人ではないのか、自分たちがちゃんとした経営を出来ないで、他人事のように何をか言わんや。長年にわたるその無責任体質が、つもり積もって現在の経営危機になっているのだ。
■コンサドーレJ2降格  
(02.10)
 コンサドーレ札幌がついにJ2落ち。残念なことだが、今となっては仕方ない。その原因、今後の対策など色々な人が色々なことを言っているが、再度の復活を期待したい。
 運営会社・HFC(北海道フットボールクラブ)の田中良明社長は責任を取って03年3月の任期で退任の意向という。今季のコンサドーレはいささか千鳥足気味だった。柱谷哲治、イバンチェビッチ監督の解任もその一つ。「勝てない監督を解任」と偉そうなことを言う経営陣も責任を取るのが当たり前だろう。勝てない理由には、経営がしっかりしていない−金がない−優秀な選手を獲得できない、のが大きいのだから。 ただ監督と違って社長となれば来期のチーム造りや経営再建に筋道を着け、区切りの3月で退任するのは妥当だ。
ところで田中社長は退任に関して「私を社長に任命した桂市長に相談しなければ−」と発言している。田中氏は元札幌市助役だが、市長に株式会社であるHFC社長の任命権なんてあったっけ? この人、自分を任命したのは誰なのか分かっていないようだ。従って、どっちを向いて仕事をするべきかも心得ていなかった、ということになる。

■札幌市民性悪説
 
(02.10)
 北海道西友元町店が輸入肉を国産と偽装して販売、購入した客に払い戻しをしたことで、大混乱が発生した。 偽装問題は、派遣従業員が直属ではなく別な部門の上司に報告したことで発覚、西友側は客の良識を信じて「誠意ある対応」を取ったものだ。 ここで「消費者性善説」のもとに対応したのだったが、それが裏目に出た。普段同店で見かけない若者が続々と押し掛けて「払い戻し」を要求、9月27日から3日間で1,436人に対して総額4,796万円以上を支払った。実施に偽装販売した3・5倍にも上った。 その混乱のため休業を余儀なくされ、休業による損害額は売上ベースで4、100万円に上ったという。 何ともおかしな事件に発展したものだが、札幌市民も教訓を得た。暴力団は論外として、不正であろうがかまわず甘い話に群がる札幌の若者、市民のあさましさ、低レベル……。 行政や企業の危機管理は、それを前提にして対策をしなければならない。情けない話ではあるが−。
■「農村再生特区」は妙案だと思うが
 (02.09)
政府は規制緩和による構造改善特区構想について、全国の自治体から提案を受け付けている。これに対し、北海道は農村再生特区を提案している。農業に株式会社の参入を認めることも含め、北海道の農業を活性化しよう、との目論見だ。現在の規制の枠内では、農家が農地内になにか農産物に付加価値を付ける施設、ペンションを建てるとか、農業体験を含む観光施設を設けるなどは出来ない。そういった規制の緩和を求めるものだ。
ところが、JA中央会など農業団体は、株式会社に農地所有を認めれば、投機的な動きをされたり、採算が合わなければ放置されるなど、農地の疲弊の恐れがある、として農業特区構想には反対の姿勢道はそれなら、と土地は農協や地方自治体が所有出来ることとし、株式会社に賃貸する方式を打ち出した。それでもまだ農業団体は反対姿勢を貫いている。
 ある経済人は「本来農業団体が先に考えるべきことなのに、農地の疲弊を放置しておいて、行政側が動いたら面 白くない、ということではないんだろうね」とも。 中国の農産物は農薬残留などの問題が出ているが、これがいつまでも続くわけではない。改善されれば、北海道農業が太刀打ち出来なくなる懸念がある。いかに農業に付加価値を付けるかが、緊急課題のはずだが……。

■函館どつく再建の裏側に何が見える? (02.08)
 函館どつくがまたも経営危機。これに対し金融機関があっさりと再建支援を打ち出している。なぜか。実は安全保障上の理由から、水面 下で国の意向が作用している、とする説が−−。
 函館どつくが新たな再建策を打ち出した。02年3月期決算で4年ぶりに当期損失(8億7200万円)を出し、名村造船が増資して債務超過を解消したはずだが、さらに90億円の債務超過が明らかとなり、従業員の退職金4割カット、金融機関への42億円の債権放棄要請などを、新たな再建計画の骨子としている。これに対しみすほコーポレート銀行が先陣を切って応諾を表明している。
 函館どつくの再建問題は過去何度も出てきた。地方の造船会社の環境はきわめて厳しく、先行きは全く不透明。銀行が見限れば、即破綻がとなる。そんな状況下でなぜ函館どつくは何度もの経営危機を何とか乗り切れるのか。そこには目に見えない国の力が働いている、とする説がある。 つまり、国防上の理由で北海道にはどうしてもドックが必要だというもの。いざという時、自衛艦や米軍の戦艦を修理できる施設が、全国の要所要所になければならない。
 函館どつくには以前から室蘭撤退と言う話が出ているが、これも実現しないで推移してきた。函館が日本海側からの攻撃や破壊工作で壊滅した場合、太平洋側の室蘭が残っている必要がある、隠れた安全保障上の理由が陰で作用している、と言われれば、それもそうなのか、とも思える。かつて防衛庁は函館どつくの遊休地海上自衛隊基地として取得に動いたことがあったのも、なにやら符合するみたいだ。

■なんだか怪しい「道民投票」の真意
(02.07)
 堀達也知事は年内制定を目指している道行政基本条例道民投票制度を盛り込む方針。
 住民投票制度は、民意把握に有効で、非常に民主的な手法であるかのように見える。
元々民主党が主張していたもので、知事も一定の理解を示す姿勢だったのが、いよいよ具体化に向けて動き出した。
 しかし、これは、非常に怪しいものを含んでいる。 民意把握というが、日本は議会制民主主義の国であり、民意は選挙を通 じて有権者の付託を受けた議員が代表して表明、論議すればいいことではないのか。 直接住民投票を行うのなら、道議会議員数を半分くらいに減らしてもいいのではないか。議員が民意を代表出来ていないから、住民投票が必要なんだろうから、民意を反映できない議員なんかいらないのだ。
ちょっと整理すると
1 自民党は道民投票に慎重な構えで、議会制民主主義のタテマエに照らして、一応筋が通 っている。しかし、タテマエはさておき、実態として議員が本当に有権者を代表しているか、の問題がある。
2 民主党が道民投票を主張するのは、自分たち議員が住民意向を把握していないことを認め、議会が駄 目だから、直接有権者の声を聞こう、というもの。だが、少数政党の意見が通らないので、別 次元の方法をとろうとする意図がありありだ。
3 知事が道民投票に前向きな理由は、本来は議会を軽視するものだが、民主党と有権者にゴマをする効果 がある。エア・ドゥ 支援など、住民投票で判断すれば、責任回避出来る。
4 有権者にとって、選挙で投票したとはいっても、個別の政策案件、課題について十分支持する議員と意見をすり合わせているわけではないから、個々の案件については自分たちの意見を直接反映させられる。住民投票推進は有権者への人気取りに有効。ただし、行政側や政党が出してくる説明は、自分たちに都合いいように出来ている。騙されない賢さが必要だ。
 知事や、道議会は公取委が摘発した農業土木割り付け談合問題に見られるように、知事自身が特定の企業にさじ加減を命じたことが明らかで、本来は辞職ものでも、それを追及すべき議員らも同じことをやっているで、知らんふり。そんな集団が、ああでもない、こうでもない、と言っている一つが道民投票制度なのだ。

■エア・ドゥ 倒産で変な話 
(02.07)
 民事再生だとか、経営破たんとかいっても、これは結局は倒産なのだ。エア・ドゥ が倒産した問題で、道の幹部が同社に出資した市町村に「お詫び行脚」をしている。市町村は、道から出資を要請されて出資、同社倒産で株式がただの紙切れになり、損害を受けた。そのことで道側が謝ると言うわけだ。 しかし、道が謝るのは自由だが、株式会社に出資する行為は当事者責任で行うべきものだ。
「道が頼むから出資した、損害受けたのでなんとかしろ」では、まるでガキの論理だ。 道側は、負い目があるので市町村の損害に見合う額を地域振興対策で支援するようなことを言っているが、自分たちの失敗をまたまた税金で穴埋めするなんて冗談ではない。穴埋めしたければ知事や道幹部が個人的に金を出すべきだ。
エア・ドゥ 倒産の最大の問題点は、一民間企業が潰れたことではなくて、そこに無駄 な公費を投入したことなのだ。役所のエライ人たちは、そこのところが全然分かっていない。

■日ハム球団が札幌にくるが−−
 (02.06)

 日本ハム球団が札幌に本拠地を移転することが決まった。04年シーズンからの実施を、札幌ドームを準フランチャイズと位 置づける西武ライオンズ球団も容認、7月上旬のプロ野球実行委員会議決、オーナー会議で正式決定の運び。 プロ野球ゲーム開催の場合、札幌ドームの使用料は基本料金800万円プラス観客が2万人を超えれば1人当たり400円。3万人入れば1200万円の収入となる。日ハムは札幌ドームでは年間50試合程度を行う予定で、単純にかけ算すると6億円の収入になる皮算用。全試合平均3万人入れば、たら、という話ではあるが。固く1試合平均2万人を割るとしても、年間4億円、プラス飲食・物品販売の収益が期待される。 
 札幌ドームはオープン1年目で入場者68万人、経常利益3億4000万円、累積黒字9000万円と予想以上の業績。と言っても、実は建設資金は一部経済界の寄付と、札幌市が市民の税金から約500億円を投じたもので、ドーム運営会社は建設資金の償還、金利、減価償却費も固定資産税も払う必要がないから儲かっているのが実情。本来は採算が合うわけはないのだ。  
 もちろんプロ野球開催で儲かるのはいいことだが、ちゃんと儲けを市民に返すんだろうね。そこがポイント。表面 的利益なだけで、しめしめ!とばかり、市幹部の天下り先にして高給を取るなんてことがないように監視が必要だ。

■スッキリしない札幌市の早期退職制度
 (02.06)
 札幌市は02、03年度の2年間、職員の早期退職制度の対象年齢を、現行の48−58歳よりさらに拡大、45−59歳とする。 定年前の希望退職を促進し人件費抑制、職場の活性化を図るのが目的で、退職金を上乗せする。退職金加算額は45−55歳が24%、56歳24%、57歳18%、59歳10%という。例えば55歳で今年退職する職員には通 常2500万円の退職金が3250万円に増額される。
 札幌市には政令指定都市になった72年前後に大量に職員が増え、この世代が60歳定年になる09年度には退職金だけで総額250億円に達するそう。財政難の中で大きな負担となる。
 そこで早期退職を促進、というのだが、われわれ「一般市民」には何かピンとこない。 早めに退職する人は、再就職の当てがあるはずで、本来なら自然退職になるところを、増額退職金を支給する。辞めようか、辞めるのやめようか、と迷っている職員にとっては確かに退職金増額が引き金になるかもしれないが、民間事情との乖離が大きすぎるのではないか。
「文句ある奴は自分も役人になればいい」という声もあるが−−。

■旧拓銀特別背任事件で論告求刑
 (02.05)
 旧拓銀特別背任事件で5月30日、山内宏・河谷禎昌の両元拓銀頭取に懲役5年、中村揚一元ソフィアグループ社長に3年が求刑された。
 論告要旨は、両元頭取は@経営破綻状態のソフィア・グループに危険かつ異常な追加融資をしたAソフィア倒産でズサン融資の経営責任を追及されるのを回避する目的だったB中村揚一被告との利害が一致しており、共謀が成立するC捜査段階の供述は否認に転じた公判段階の供述より信用性が高い、といったもの。
この事件では検察の捜査段階の証人供述が公判でひっくり返された。鷲田秀光・元頭取代行は「貸し込んだのは経営判断のミスだった」としながらも、特別 背任成立に不可欠の「図利目的」を否定。「両元頭取は不良債権の後始末をしただけで、本当の責任はその前の鈴木茂元頭取らにある」とも。 広瀬恭平元常務も「捜査段階では元頭取らが自己保身のため融資した」と供述したが、公判ではそれを「釈放されたい気持ちから供述書に署名した」と主張した。
 警察や、検察は「吐いてしまえばラクになるぞ」と、テレビドラマ調に証人らに迫ったのだろうか。
なお、山内・河谷被告の弁護人は懲役5年を「予想外に軽い」とし、中村被告側は懲役3年を「重すぎる」としている。この受け取り方は、部外者には理解が難しい。

■M資金まがい詐欺 (02.05)
 今年2月道南地区13農協が合併、新函館農協となったが、合併前の旧・知内農協組合長が詐欺グループに3通 の手形を詐取された。
 ある特殊法人が解散するが、数千万円の隠し資金があり、それを地域振興のための融資に充てる、返済の必要はない、という信じられないような話。それを旧・知内農協組合長が信じてしまった。昨年9月、札幌の会社社長という人物がこの話を持ち込み、元組合長は東京まで行って「当局」関係者と称するグループと会い、説明を受けている。
 元組合長は野菜選果場建設のため3億円の融資を申込み、昨年12月、見返りとして組合長印を押した手形3通 を相手に渡した。しかし融資が実行されないため手形の返還を求めたところ額面1億円、4月30日期限とされた2通 だけが戻された。残り1通は不明。 新函館農協は詐欺事件として道警に告訴、しかし道警側は事案の検討が必要として、受理していない。
 たまたま「でんまが」の掲示板には「M資金」詐欺について4月8日に「学生です」という匿名の質問があった。当編集部は翌日回答を掲載(掲示板36)「この手の詐欺が、手を換え品を換え筋書きを変化させながら、続いているようです」とも書いた。
 旧知内農協の詐欺はまさにこのケース。「政府系団体が裏金を管理している。低利融資する」といったものが「M資金」の変形として時々出没しているのだ。

 今回の知内農協のケースは、他の農協には「5000万円用意すれば30億円を融資する」という話も持ち込まれていた。連絡し合えば、相手によって話の内容が食い違っていることが分かったはずだが、旧知内農協 組合長が合併をスムーズに運びたいため、功を焦った感もある。
普通なら、詐取された手形は第3者に渡って割り引かれているところだが、2通が戻されたことは不幸中の幸い。ただし残る1通 が今後どうなるか、まだ予断を許さない。
 

■BSE(狂牛病)4頭目音別 で  (02.05)
 音別町の酪農家から出荷された廃用牛がBSE(狂牛病)の 国内4頭目と確認された。過去3頭と同じ96年産で、あるいは同じ飼料や代用乳を使用していた可能性もあり、今後の調査を待つことになる。
ところで、北海道新聞がこの関連で道内関係者の反応を伝えた記事の中に、道農業団体BSE対策本部長の宮田勇・JA北海道中央会会長の「感染牛が道内で確認されたのは残念だが、感染牛は焼却され、食用にはならない、云々」という談話が掲載されている。
 「道内で確認されたのは残念」−道外、他の県ならよかったのか。本人に悪意がないことは想像出来るが、発言としては不適切。むしろ、そこに気が付かずそのまま談話を載せた新聞側にも問題あり。
 かつて、海外の事件を伝える報道の中で「幸い日本人には被害がなかった」と伝えて「外国人ならいいというのか」と非難を浴びた。以後間違ってもそんな表現は使われていないはずなんだけど…。

気になる事件・ 連続犬虐殺事件はどうなった (02.04)
 今年は異常気象で全国的に春が早かった。桜は2週間早く開花している。札幌も12月にはドカ雪が降ったが、今年に入ってからはまるっきり降らず、雪解けも早い。陽気も早いとみて良さそう。
 陽気がよくなると人間の中にはおかしなのが出てくる可能性もある。そこで思い出すのが、昨年春から6月にかけて北区で十
数匹の犬が耳や足を切られた上虐殺され、世間を騒がせたこと。この気持ち悪い怪事件は、今年も起こるのだろうか。
 札幌には週刊新潮だけが報じた気になる事件がある。昨年7月末、西北部にすむ15歳の中学3年男子生徒が逮捕されている。女子中学生4人を次々に暴行したもの。警察や教育委員会は被害者のプライバシーを尊重して事件を公表していないが、それにしても地元の新聞も全く取材している様子がない。
 少年の人物像は両親は離婚している様子で、不登校気味、恐喝の前歴あり。学校では暴力的・情緒不安定の様子はなかった、というが逮捕後の精神鑑定では分裂症型人格障害と診断された。逮捕されても動揺を見せず、無表情だった。小柄だが体力があり、犯行は性的満足を得るというより暴力的で、強姦致傷に当たり、冷酷さが目立つ。子犬を袋に入れて放り投げるなどの虐待をしていたとの情報もあり、犬の連続事件との関連が注目される。少年逮捕後は犬虐殺事件はピタッと止まっている。
 少年は家裁の審判決定で関東医療少年院に送致された。刑事責任は問えないということだが、世間が知らない内に札幌に戻ってくることもあり得る。
 この少年は無関係だとしても、動物虐待は、人間(特に子供、少女)への危害につながり、注意が必要であることは確かだ。

北区スナック・ママ殺人その後  (02.04)
 昨年10月末北区でスナック経営者T子さんを殺害した容疑で、11月初め尾中修二被告が逮捕され、現在札幌地裁で公判中。検察側は「T子さんの交友関係をめぐり不満を募らせた上、生活を依存していることをなじられたと感じて激怒、殺害した」と陳述した。
 ということは、T子さんには他にも男性関係があった、尾中被告はT子さんさんの「ひも」のような存在だったことを意味している。
 T子さんはあくまで、事件の被害者だが、ちょっと不可思議な生活をしていた事実も浮上してきた。T子さん51歳、尾中被告39歳、で12歳下のいわば「若いツバメ」の関係。ところがこのT子さんは離婚した前夫とアパートの隣同士の部屋に住み、子供は前夫が引き取っていたが、日常的に母子の行き来もあった。しばらく姿が見えないのを不審に思ってスナックに様子を見に行き、他殺死体を発見したのは前夫だった。 さらにT子さんにはもう一人40歳位の男友達がいたことも周囲には公然の事実 。
 尾中被告は普段からT子さんに対して暴力的で、知る人は「その内おかしな事件にならなければいいがー」と噂していた。
 T子さんをめぐる男性関係の中で、一番質の悪いのがで昨春建設会社をやめた後、定職にもつかずブラブラしていた尾中被告だった。ややこしい人間関係がおかしな犯行を誘発したとも言えそう。

尿検査を誤魔化した? (02.04)
 疑わしきは被告人の有利に、これ、刑事裁判の鉄則。従って、少しでも犯行に疑問があれば、無罪になる。 帯広市内の女性が、覚せい剤使用の疑いで逮捕され、尿検査の結果起訴された。ところが女性は公判で「あの尿は、子供のをビニール袋にいれ冷凍して下着に隠して警察に持ち込んだ。検査の時すり替えて提出した。自分は覚せい剤は使用していない」と主張。警察、検察は「そんなのデタラメ」として起訴していた。
ところが、釧路地裁帯広支部の判決は無罪。女性の主張を100%否定出来ない、あらかじめ用意していた尿であることを否定できない、と判断したもの。この判決に検察側はかなり頭に来ている様子で、4月9日、札 幌高裁に控訴した。さて、控訴審の判断はどうなるのか。
もしもだが、これが女性の巧妙なウソだったとしても、崩すのは難しそう。あらかじめ警察が女性の身体検査をしていれば、こんなすったもんだにはならなかった。ただし、今後は注意するだろうから、この手は他の人が真似をしてもダメだ。
 

疑問残る木刀男の扱い (02.04)
 99年6月妻(当時)の実家の両親を木刀で殴り10日間のけがを負わせた男が逮捕された。精神分裂症と鑑定され不起訴処分で、医療保護入院させられた男について、その後、入院先の病院から「精神分裂症の症状がない。その上またやってやる」と言っている、と連絡があった。このため札幌地検小樽支部が男を再逮捕、傷害罪で起訴していた。4月9日、札幌地裁小樽支部は男に懲役2年、保護観察付き執行猶予4年を言い渡した。
 一旦釈放された男が同じ罪で再逮捕され、有罪という珍しい結果。 分裂症の鑑定で「刑事責任能力なし・無罪」から、「分裂症ではない・有罪」へと逆転、ここで、精神鑑定というもののあいまいさが注目される。
 はっきり言えることは100%絶対とは信じられないということだ。そんなあいまいさで、危険な人間を解放したり、社会から隔離したり。これでは一般 市民は安心して暮らせない。「医療保護入院」という名の無罪ながら「拘束」、執行猶予・保護観察という名の有罪ながら「釈放」。この男、有罪であるべきだとは思うが、どっちが一般 市民にとって安全か。

飲食費返さなくていいんだって (02.03)
 北海道社会福祉協議会の裏金問題で3月26日、社協の内部調査結果 が出た。裏口座には正規口座からの繰入1270万円、本や雑誌の手数料収入分など別 の裏口座からの繰入1040万円など。使途は飲食費1420万円、臨時雇用の人件費810万円、事務費140万円など。不明金は240万円。 この内飲食費は誰が使ったか分からないから、返さなくて良い、とは言っていないが、返済について言及していないということは、つまり使いっぱなしでOKと言うこと。
 で、使途不明金の240万円だけ社協の役職員が自発的に返済するんだって。誰が使ったか分からない飲食費は使途不明金ではない、使い道は「飲み喰い」だとはっきりしているんだから、という論理らしいんだね。この論理、何かに利用出来るような気がする。

焼き鳥ドロ逮捕  (02.03)
 02年3月15日の新聞記事。札幌東区の焼鳥屋に35歳の無職男が侵入、塩・こしょうを持参して、店内で焼き鳥30本を焼き、冷えたビール10本と合わせて5000円相当を盗み出し、窓から出たところを御用となった。報道によると男は昨年末失業して無職となり、家賃を滞納、ガスも止められていた。男は他の店でも同じような犯行をしたと自供。何か笑える事件のようでもあり、可哀想な話でもある
  これを報じた新聞の内、読売新聞と毎日新聞は男の実名を報道、北海道新聞は名前を伏せた。盗んだのがビールとつまみでなくて、ご飯とみそ汁だったら、確実に匿名扱いになっただろうにね…?
札幌の除雪費が余った (02.03)
 02年3月14日の市議会予算特別委員会で明らかになった。この冬、役所流にいえば平成13年度、雪が少なかったお陰で、札幌市は除雪費8億円が余ってしまった。制令指定都市になった72年度以降、除雪費が余った金額としては3番目だそう。
  それは良かった、というところだが、札幌市は余った予算で、雪堆積場を早めに雪割りして解かしたり、道路に撒いた砂利の回収を繰り上げる費用にする。雪なんか放っておけば、時期が来れば勝手に解けるし、例年雪堆積場の雪解けが遅くて困った、と言う話もない。下らないことに使うくらいなら、市民に返せ!!
高速バス乗っ取り殺傷事件  (02.03)
精神神経学会「安易な入院回避を」提言
 2000年5月佐賀県の国立病院精神科に入院中の少年が外泊許可を受け外出。バスを乗っ取り乗客を殺傷した事件があった。この件で日本精神神経学会が調査特別 委員会で検討した結果「攻撃行動を取る少年に対し安易に精神科に入院させ、社会から隔離するのでなく、司法的・福祉的処置も検討されるべきだ」と提言した。 狭義の精神疾患ではないが攻撃的行動を取る少年に対して「医療保護入院」措置を取りがちだが、家庭裁判所への通 告や児童相談所への一次保護なども選択すべきだ、としている。佐賀県の少年に外泊許可を出したことは、当時の判断としてはやむを得なかったとも指摘している。

その論議ちょっと待った=危険な少年を「安易に入院させるな」と言うことだが、世間には「安易に社会に出すな」と思っている向きの方が多いのではないか。少年を外出させたことは妥当とする判断にも、なにやら身内のかばい合いが見えないか。妥当でなかったことは、結果 論だが、少年が事件を起こしたことが証明している。
 こういう問題を単に学会が提言することにも疑問を抱く。一部分野の専門家が、障害を持つ弱者の人権に視線を集中するあまり、何の落ち度もない被害者が殺傷された、その人達の人権はどうなるのかの観点が軽視されていないか。ちょっと話が固くなってしまったけど---。知的障害者が事件を起こすと、「人道主義者」の病院や関係者の責任も厳しく追及されるべきだと思う。

マルク詐欺弁護士に有罪判決  (02.03)
 3月18日札幌地裁は藤井正章元弁護士に懲役5年の判決を言い渡した。 藤井元弁護士は、依頼者からの預り金を横領したほか、ドイツの旧マルク紙幣を持つ人から、現在ドイツ政府が額面 の2倍を支払う制度になっている、というおいしい話で7800万円を詐取したとして起訴されていた。 藤井元弁護士は「旧マルク換金の話は事実だ」と主張。しかし地裁は「そんな馬鹿な話があるか。弁護士という立場で信用させ被害者を騙した」と判断した。
  同元弁護士の身辺には不審な女性がいる。「石狩湾新港地区にモーターボート・レース場を開設する」として、運動資金を募る不可思議な行動をしていた。弁護士逮捕後、弁護士が所有する洞爺湖畔の別 荘を管理、絵画などの資産処分を任されていると称し、実際に債権者に什器備品を渡していた事実もある。「旧マルク換金」は、いわゆる「M資金詐欺」の変形のようでもあり、あるいは元弁護士も誰かに騙され、あるいは洗脳されて、片棒を担いだのか。何とも不思議。